※高校生ヒロイン
私は今、学校とバイトの両立で目まぐるしくも楽しい日々を送っております。
そのバイトと言うのが、サッカー少年たちの寝泊まりする合宿所のお手伝い、つまり雑用なのである。
何でも彼らは中学生サッカーの世界一を決める大会に出るらしく、毎日練習に励む日々(時々監督と衝突しているらしいけど)。週3のペースでお手伝いに来ている私もその熱気に当てられて、今日も今日とて合宿所を掃除しまくる。
そんなある日のこと。
「わーっ!」
「おお!?」
モップを掛けながら走り回っていると、通り過ぎ掛けた部屋から悲鳴が聞こえた。
この部屋は確か…
「どうしたの、吹雪くん!」
「あっ、名前さん!!」
扉をばーんと開けると、まず目に入ったのは涙目で部屋の隅っこの壁に背中を付いた吹雪くんの姿だった。
「何かあったの?」
「あったというか、」
言い掛けた吹雪くんの顔が引きつった。
その視線を辿ってみると、反対側の壁に堂々と張り付く黒い悪魔が。
「あ、Gだ」
「じ、じぃって何ですか?北海道にはあんな虫いなかったですよ!?」
私の腕にすがりついて必死にヤツから逃れようとする吹雪くん。
ああそうか、北海道にはGが生息してないってどこかで聞いたことがあるな…
私はくるりとモップを構える。
「せいやッ」
そしてドスッと。G目掛けてモップを特攻させた。
さらばモップ、お前の勇士は忘れない。
と、一人Gの残骸を処理していると、ふと首筋に違和感。
振り返ると、吹雪くんがポカンとした顔で私を凝視している。
ああそうか、女の子って「きゃー虫怖い!」っていう子が多いもんね。Gだったら尚更だ。
それを私はモップで一突き…
あれ、それダメじゃね?思いきり女捨ててね?
うわあヤバい、これ完全に吹雪くんに引かれちゃったよ。中学生たちに嫌われるのはお姉さん辛いなぁ。ピンチだ、緊急事態だ。だけど今更どんなことを言っても言い訳になるはずもないだろう。
吹雪くんが、両手で拳を作った。
「…名前さん、カッコいい!」
……あれ?
乙女のメーデー