俺の目の前にいる少女は、恋人と呼ぶべき存在だった。
しかし、今そんな彼女は目尻を釣り上げ明らかに怒りをちらつかせ俺の前に鎮座している。何か気に障るようなことをしただろうか。分からない。ただ俺は、今日は夕香の見舞いに行くのだと告げただけだ。理由も分からない内に「良いから黙ってそこに正座!」と言われたまま大人しく座ってしまったが、本当にこれはどういうことなんだろうか。
そしてついに名前は口を開く。
「あんたが妹を大事に口を思ってるのは重々承知してるよ、私だってそういうとこに惚れた節だってあるんだから。でもね、修也。口を開けば夕香夕香夕香夕香って…!」
肩を震わせ怒りを耐えるように言う名前に、不謹慎ながら頬が緩みそうになった。これは、あれだろうか。所謂嫉妬とか言う。
「夕香ちゃんが大好きなのは自分だけと思うなよ!私も見舞いに連れてけ!!」
期待した俺がバカだった。
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