「サッカーやろうぜ!!」
「断る!!」

一体何度目かも分からない問答を繰り返す。
「そんなぁ」とがっくりうなだれるサッカー馬鹿、もとい円堂。

「なぁ名字何でサッカー部に入ってくれないんだ?」
「逆に何であんたは私をサッカー部にいれようとしてるのよ」

私は特に運動ができる訳じゃないし、円堂たちみたいな超次元な、色々な原理を覆すようなサッカーだって勿論できない。
なのに円堂は、私がこの質問をするたびニカッと笑って言い切るのだ。

「名字が豪炎寺の『カノジョ』だから!」

ビックリするほど答えになってない。私はさっきの円堂みたく、がっくりうなだれた。
恐らく円堂の中では、『豪炎寺=凄腕ストライカー=その彼女もきっとすごい選手に違いない』と言った感じの方程式が成り立っているのではないだろうか。いや絶対そうだ。
豪炎寺と付き合うことに後悔は全然してないけど、こんなオプションが付くことが分かっていたら私はもう少しあいつに告白することを躊躇したハズだ。

やがて、いつまでたっても部室に来ない円堂に痺れを切らしたらしい秋ちゃんがこちらに向かって走ってきた。眉間に深く皺を刻んで、せっかくの美人が台無しである。

そんな彼女の背中越しに、同じく円堂を探しにきたであろう豪炎寺の姿を見つけて私は思わずドキリとした。

「もーっ!円堂くんたらまた名前ちゃんに迷惑かけて!ほら行くよ!あ、またね名前ちゃんっ」
「あーっ、何すんだよ秋、あと少しで勧誘できそうだったのに!」

どこが後少しなんだ。私が心の中でツッコんでいると、トントンと肩が叩かれた。

「悪いな、いつも円堂が」
「あ、いや…もう慣れたし」

ふぅ、と溜息をついた私に、豪炎寺は少し考え込んだ後、口を開く。

「…入らないのか、サッカー部」
「豪炎寺まで!?」

思わず叫ぶと、豪炎寺は「そうじゃなくて」と首を振った。

「勿論選手としてじゃなくて、マネージャーとしてってことだ」
「マネージャー?」

そう言えばその選択肢もあったか。でも私は、秋ちゃんたちみたく気が利く性格じゃないしなぁ。
考え込んでいると、豪炎寺がちょっとだけ頬を赤くしながら、明後日の方向を見つつ呟くように言った。

「俺は、お前がそばにいてくれたら…、その、もっと頑張れる気がするんだが」

あ。やばい、揺らぎそう。


らり、