多くの観客から見守られ2人の武将が会場を睥睨する中、ついに蹴鞠戦の開幕を告げるホイッスル──もとい法螺貝の音が夜空に鳴り響く。
キックオフは織田軍からだ。開幕からボールを受け取った剣城はボールをサイドに振り敵の妨害を掻い潜ると、単身中盤へと侵入する。
「そこまでだ……! ディフェンスコマンド・06!!」
「っ何!?」
その瞬間ふわりと浮き上がったボールは、中空へと跳ね上がったメダムの足へ磁石のように吸い付いた。
ボールがメダムからドリムへと渡ると、ベータは好戦的に口角を上げ声を張り上げる。
「決めるぞ、お前らッ!!」
「おおッ!!」
気勢を上げ、カウンターに繰り出した今川軍が一斉に織田軍陣内へと突進してくる。
自陣に残るは太助たち4人だけだ。警戒を強め、太助は隣で身構える市正と目配せを交わした。
「市正、止めるぞ!」
「おう!」
「うおおおぉッ!!」
前方に立ちはだかるディフェンスに、雄叫びを上げたドリムは勢いそのままに突っ込み2人を跳ね飛ばしていく。
「市正!」地面になぎ倒された市正を気にしつつ、体勢を崩すも何とか転倒を免れた太助が慌てて肩越しに振り返ると、ボールは既にドリムから離れ更に前線のクオースへ渡っていた。
「な、何、今の……」
「っ五郎太、俺たちで止めるぞ!!」
あっという間に太助たちを抜き去ったドリムを信じられないような目で見つめた獅子丸は、咄嗟に声を上げ五郎太と共に走り出す。
「邪魔だァ!!」
「ひ──うわああっ!!」
「エイナム!」強引なタックルで獅子丸と五郎太を一気に突き飛ばしたクオースは、ゴールを目前にボールをエイナムへと送り出した。
「シュートコマンド・06!!」
「やらせるもんかぁッ!!」
地面を這うように突き進んできたシュートに、信助はタイタニアスを発現させそれを受け止める。
ぎちぎちとグローブがボールの回転を受け表面をすり減らす。やがてばちん、と大きな音を立て弾かれたボールは、コートの外へと転がっていった。
「……これが蹴鞠戦か。中々面白いものよ」
一つのボールを奪い合い、時として人の技とは思えぬ技が飛び交うそれに、信長は楽しげに目を細める。
「あの者たちは、さっかーと呼んでいるそうです」
「さっかー、か……」
ぱち、と扇子を鳴らし信長は興味深そうに呟くと、再び会場をじっくりと見下ろす。その目に留まったのは、先日の花見の宴にはいなかった4人の子供たちだった。
「──みんな、大丈夫か!?」
「あ、ああ……」
試合が一時中断された隙に、太助は仲間の元へと駆け寄る。
どうやら大きな怪我をした様子はない。太助がホッとしたのも束の間、獅子丸たちは呆然と呟いた。
「何なんだよ、これ……」
「俺たちやれると思ったのに……」
「力の差が有り過ぎるよ……」
白鹿組の時も強引なプレーに驚きはしたし怯えもあった。
だが、今川軍のプレーはあの時の比ではない。
ベータの宣言した通り、彼らが自分たちを『叩き潰してやろう』と言う意思が強く伝わってくるサッカーは、子供たちの戦意をあっという間に恐怖で塗りつぶした。
「み……みんな、挫けちゃだめだ! あんなに練習したんだ、頑張ろう!!」
「で、でも……」
問答している間に試合は再開されてしまう。
スローボールを受け取ったベータは怯えた表情の子供たちを一瞥すると、にこりと目を細めそちらにゆるくボールを送り出した。
「獅子丸、こっちだ!」驚きながらも反射的にそれを受け止めた獅子丸に太助が声を張り上げる。
「お、おう──」
「ふん……そんなことで私たちに勝てると思ったのか?」
正面から駈けてきたレイザに獅子丸は思わず体を強張らせた。
パスを出す間もなくボールを奪われ、獅子丸はその場に尻餅を突いてしまう。
「このぉッ!」
「くっ!」
そこへすかさずスライディングを仕掛けたのは前線から駈け戻って来た依織だ。
そのまま前線へ復帰していく依織に、獅子丸は慌てて追走する。
「すいません、依織さん……!」
「気にすんな!」
太助を除く子供たちから漂ってくる強い恐怖の感情に、依織は顔をしかめた。こんな調子では、彼らは1週間の練習の成果を発揮することが出来ない。
「(このままじゃ……!)」
「試合中に考え事とは余裕だな!」
瞬間、死角から飛び出してきたエイナムのチャージに依織は体勢を崩し横転した。
ボールを奪い去ったエイナムは、そのまま立ち竦む市正と五郎太を突き飛ばし前線を押し上げる。
「リーダー!!」
ボールがついにゴール前まで侵入したベータに渡る。身構える信助を見据え、口角を上げたベータは一気に闘気を練り上げた。
「決めるぜ! 《虚空の女神 アテナ》!!」
「化身アームドはさせんきに!」
ベータより一足遅れでゴールの前へ飛び出したのは錦だ。
「錦先輩!」驚く信助の目の前で、闘気を練り上げた錦の化身が顕現される。空へボールを打ち上げたベータはムサシを見上げ一笑すると、ボールを追って跳躍した。
「そんなんじゃ俺は倒せないぜ!! シュートコマンド・K02!!」
放たれたベータの化身シュートは、ムサシの鎧に守られた体を一息に突き抜けていく。
ムサシの体が千々に消えていくその瞬間を目の当たりにした信助は、咄嗟に自身の化身をもう一度発現させた。
「っ《護星神 タイタニアス》!! アーム──」
「遅えんだよぉ!!」
猛々しい咆哮と共に、アームド間際の信助の小柄な体を吹き飛ばしたシュートがゴールネットに突き刺さる。
今川軍の先制点だ。櫓の上から響く義元の甲高い笑い声に悔しげに奥歯を噛み締めた天馬は、子供たちの表情がより一層強張ったことに気が付いて声を張り上げた。
「まだ時間はあるんだ! 気持ちを切り替えていこう!」
「……っ天馬の言う通りだよ! 頑張ろう、みんな!」
「う、うん……」
天馬の励ましを受け太助もまた仲間たちを鼓舞するも、彼らの肩は落ち込んだままである。
それから試合が再開されてからも、子供たちの動きは悪くなるばかりだった。
怯え立ち尽くすばかりになってしまった彼らをフォローするために、雷門イレブンは結果的にいつも以上の運動量を強いられる。
唯一戦意を留めている太助も、やはりベータたちが相手ではボールを取ることも難しいのか天馬たちのパスを繋ぐだけで精一杯だ。
織田軍は攻め込むタイミングを失い守りに徹し、試合は膠着状態のままやがて前半終了を知らせる法螺貝の音が鳴り響いた。
肩で息をする天馬たちの姿を見て、太助は申し訳なさそうに眉根を寄せる。
「ごめん……もっと頑張れると思ったのに、みんなを疲れさせてばかりで……これじゃあ足手纏いだ」
「ッ気にするな、太助! 俺たちは大丈夫だ!」
咄嗟の天馬のフォローに雷門イレブンは小さく同調するように頷いたが、隠しきれない額に浮き出た汗と疲労の表情に、でも、と太助は殊更顔を曇らせた。
「とにかく、今は一度体を休めよう。な?」
「……うん」
苦笑を浮かべた依織に促され、子供たちはとぼとぼとテクニカルエリアに戻る。
選手たちを出迎える前から不機嫌そうなしかめ面をしていた藤吉郎は、休息をとる間終始無言だった。
そして程なくして、間もなく後半戦が始まる頃、それまで黙り込んで会場を見つめていた藤吉郎がようやく口を開く。
「よし……後半の作戦を伝えるぞ」
藤吉郎の表情は先程までと違いやけに穏やかだ。
天馬たちは口を閉ざし、後に続く言葉に耳を澄ませる。
「──攻めるな」
「……えっ?」
「攻めるなって……どういうことです?」
一体どんな作戦を取るつもりなのか、と強張っていた顔の筋肉が、完全に虚を突かれてぽかんと緩むのが分かる。
「カーーッ!! これだからトーシローは! 今の状況を分かっているのか!?」
「まぁ聞け。勿論勝つための作戦じゃ」
ここぞとばかりに突っかかってきたワンダバを宥め、藤吉郎は困惑する天馬たちに笑いかけた。
「このわしを信じろ。相手に隙を作らせるんじゃ」
「隙……?」
眉を寄せた依織が藤吉郎の言葉をオウム返しする。確かに彼の目からは、この試合を諦めるという意思は全く伝わってこない。
「そうじゃ。そしてこの作戦は──太助、獅子丸、市正、五郎太。お前たちの力が必要じゃ」
「でも、俺たち……」
「うん……自信ないよ」
名指しされた子供たちは、前半戦ですっかり闘志をうしなってしまったらしい。太助でさえもどこか自信なさげに唇を引き結んでいるのを見て、天馬はぐっと顎を引いた。
「──諦めちゃダメだ! まだ太助たちは全力を出し切っていない……それは分かるだろ!? それなのに、今諦めたら絶対後悔するよ!!」
「後悔……」
その言葉に、子供たちは1週間の特訓の日々を思い返す。
やったこともないことに挑戦し、それが上手くなっていくことの達成感。思えばあんなに必死になって1つのことに打ち込んだのは初めてかもしれない。
挫けそうになりながらもここまで折れずにやって来られたのも、サッカーが楽しいものだと知ることが出来たからだ。
「信じなきゃ、自分を……自分の力を。一生懸命頑張ったんだ。絶対に、絶対に何とかなる!」
「天馬……」
天馬の力強い励ましに、太助は曇らせていた瞳を輝かせる。
それを静観していた藤吉郎は、はは、と晴れやかに笑った。
「ほう、言うじゃないか天馬。わしの言いたいことを全部言いおった!」
「あ、あはは……」
本人も熱くなり過ぎたと思ったのだろう、天馬は照れくさそうにしながら頭を掻く。
そして藤吉郎は子供たちの顔にそれぞれ覇気が戻ったのを見受けると、改めて表情を引き締めた。
「では説明するぞ。『攻めるな』とはどういう事かを……!」
再び両軍の選手はフィールドに足を踏み入れる。
相対する今川軍──ベータたちを睨むようにしながら、太助は自分にも言い聞かせるように言った。
「獅子丸……天馬の言う通りだ。俺、後悔したくない!」
「ああ……俺もだぜ!」
お前らだってそうだろ、と獅子丸は仲間たちを振り返る。
市正と五郎太は自分の頬を両手で挟むように叩いて頷いた。
「……あいつら、もう大丈夫そうだな」
「うん!」
見守るような笑みを浮かべて言った依織に、天馬は嬉しそうに頷く。
心持ちを新たに、後半戦の法螺貝の音が響き渡った。
今川軍は追加点を取るために、前半よりも更に急ピッチで織田軍陣内へ攻め上がってくる。
「止めなきゃ……!」
震える膝を叩いた獅子丸がドリブルで向かってくるレイザに対し走り出す。ボールを奪うことは叶わなかったが、先程よりも地に足の付いたプレーだ。
パスを受け、続け様に走り込んできたドリムに今度は五郎太が突っ込んでいく。寸でのところで身を翻され五郎太は顔から地面に突っ込んだが、それでもめげずに起き上がった。
前線を押し上げるエイナムには市正がチェックに入る。少しばかり頼りない足運びではあったものの、引っ掛かった爪先がボールを宙に弾き一瞬の隙を作ることは出来た。
失敗しても関係ない。彼らが1つ行動する度、雷門イレブンはそれを励まし褒めて声を掛けていく。やっていることは無駄ではないのだと教えていく。
クオースへボールが渡ると、その進路へ太助が立ちはだかった。
「天馬たちは俺たちを信じてくれてる! 頑張らなくてどうするんだよ!!」
「絶対に止める!!」太助は雄叫びを上げ、クオースに向かって猛進していく。
繰り出されたスライディングはクオースの予測していたものよりも早く鋭く、咄嗟の回避は間に合わず太助の脚はボールを捉えフィールドの外へとはじき出した。
白線の外へ転がり出たボールに太助は息を弾ませながら目を輝かせ、満面の笑みで拳を天へ突き上げて見せる。
「やった──やったよ、天馬!」
「ナイスクリア、太助!」
ここへ来てようやく特訓の成果を発揮した太助に、天馬は自分のことのように嬉しそうに笑った。
太助に出来たのだから自分たちだって、と獅子丸たちの闘志にもとうとう熱い炎が灯る。
熱意は力になり、拙さを残しながらの必死のプレーはベータたちにはまだ及ばないが、前半と比べ格段に良くなっている。今こそ好機、と藤吉郎は大きく息を吸い込んだ。
「作戦決行じゃあ!」
「……作戦?」
ボールを抑えたベータは目を瞬く。
すると、それまで今川軍にぴったりとマークに着いていた雷門イレブンたちが、するりと相手との距離を取り始めた。
「パスカットでも狙うおつもり? 浅知恵ですわねぇ」
肩を竦め、ベータは大きく空いた空間を通し前線へとボールを回す。
パスを受けたネイラは我が物顔でするすると織田軍陣内を駆け上がってくる。ゴール前に待ち構えた太助、五郎太、獅子丸は、来た、と緊張を走らせた。
「シュートコマンド・08!!」
「──行くぞ!!」
「おう!!」
シュートが放たれると同時に構えに入った3人は陣形を組み、ボールを受け止める体勢になる。
「一夜城──!!」
組み合わされた闘気は一夜にして築かれた城が如く、シュートを阻む壁となった。
櫓から天高く弾かれ月の光を浴びたボールを見上げ、見事、と信長は楽しそうに笑う。
「おっしゃあ!!」
「これぞ特訓の成果じゃあ!!」
「錦さんッ!!」落下したボールを抑えた太助は、すかさず一番近い位置に控えた錦へとボールを渡す。
「任せるきに! 剣城!」
「……!」
織田軍の思わぬカウンターアタックに、今川軍は反応が遅れた。
錦から繰り出された最前線へのパスを追い掛けながら、剣城は走る脚は止めぬまま化身を顕現させる。
「《剣聖 ランスロット》──『アームド』!!」
呼吸を置かず、パスからのダイレクトシュートで放たれた剣城のシュートはザノウの繰り出した必殺技を突き破ってゴールを貫いた。
どこか興奮気味に吹き鳴らされる法螺貝に釣られたように、観客たちがわっと盛り上がる。
「これで同点だ!! 中々の作戦だったぞ、藤吉郎! まさか敢えて攻撃しないことで相手を油断させるとは!!」
「敵は太助たちには攻撃を止められんと思っていたはず……そこに必ず隙が出来ると踏んだんじゃ。一夜城がなければ考えられなかった作戦じゃろう?」
ピンク色に変身して大興奮するワンダバに、藤吉郎はしてやったりと言った風にニヤッと口角を上げた。
ベータはシュートを止められたことと点を取られたことの驚きと苛立ちを隠せないらしく、不機嫌そうに頬を膨らませて太助たちを睨んでいる。
「太助、市正、獅子丸、五郎太! お前たちの敵を恐れない気持ちと絶対に守るという強い思いがなければ、敵を欺き戦局を一転させることは出来なかったんじゃ!!」
「藤吉郎さん……!」
藤吉郎の今日一番の大きな声に、太助たちは驚いたようにそちらを振り向いた。
「お前たちがひとつになって決めた得点じゃ!!」
良くやったぞ、と藤吉郎からの力強い賞賛に、子供たちは喜色に表情を綻ばせる。
「俺たちみんなが決めた得点……!」
「そうだよ! 1人でも欠けてたら決められなかったんだ!」
目を輝かせる天馬に頷いた、太助はふと胸を自分の押さえた。
敵の攻撃を防いだあの時から、ずっと心臓がうるさいくらいに脈打っている。だが、決して嫌な気分はしない。太助は晴れやかに笑って言った。
「天馬……さっかーって、楽しいな!」
「──うん!!」
それから織田軍の──特に子供たちの動きは、前半のプレーが嘘のように格段に良くなった。
練習の成果を発揮出来ているだけではない。自分たちも戦えるという自信を付けたことで、試合の中で少しずつ成長しているのだ。
ボールを受け取った神童に、動きを止めるな、と藤吉郎が興奮気味に声を荒らげる。
敵の妨害を掻い潜り、神童はゴールを睨み据えた。
「(俺も化身アームドを絶対に──今度こそ、完成させてみせる!!)」
前線を切り拓いた神童は、一気に闘気を練り上げる。
「《奏者 マエストロ》──『アームド』!!」
「神童先輩……!」目の前に立ち上った化身の光に、雷門イレブンは固唾を呑みその光の行く末を見つめた。
光の線は神童の体を取り巻き、足下を浮き上がらせて──
「──ぐぅっ!!」
「っ神童先輩!」
一瞬の後、彼の体を地面に落とした。
その場に膝を突いた神童は、流れを止めてしまった自分の手を見つめて奥歯を噛み締める。
「くっ……何かが足りない! まだ、何かが……!!」
立ち上がった彼の足下からボールが奪われていく。直ぐさまそれを追い掛けながらも、神童の頭の中は自分に足りないものは何かと言う疑問が渦巻いていた。
「──あの者、名は何と言ったか」
ぱちん、ぱちんと扇子を鳴らしながら、信長は目を細める。
側近の1人は即座に彼の目線の先を追い答えた。
「は。神童拓人と申すようでございます」
「……そうか」
ばちん、と一際大きく扇子が鳴る。
側近2人はやや緊張した面持ちで、様子の変わった主の背中を見つめた。
「よォし、遊びはここまでだ! てめぇら、オレに任せろ!!」
途切れた流れを見て突然声を張り上げたベータに、雷門イレブンはまさか、と目を見張る。
「ゴーストミキシマックス!!」咆哮とベータから放たれた淡い紫色の光が次々と仲間たちの体に向け飛び散ると、フィールドはその光で眩く輝いた。
「行け、てめぇら! とことん叩き潰してやれ!!」
「はっ!!」
ベータから力を与えられた今川軍は戦車のように突進してくると、次々と織田軍の選手を吹き飛ばしていく。
為す術無く倒されてしまった天馬たちに、太助たちは目を見開きながらも迫り来る敵の攻撃に身構えた。
「ここは通さない……! 一夜城!!」
「そんなもの捻り潰すッ!! 来い、《虚空の女神 アテナ》──『アームド』!!」
一笑したベータの体から闘気が溢れ、彼女は化身を身に纏う。
「シュートコマンド・07ッッ!!」
「うわああああっ!!」
放たれた強力なシュートは、太助たちの牙城を粉々に砕いていく。空気をうねらせ目の前に突っ込んでくる脅威に、信助は負けじと吼えた。
「絶対に止める!! 《護星神 タイタニアス》──『アームド』!!」
今度こそ化身アームドした信助は、体全体を使ってベータのシュートに喰らい付いていく。
けれどゴーストミキシマックスで強化された化身アームドから放たれたシュートの威力は、今までの比ではなかった。
「──っうわああ!!」
身に宿した化身の光が引きちぎられるように消えていく。
信助の体ごとシュートをゴールに押し込んだベータは、沸き立つ歓声と法螺貝の号音を浴び笑みを浮かべた。
「僕の化身アームドが通用しない……」
「化身アームドは、使用者の能力プラスコンディションによってそのパワーが大きく左右されるんだ。大丈夫、特訓を重ねれば更に強くなれるよ」
肩を落としてボールを見つめる信助を、フェイが穏やかに慰める。うん、と頷いた信助は納得こそ行った風だったが、表情はやはり優れない。
「ほっほ! 天晴れ天晴れ。やはり織田など敵ではないのう」
「……」
隣の櫓の上で高笑いした義元には一瞥もくれず、信長は険しい顔付きでフィールドの神童を睨め付けていた。