年に一度、男女共に浮き足立つ日というものが存在する。その日は町中甘ったるい匂いで溢れているようにさえ思え、各商店では激しい商品争いが勃発するのだ。

そしてそれについつい釣られてしまうのが人間というものであり、縁の有無に関わらず、その空気に飲み込まれていく。
そう、例えばこんな風に。

「バレンタインなんて無くなればいいのに……」

意気消沈としてテーブルに突っ伏しているのは辺見である。
普段挑発的につり上がっている眉は真一文字にまで下がり、取り巻くオーラは正に真っ青。
そんな彼の隣で、腕いっぱいに色とりどりの箱を抱えて困った顔をしているのは源田だ。

「そんなこと言うなよ、辺見。食べたいなら分けてやるから……」
「イヤミじゃねーって分かってても腹立つわ!!」

おずおずと差し出された源田の腕ごと箱を叩き返し、辺見は涙目になりながらテーブルを叩く。

「つーか、いつもは女子なんて怖がって寄り付かねーのに何で今日限定でそんなモテるんだよ!?」
「所詮男は顔、要するにこの日に渡せりゃオッケー、っていう自己満なんじゃないッスかー?」

そう返しベンチでクッキーを頬張るのは、すっかり帝国イレブンに馴染んでしまった成神だ。
つまみ上げるクッキーは全て綺麗な箱や包装紙から取り出したもので、傍らにはいくつも同じようなものが転がっている。
ぽりぽりと音を立てながら、成神は大きな溜息を吐いた。

「あ〜、モテるって大変」
「心底ムカツク!!」

ケタケタと笑いながら逃げる成神に、それを折れ掛かった心のまま必死の形相で追う辺見。
すでにこの光景はサッカー部の日常の一部になっているため、源田は気にせず腕の中の包みを丁寧に大きな紙袋にしまって、ロッカールームに入る。

そして丁度グローブを付終え部室へ戻ってきたところに、機械的な開閉音が聞こえた。それと同時に、ゴトゴトと足元に雪崩れ込んでくる無数の包みやリボンの付いた箱。
一様に視線を下から上へとやると、紙袋を抱え不機嫌そうな顔をした鬼道と、同じく紙袋を持った佐久間がいた。眉間にこれでもかと言うほど皺を寄せて、佐久間は呟く。

「……バレンタインなんて消えればいい」
「(ニュアンスが違う……!)」

辺見はさめざめとした様子で、両手で顔を覆った。
一歩踏み出せば、爪先に押されて転がる可愛らしい箱。床に広がったそれらは実に様々な色をしていて、ゴーグルを付けていなければ目が痛くなったかもしれない、と鬼道は真剣に思った。

「鬼道、お前の持っている分はともかく……その足元のやつは一体どうしたんだ?」
「全部、扉の前にあったものだ。どうやら、気付かれないように置いて行ったらしいな」
「辺見せんぱーい。先輩宛の包みありましたよー」
「マジでか!!」

足元の包みを騒ぎ立てる成神と辺見に任せ、ふたりはそれを大きく跨ぎ手にした紙袋をベンチに置く。
次々とやって来た他の部員達も、紙袋を常備しているか手ぶらのどちらか。

「鼻がバカになりそうだ」

鼻っ柱を抑えた寺門や万丈の数人らが足早にスタジアムに向かう中、部室の隅にまで転がった包みを開けながら土門が苦笑を漏らす。

「それにしても、流石にこれはちょっと多すぎだろ」

「ちょっとどころじゃない」壁に背中を預け、鬼道は呻くように言った。
サッカー部のファンクラブが存在するという話は小耳に挟んだことはあるが、まさかここまでとは。

「こんな量をどうしろと言うんだ……」
「食う、か?」
「食い切る前に大概が賞味期限切れになるだろ、これじゃ」

土門の開けた包みからチョコレートを一粒つまみ上げた咲山が、マスクをずらしてそれを口に放り込む。
途端、彼は「うげ」と声を漏らして、思いっ切り顔をしかめた。

「甘っ」
「まぁ、チョコだし」

俺はビター派なんだよ、と咲山は源田の言葉を一蹴して、「匂いに酔う」と、扉を開けて換気する。

「でも基本的にみんな、スーパーの安売りのやつですよね。ほら、辺見先輩のやつとか値段のシール剥がし忘れてる」
「……105円、だと……!?」

ガクッとその場で手と膝を突く辺見をまるっと無視して、成神は残ったクッキーを咀嚼した。
指に付いた粉砂糖をペロリと嘗めて、成神は溜め息混じりに呟く。

「俺、嫌ッスよ。この年で糖尿病になるなんてご免です」
「そりゃ誰だって嫌だろ」
「でも、みんな匿名だから返すことも出来ないし……」

はぁ、と部室に人数分の溜息とチョコレートの匂いが充満する。
「捨てれば良いだろ」と機嫌悪そうに言う佐久間を、源田が諫めた。

「いくら何でもそれはダメだろう……」
「じゃあどうするんだよ、コレ」

片足をタシタシと小刻みに踏んで、佐久間が口元をぐっと歪める。

「これの送り主も、みんな勝手過ぎだろ。いつもは遠巻きにして怖がってるくせに、こんな時ばっかり調子乗りやがって」

何とか床を占領する包みを部室の隅に積み上げて、佐久間はベンチにドカリと座り込んだ。

「あー……ホント、バレンタインデーとか死滅すればいい」
「世界中のチョコレート会社を敵に回す言葉だな」

そう言う鬼道もチョコの処理法が思いつかないらしく、包みの山を睨みつけるばかりだ。
しかし、本当にどうするか。
成神が言ったように、この年で糖尿病になるのは遠慮したい。だからと言って、佐久間の言った通り捨てることは忍びない。
ここにある箱に籠もっているのは、好意と下心のどちらが多いのだろう。鬼道は財閥の跡取りとして、生徒の多くに『鬼道財閥のブランド』に目を付けている人間が存在していることを知っていた。

「食べ切ることも捨てることも出来ないとなると……」
「いくらバレンタインでも、自重はするべきっスよね」
「ホント、迷惑だ」
「──すごい量ですね」

おもむろに会話に混じった声に、全員が俯いていた顔を上げる。
そこには、開きっぱなしの扉から、少し唖然とした表情で部室を眺めるマネージャーの姿があった。

「これって全部、サッカー部宛なんですか?」
「困ったことにな」

嘆息する鬼道に、織乃は肩にかけたエコバックを揺らして、僅かに苦笑してみせる。
そんな織乃に、「そうだ!」と名案を思いついたとばかりに駆け寄るのが成神だ。

「織乃さん料理得意ですよね? これ溶かしてケーキにしちゃったりとか、出来ます?」
「え? ああ……うーん。やろうと思えば出来る……かな?」

小首を傾げた織乃に、やった! と成神はいつものように飛びつく。
否、飛びつこうとした。
それが失敗に終わったのは、織乃がするりと方向転換して、ロッカールームに向かったのが原因である。
止まり切れずにベシンと壁に激突し鼻を赤くした成神や他の部員たちを一瞥し、織乃は振り向き際に少しだけ微笑んだのだが。

「でも、中にはきっと頑張って手作りしたものも混じってると思うから、お勧めはしないよ」

口調はいつも通りだったが、どこか棘の生えたような彼女の台詞に、一同はパシュンと閉まったロッカールームの扉を見つめ、顔を見合わせる。

「……何か、機嫌悪い……?」

呆然と呟いた佐久間に、全員が首を傾げた。

「何か嫌なことでもあったかな」
「いやぁ、だからって人に当たるようなことはしないでしょ。織乃ちゃんは」
「成神の言ったことに腹立ったんじゃねーの?」
「織乃さんはあれしきで怒ったりしません! ……多分」

「自信なさげだな」少し笑う鬼道に成神は眉を釣り上げて、至極真面目な顔をして言った。

「知ってます? 織乃さんて、怒ると超怖いんですよ」
「……初耳だが」

織乃と最も接点が多い成神はそれに遭遇したことがあるのだろう、何かを思い出したのか自分の肩を抱いてブルリと震える。

「あれは女子の握力じゃない……」

一体何があったんだ。その場にいる全員の心の声が一致した。

そういえば、と。一度織乃の家に行ったことがある鬼道たちは、思い当たることが1つ。

問答無用で実兄に肘鉄を炸裂させる彼女を脳内に思い浮かべ、4人は一様に顔を青くした。
唯一事情を知らない土門や咲山は、何だ何だと余計に首を傾げる。

「で、でも、単に不機嫌ってこともあり得るわけだろ?」
「まぁ、それはそうだが……」

不安をはねのけるように明るめの声を出した佐久間に鬼道は同調したが、脳内の衝撃的シーンは消えない。
一体あの体のどこにあんなパワーが。考え込んでいるうちに再びパシュンと開いた扉に、思わず肩を揺らした。

「あれ? まだみんなここにいたんですか? 早くしないと時間が勿体ないですよ」

淡々と、一度も噛まずに告げられる。
にっこりとしてはいるが、目の笑っていない織乃を見て。

「……やっぱあれ、ぜってー怒ってるよ。ヒヨコのやつ」

小さな声で悲鳴のような呟きを漏らした辺見に、一同は無言で厳かに頷いたのであった。




機嫌が悪いように見えても、その点以外彼女の様子はいつもと変わらない。
マネージャーの仕事をいつも通りこなす彼女を視界に入れながら、鬼道は1人、小さく首を捻る。

ここ数日、何故か覇気が感じられなかった彼女が元に戻ったのは、つい一昨日のこと。
やっといつもの調子に戻ったと思った矢先にこれでは、気にするなと言う方が無理があるだろう。

「(直接聞いても、適当に濁されるだけだろうな)」

密やかに溜息を吐いて、鬼道はふと時計を見上げた。いつの間にか針は進み、練習時間終了まで3分を切っている。

「──今日の練習はここまでだ!」

少し声を張り上げると、各々ベンチへ戻ってくる部員たち。お疲れ様でしたらと声を掛けドリンクとタオルを渡す織乃の様子は、やはりいつもと変わりない。
ロッカールームに戻り、源田が着替えながら少し声を落として言う。

「元気がなくても調子狂うけど、逆にピリピリしてるとやっぱり違和感があるな」
「あまり気にしない方が良いんじゃないか? あいつだって、機嫌の悪くなるときぐらいあるだろう」

制服の前を留める源田の肩を軽く叩いて言った寺門は、先にロッカールームを後にする。
部室の方から、2人が軽く別れの挨拶を交わす声が聞こえた。

「それで──結局どうすんだよ、あの包みの山は?」

咲山が面倒臭そうな空気を漂わせて問いかければ、その場にいる全員が沈黙する。
「気は乗らないが……」鬼道が、顔をしかめながら口を開いた。

「手作りの物は衛生上全て破棄。既製品は食べられるものだけ持って帰れ」
「まぁ、そうなるよな……」

いくら織乃の言うように『頑張って手作りしたもの』が混じっていても、それが匿名である以上おいそれと口に入れるわけにはいかない。それが床に置かれていたものなら尚更だ。
着替えを終えた彼らは甘ったるい匂いを漂わせる紙袋を抱えて、ロッカールームの扉を潜る。
その音に気がついたらしい織乃が、備え付けてある水道でジャグを洗いながらそちらを振り向いた。

「お疲れさまでした」
「ああ、──お前はまだ、帰らないのか?」
「まだ少し仕事が残ってるので」

手にしたジャグを軽く振って見せながら、織乃は苦笑する。
「マネジって大変なんスね」成神がしみじみと呟く中、織乃はにこりと笑みを貼り付けた。

「鍵はちゃんと、閉めておきますから。大丈夫ですよ」

遠回しに、早く帰ってくれと──被害妄想かもしれないが、そう言われた気がした鬼道はゴーグルに隠れた目を僅かに眇める。
しかし他の部員たちはさして気にならなかったらしく、そうかと頷いて踵を返した。

「じゃあ、俺たちは先に帰るな」
「お前も帰る時は気を付けろよ」

佐久間や源田の言葉に頷き、織乃は微笑みながら手を振る。

「また、明日」

パシュン──と。聞き慣れた無機質な開閉音が、閑散とした廊下に響いた。
玄関へと歩を進めながら、「結局不機嫌の原因は分かんなかったなぁ」と土門が呟く。
思い当たることはない。何せ彼女とクラスが被っている人間はチームに1人もいないのだ。よしんば不機嫌の原因がクラスになかったとしても、織乃がそれ以降何かが理由で機嫌を損ねるタイミングなど分かるはずもない。

「(──いや、待て)」

ふと、鬼道は思い出す。部室を訪れた時の彼女が、いつもと──態度以外で、少しだけ違ったことを。
鬼道の足が止まった。

「鬼道さん、どうしたんスか?」
「…………」

辺見の問いかけには答えず、彼らより2歩ほど後ろの位置で立ち止まった鬼道は、そのまま数秒思考を巡らせたかと思うと。

「……先に行ってろ」
「え? ちょっ……」

一言だけ言い残し、来た道を早足で戻って行ったのだった。




ジャグを全て洗い終え、濡れた手を拭いて。テーブルに乗るまとめかけのノートを手に取ると、彼女は小さく溜息を吐いた。

「(……残りは、家でやろう)」

どうしても、これ以上居残りをする気分にはなれない。織乃は嘆息して、まずは制服に着替えようとロッカールームに足を向ける。

「!」

ふいに、テーブルの足に立てかけてあった自分のエコバックにつま先が当たった。
ごとん、と倒れるエコバックから、中身が滑り出る。

「……はぁ」

足元を見下ろし、二度目の溜息。床に投げ出されたそれは、中身の敷き詰まったタッパーだった。
タッパーを拾い上げテーブルに置き、そっと蓋を開けると途端に漂うココアとコーヒーの匂い。

──負けるなと。
一昨日の美里の激励に触発されたのは良いが、どうもタイミングが悪かったらしい。
自分の気合いを入れ直すのと同時に、しばらく上の空で部活に参加してしまったせいで迷惑を掛けただろうから、その詫びにと思って。
どうせバレンタインデーなのだから、いきなりこんなものを渡しても特に違和感は無いだろうと思いながらも、そわそわとパウンドケーキを切り分けた昨日の自分が恥ずかしい。

あの時──糖尿病になるのは御免だなど、こんなに貰っても迷惑だのと。
開け放した扉から聞こえた会話に、思わず持っていたエコバックを抱きしめた。

──そうだ。ファンクラブが存在するくらいなのだから、みんなチョコなんて文字通り腐るほど貰っているのに違いない。
肩を落として部室に顔を出した途端、予想通り部室は正に腐るほどの包みと甘い匂いが散漫していて、織乃は惨めな気分になった。
煌びやかに飾られた包みたちに、自分の持ってきたものがどれほど場違いな物か思い知らされたのだ。

佐久間たちのあの言葉も相まって、渡せるわけがない──と。

「……何で、いつも空回りしちゃうのかなぁ」

行儀が悪いとは分かっていながらも、織乃は椅子の上で膝を抱きかかえた。ひとつ摘んだケーキに齧り付けば、控えめな甘さが口に広がる。

「(結構、美味しく出来たのに)」

自画自賛しながら、織乃は背中を丸めた。──すると。

「──お前たち、まだ校舎内にいるな? 部室に戻ってこい、今すぐ」

この場にあるはずのない声に、ビシリと体が固まる。
恐る恐る振り向けば、そこには一体いつからいたのやら。自分の携帯を片手に、壁に寄りかかった鬼道の姿があった。

「きっ……き、鬼道、さん……!?」
「御鏡。お前、考え事していると周りが見えなくなるタイプだろう。扉の音がしても気付かないくらいな」

そう言いながら、鬼道は背中を壁から離す。
織乃はあわあわと金魚のように口を動かすばかりである。

テーブルに置きっぱなしだったタッパーを一瞥して、鬼道は浅い溜息を吐いた。

「別に、ケーキを渡すくらいで臆さなくてもいいだろうに」
「だ、だって……みんな、あんなに可愛らしいの沢山貰ってたし……私のなんか、あげても」
「御鏡」

少しだけ強い口調で名前を呼べば、織乃は分かりやすくビクリと肩を揺らす。
「俺たちは、だな」一瞬言い淀んだ後、鬼道は椅子の上で徐々に涙目になっていく織乃を見下ろした。

「見知らぬ人間から下心の籠もった物を貰ったって嬉しくない」
「え?」
「それから、疲れが取れるからと言って砂糖まみれの甘過ぎるものを貰っても困る」

「あ!」と慌てたような織乃の制止も気にせず、鬼道はひょいとタッパーに手を伸ばしてそれを口に放り込んだ。
コーヒーのほろ苦さとふわりとした甘さの混ざったそれを咀嚼し、飲み込む。指に付いた粉砂糖をさっとハンカチでぬぐい取り、鬼道は改めて織乃を見下ろす。

「だからお前から貰ったものが一番丁度良いんだ。俺たちにはな」
「鬼道さ……」

歯を食いしばり、必死に泣き声を漏らさぬようにする織乃の頭を鬼道は不器用に撫でつけて、少しだけ微笑んだ。

「お前は、他ならぬサッカー部のマネージャーなんだから──堂々としていれば良いんだ」
「……っはい!」

手の甲で目元を拭った織乃は、目尻を赤くしながら至極幸せそうに笑う。
その途端、気が抜けたのか、椅子に乗っていた彼女の両足の踵がずるりと落ちた。

三角座りをしていた体は、重力に逆らうことなく大きく傾く。

「うぶっ」
「……何をしているんだお前は」

咄嗟に前へ出た鬼道の腹に顔面をぶつけ、拉げた声を上げた織乃は彼の制服に顔を埋め「す、すいません」と顔を赤くして呻いた。

それを見て、やっといつもの彼女に戻った──と織乃から顔が見えないのを良いことに、鬼道はくつくつと笑いながら彼女の背中に手を添える。

そこで和やかな空気をことごとく破壊する声がひとつ。

「──あああああッ!!」
「!?」
「ぅえっ!?」

2人してギョッとしながら声のした方を振り向けば、開け放した扉を背にこちらを震える手で指差す成神の姿。
唇を戦慄かせながら、成神は悲鳴のような叫び声を上げた。

「きっ、鬼道先輩が! 織乃さんと抱き合ってる!!」
「な……っ」
「え!? ちょ、健也くん!?」

ギョッとしながら慌てて体を離せば、「はぁ!?」と驚愕したように飛び込む5つの影。言わずもがな先程鬼道に呼び戻された佐久間たちである。
成神はズルいだのなんだの言いながら、織乃に突撃した。

「織乃さんとハグする権利は俺のモンだと思ってたのに!」
「は、初耳だよ!?」
「ヒヨコお前、何鬼道さん誑かしてんだよ!」
「ええ!? 違っ……!」
「織乃ちゃんたちってそういう仲だったのか?」
「待てお前たち、誤解だ!」
「鬼道……」
「止めろ源田、そんな生暖かい目で俺を見るな!」
「つーかマネージャー、元に戻ってね?」
「と、とにかく、2人とも実際どうなんだよ!?」
「だから違う!!」

結局、一同の誤解が解けて。
テーブルに置きっぱなしだったケーキを食べながら、涙目で謝罪する織乃を慰めたのは、それから30分後のことだった。

愛を謳え