87

夜半、最後の練習を終えた後。
鈍く足音を響かせて、依織はトウドウと共に地下へと続く長い階段を下っていた。
現在地はスタジアムから離れ、林の中にポツンとあった倉庫のような小振りな建物の中である。足元を照らす間接照明はやや頼りなく、油断すると足を踏み外してしまいそうだ。取り付けられた手摺をギュッと掴みながら、依織は一歩先を行くトウドウの後頭部を睨む。
見せたいものがある、着いてきなさい──そう言葉少なに言ってトウドウは依織の返事も聞かぬまま歩き出してしまったので、着いていかざるを得なくなってしまったのだ。

「(私の周りにいる大人ってのは、姉さん以外言葉が足りないのばっかりなのか?)」

どこへ行くのかと聞いても、行けば分かると返されるだけ。答えを先延ばしにすることに何の意味があるのか。
心の中で愚痴を溢していると、階段が終わり目の前に簡素な扉が現れる。そこを潜ると中から光が溢れ、何日か前にも見た白い円形の部屋に出た。エルドラドの研究室だ。

「ここも壊れされたと思ってた……」
「奴ら、地下の施設までは把握していなかったらしい。お陰で本部があの様になった後も、研究は滞りなく進んでいた」

出入り口は緊急用しか使えないがね、とトウドウは部屋を見回している依織に溜息混じりに言う。
その話し声を聞きつけてか、こちらを振り向いた研究員の一人がハッとした様子で駆け寄ってきた。

「議長、お待ちしておりました!」
「ああ。例の物は?」
「ご用意出来ています」

おい、と研究員が仲間に声を掛ければ、もう一人が小さなケースを慎重に抱えてやって来る。
蓋を開くと、青い液体の入ったアンプルがクッションの上に仰々しく詰められていた。

「これは……」
「SSCの能力を抑制するワクチンだ」

ぱっ、と依織はトウドウを見上げる。
ワクチンを手に取りじっと見つめて、ようやくだ、と零したトウドウは依織に向き直った。

「これでSSCの力を封じるだけでなく、彼らの寿命を伸ばすことが出来る。……君の提供した遺伝子情報がなければ、完成には至らなかった。感謝する」

深々と頭を下げるトウドウに、依織は少しだけ驚いた風に目を見開く。

SSCの特殊能力を無効化し、寿命を伸ばすワクチンを作る──先日依織がここへ連れてこられた時、トウドウはそう説明した。
実験と研究を繰り返し、出来たのは短時間しか効果のないものであったり寿命の延長に至らなかったりと、中途半端な物ばかり。SSCの遺伝子情報さえあれば研究は飛躍的に進むだろうが、今まさに戦争をしている相手が協力してくれるわけもなく。

そこで白羽の矢が立ったのが依織だった。
能力に半覚醒している特殊個体、SSCの始祖とも呼べる一人。そんな人間の遺伝子情報が手に入れば、研究は一足飛びに進展するに違いない。
しかし、事態は急を要する。生きている時代も違う人間に事のあらましを一から説明して協力を仰ぐのは、あまりに非効率的である。そうなると残す手段はただ一つ。強引にでも未来へ拉致し、過去への帰還方法を交渉材料に遺伝子情報を提供してもらうしかない。

「発想がヤクザ過ぎる」

先日その話を打ち明けられた際に、依織がトウドウへ放った一言である。
もしも一番最初にアルファと邂逅した時にフェイが助けに入らなければ、この白い実験室に拉致され理由も説明されないまま被検体扱いをされ、事が解決するまで軟禁されていたというわけだ。想像しただけでも怖気が走る。
だが、依織は文句を言いつつも渋々研究への協力を承諾した。
状況が変われど結局拒否権はあってないようなものだったと言うのが主な理由ではあったが、そうすることで自分たちが切っ掛けで生まれたSSCが普通の少年少女としての生活を手に入れられるのなら、きっとそれが一番良いと思ったからだ。

「そして……これとは別に、効果を抑えたワクチンを用意させた。それは君に摂取してほしい」
「私に?」
「ああ。そうすれば、君の能力も完全覚醒することなく年齢と共に落ち着いていくはずだ。縮まりかけた寿命も元に戻る」

早速投与の準備を、とトウドウの一声に、周囲にいた研究員たちは慌ただしく動き始める。
依織はそれを眺め、足元に視線を落とし一瞬考え込んで──顔を上げた。

「……私、打たない」
「なに?」

トウドウは怪訝な顔になって依織を見下ろした。研究員たちも依織の声が聞こえたのか、動揺したようにこちらを振り返っている。

「それでは君は、そのまま能力の覚醒を待って寿命を縮めるというのか?」
「早とちりすんな。あくまで“今日は”打たないッて話だよ」

唇を尖らせ、依織は煩わしそうな目線をトウドウに向けた。

「明日、最終戦が終わった後に打っても十分間に合うんだろ」
「……我々が負ければ、この研究所が見つかり占拠されるのは時間の問題だろう。そうなれば君がワクチンを摂取出来る保証もないぞ」
「勝つさ」

ジャージのポケットに乱暴に手を突っ込んで、依織は声に苛立ちを滲ませて目を吊り上げる。

「これまでずっと命賭けて戦ってきたんだ。今それを使わないのは……私なりのけじめだ」
「……後悔するなよ」
「誰がするか」

吐き捨てるように言って、依織は踵を返した。
そして扉の取っ手に手をかけたところで、ハタと立ち止まる。

「私は自分の力と……仲間の力を信じてる。だから、当日になって余計な真似すんじゃねーぞ。オッサン」

最後にトウドウを一睨みして、依織は一足先に研究室を後にした。
閉ざされた扉を見て、研究員の一人が憤慨したように鼻を鳴らす。

「ぎ、議長に向かって何て失礼なことを……!」
「構わん、子供の言うことだ。……しかし、彼女には悪いが、大人には大人の果たさねばならぬ責任があるからな」

トウドウは研究員を宥めて、インカムのスイッチを入れた。

「──サカマキ、私だ。守備部隊を01のミーティングルームへ召集しろ」




再び長い階段を登り、外へ出る。研究室にいたのは十分にも満たない短い時間だったが、外の空気を吸い込むと少しだけホッとした心地になった。
明かりの減った夜の街は酷く静まり返っている。昼間スタジアムを満たしていた騒々しさが嘘のようだ。
林を抜けて、依織はスタジアムへ戻るべく歩を進める。宵闇の中に扉がうっすらと見えてきたところで、そこに人影がポツンと佇んでいるのが見えた。

「……剣城? 何してんだ、そんなとこで」
「! 鷹栖」

見覚えのあるシルエットに声を掛けると、扉の前に立っていたのはやはり剣城だった。
剣城は依織に気が付くと、大股でこちらに近付いてくる。

「空野が、お前がトウドウ議長にどこかへ連れてかれたって言うから……」
「ああ……大丈夫だよ、別に変なことはされてない」

葵からしても、エルドラドの大人はまだまだ信用ならない人物たちである。きっと依織を追いかけるべきか迷っていたところで、部屋に戻ろうとしていた剣城と鉢合わせたのだ。

「前に言ってた、実験の件か」
「うん。それが無事に終わった、って報告受けてた」

正しくは、それだけの用件ではなかったのだが。これを話したところで『変な意地張らずにさっさとワクチンを打てば良かっただろう』と苦言を呈されることは目に見えている。

「……一緒に背負ってもらってるからさ。今はほんとに、案外怖くないんだ」
「ん……? 何か言ったか?」
「なぁんでもない。戻ろっ」

首を傾げる剣城の背中を軽く押して、依織は軽い足取りでスタジアムへ戻って行った。


§


翌日、早朝。
01の使用していた会議室には、雷門イレブン──もとい、ザナークを加えたクロノストームが集結していた。
後ろには鬼道と豪炎寺が控え、共にミーティングの開始を待っている。トウドウは子供たちの顔を見渡し、ゆっくりと口を開いた。

「──いよいよ今日がフェーダとの最終戦。人類の未来を懸けた、最後の試合だ。……準備は出来ているな?」
「はい!」

彼なりに子供たちの緊張を解すためか、掛かる声はいくらか穏やかである。
力強く返答した天馬たちによろしい、と頷いて、トウドウは脇に控えたサカマキへ視線を送った。

「サカマキ、あれを」
「……試合中は、これを耳の中に入れておけ」

そう言ってサカマキが差し出して来たのは、ケースの中に鎮座した小さなイヤホンのようなものだった。
これは? とそれを繁々眺めて首を傾げる天馬にサカマキは言う。

「フェーダの念動波を防止するチップだ」
「防止するチップ?」
「奴らのことだ……前回同様、念動波を使いお前たちの頭にプレッシャーを掛けてくる可能性は十分にある」

天馬を始め、03のチームに参加していた選手たちの顔が苦々しいものになる。あの酷い頭痛は、出来ればもう二度と体験したくない。

「いや……SARUはもう、あれはやらないと思う」

そこで口を挟んだのはフェイだった。

「あの時、SARUが僕にやらせたのは僕と天馬たちを引き裂くためだったから……」
「……念の為だ」

一瞬眉根を寄せて、サカマキは一言付け加える。一度SARUに騙された身としてフェイの言葉は信じきれないが、ここで強く言い返せば無駄に天馬たちの反感を買うことになると判断したのだろう。

「……分かりました」

二人の顔をチラリと見比べ、逡巡の後天馬はチップを受け取った。SARUがどう行動してくるか分からない以上、サカマキの言う通り用心しておくに越したことはない。

「で、この最終戦を指揮してもらう監督だが」

全員にチップが行き渡り、装着したことを確認して続いたトウドウの言葉に、ワンダバの耳がピクリと動く。

「議長、それはワタシが──」
「フェイ、準備完了じゃ!!」

その瞬間、見計らったようなタイミングでワンダバの張り切った声がものの見事に掻き消された。
全員が驚いて声の出所である背後を振り返ると、扉の前にアルノが仁王立ちしている。

「アルノ博士! 出来たんですね!?」
「出来た……?」

ハッとした様子でアルノに駆け寄って行くフェイに、天馬は何事かと首を傾げた。
答えを聞けぬまま開きっぱなしの扉から運び込まれてきたのは、大掛かりな機械たち。中でも一等大きいのは、真ん中に置かれたの卵形の機械である。

「多重時間理論第一人者のわしが作り上げた、クロノストーン化された人間を元に戻す装置じゃ!」
「元に戻す装置……!?」
「フェイ!」

アルノに呼ばれたフェイは、頷いてポケットから何かを取り出す。
薄紫色に輝く掌サイズの石。クロノストーンだ。

「えっ……それってもしかして、円堂監督が閉じ込められてる石!?」
「うん……」
「フェイ、おまん『うん』て簡単に言うとるが……!」

円堂のクロノストーンはフェーダの手に渡ったはずだ。どうしてフェイがそれを、と仲間たちの疑問の視線を受けて、フェイは硬い表情で答える。

「昨日、フェーダから取り返して来たんだ」
「フェイ……」

これが仲間を欺き傷付けたことへの、彼に出来る精一杯の罪滅ぼしだったのだろう。それと同時に、SARUと決別して戦うことの覚悟の表れでもある。天馬は目頭が熱くなるのを感じながらフェイを見つめた。

「さ、石をこちらに」
「はい」

アルノに従い、フェイはステージ中央から伸びてきたアームに円堂のクロノストーンを取り付けた。
アームは人の膝丈ほどの高さまで伸び、周囲の壁から短い針のような部品が伸びてその先端をクロノストーンへ向ける。

「よし……セット完了じゃ。それじゃあ始めるぞ!」

アルノが機械を操作すると、針から青い電流が迸り始めた。一同が見守る中、モニターに映る数値はどんどん上昇し、やがて何かのメーターを完全に満たす。

「システム、スタートぉ!!」

絶叫と共にスイッチが押され、電流が一気に激しくなった。眩い光の点滅に、一向は薄目で事を見守る。
やがて電流は収まっていき、光も段々と落ち着いていく──が、クロノストーンには何の変化もない。

「……? 何も起こらないけど」
「ん? おかしいのう……何故スタートしないんじゃ?」

肩透かしを食らいキョトンとした顔になった信助が口にすると、アルノは首を捻りながら起動ボタンを押し直した。
モニターは正常に動いているはずなのに、どうも肝心の起動スイッチが上手く作動しないらしい。

「運び込む途中で、どっかぶつけて壊したんじゃねえの? 博士の作るもの、衝撃に弱いっぽいし……」

以前アルノから預かったブレスレットが海に落ちた衝撃で壊れたことを思い出しながら、依織は怪訝な目を脇にある機械たちに向ける。

「ホントに大丈夫かよ、この機械。……動けッ」

文句を溢した水鳥の足が、ガン、と機械を蹴り付けた瞬間。
青く光っていたモニターの色が一斉に赤に変貌し、けたたましい警告音を鳴らし始め電流が再び流れ始めた。

「きゃーッ!?」
「な、何が起こってるんだ!?」
「まずい、システムが暴走しておる!」

先程までと明らかに様子の変わった機械に、アルノは険しい顔になってモニターを操る。
しかし状況は依然として変わらず、それどころか機械全体がガタガタと震え始める始末だ。

「ど、どんどんおかしくなってくぞ!?」
「ぬああ! 水鳥がいらんことしたせいじゃ!」
「も、元々変だったじゃねーか!」

バチバチと激しくなる電流と眩い光の中、天馬はハッと目を見開く。壊れたアームから解き放たれたクロノストーンが、ふわりと宙に浮かび上がるのを見たのだ。

「か、監督!!」
「あっ……ダメよ、天馬!」

思わず石に駆け寄ろうとする天馬を止めようと、葵が手を伸ばした次の瞬間──電圧に耐えきれなくなった機械が小規模な爆発を起こす。

「うわぁっ!!」

爆風と煙に吹き飛ばされて、天馬は強かに尻餅を突いた。
機械はすっかり大破して、白い煙がもうもうと上がっている。

「ゲホッ、ゲホッ……え、円堂監督……! 円堂監督は!?」

顔に掛かった埃を払い除けながら、天馬は必死に声を上げる。

すると、煙の向こう──卵形の機械があった場所にうっすらと人影が見えた。
室内に煙が充満したことで空調システムが作動したのだろう、換気口がゴーッと音を立て、煙は一気に外へ放出されて人影の主が顕になる。

「──よっ、みんな!」

そこに立っていたのは、円堂だった。
まるで最初からそこにいたかのような自然な快活さで、彼はそこに立ち、片手を軽く持ち上げる。

「円堂、監督……」

天馬は目を輝かせ、数歩円堂に駆け寄ったところでグッと踏み止まった。
いくら感動の再会とはいえ、キャプテンとしてここできちんとしなければ円堂にも成長を感じてもらえないかもしれない。

「っ円堂監督……おかえりなさい!!」
「みんな、すまなかったな」

長いこと留守にして、と円堂はいつか雷門を出て行った時と同じような苦笑を浮かべる。
天馬は首を激しく横に振って言葉を紡ごうとしたが、やはり気持ちが抑えきれなかったのだろう。感極まって滲んだ涙を拭って天馬は両手を挙げて雄叫びを上げた。

「──やった! 円堂監督が帰ってきたぞ!!」

不穏な空気から一転、子供たちは久々の円堂との再会に安堵と喜びの声を上げる。
一歩後ろで事を見守っていた鬼道と豪炎寺は、子供たちの弾ける笑い声を聞きながら穏やかな笑みを交わした。

「ようやく帰ってきたか……」
「ああ。あいつはいつも遅いんだ」

博士の持ち込んだ機械はすっかり大破してしまったが、性能自体は本物だったらしい。そうなれば、アルノにはこれを修理してもらう必要があるだろう。

「これで大介さんも元に戻れますね!」
『わしか? わしは結構気に入っとるぞ、この体。この方が動きやすいしのう!』

大介は軽い調子でそう言って、葵の頭上をくるりと飛んだ。
実際、大介は八十歳を過ぎた老人も老人である。クロノストーン状態の方が動きやすいと言うのは正直な本音だった。

「みんな……ここまでよく頑張ったな」
「──この声……おお、あの時の声は円堂守だったのか!」

円堂が雷門イレブンを見回して声をかけていると、不意にザナークが大きな声を上げる。
あの時? と天馬が聞き返すと、ザナークは頷いて語り始めた。

「クララジェーンをミキシマックスした時だ。お前は心も体も、もっと強くなれる……そんな声に突き動かされて、俺は奴とのミキシマックスを果たした」

ずっと石にされて喋ることも動くことも出来なかった円堂が、一体どうやって。
天馬たちがチラリと円堂を見やると、円堂はふっと口角を上げてザナークに視線を返す。

「石になった俺は、一度ザナークの手に渡っただろう。その時……俺の意識の欠片みたいなものが、ザナークの中に残ったんだ。こいつの強さを求める心に反応したのかな」

石の体はやはり動くことも喋ることも出来ないままだったが、ザナークの目を通して円堂はぼんやりとだが外の世界を感じることが出来た。
ザナークにその意識が届いたのは、彼がクララジェーンを従えようとしていた時のたった一度だけ。それでも、ザナークの背中を押すには十分だったらしい。

「お前ならやれると思った。ザナーク……お前の力、見せてもらうぞ」
「ふん……楽しみにしてな」

直接顔を合わせるのはこれが初めてのはずなのに、前からの知り合いであるような何とも言えない不思議な心地である。
しかし、悪い気はしない。ザナークは不敵に笑って答えた。

「そろそろスタジアムに行く時間だ!! このクラーク・ワンダバット様が、チーム・クロノストームの監督として──」
「円堂監督! 試合の監督をお願い出来ますか!?」

背後で何かが盛大に転げていくような音がしたが、目の前に集中した天馬の耳にそれが届くことはなかった。
詰め寄ってきた子供たちに、円堂は虚を突かれたように目を瞬く。

「俺、最後の試合は円堂監督に指揮してもらいたいんです!」
「お前たち……」
「──良いんじゃないか?」

自分はここまで監督としても大人としても天馬たちを守ることが出来なかったのに、そんなことが許されるのだろうか。
そんな迷いを表情に滲ませていると、聞き馴染みのある声が円堂の背中を押した。

「ここまで来たら、あとは気持ちの勝負だ。最後はこの試合に賭ける思いの強い方が勝つ」
「頼んだぞ、円堂」
「鬼道……豪炎寺……」

鬼道や豪炎寺も、ここまで雷門イレブンをずっと守り導いてこれたわけではない。
この長い旅路のほとんどは、子供たち自身が考え選び、歩んできたものだ。そんな彼らが円堂の指揮が良いと言うのなら、自分たちにそれを止める権利はない。

「お願いします、円堂監督!」
「お願いします!」

神童の声に続き、雷門イレブンは声を揃えて深く頭を下げた。
──ここまで来てしまえば、断る方が無粋というもの。円堂は一息深く吸い込んで、歯を見せて笑う。

「よーし……久々にお前たちと一緒に戦うぞ! みんな、サッカーやろうぜ!!」
「おおッ!!」

部屋の片隅に転がるワンダバを他所に、会議室に気合いの入った声が反響する。
未来世界の運命を決める戦いは、目前に差し迫ってきていた。
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