目の前で揺れるピンクの頭。つるりとしたおさげが風に吹かれた。

「寒いな…大丈夫か?」
「ん、平気」

迷子にならないように、と目を細めて差し出された手は、互いの体温でぬくぬくと暖かい。
ぎゅうっとその手を握り返して、私は頷く。

「進まないね…列」
「だな」

ずらりとした列の最後尾は、まだまだ賽銭箱からはほど遠い。
みんな、何をそこまで願うことがあるのだろう。
健康祈願、恋愛成就。どこかで、おみくじで大吉を引いたらしい小さな子供が歓声をあげるのが聞こえた。

「さて、と。俺たちは何を願うとするかな…」
「さぁ?」

なんて、マフラーに鼻を埋めながら嘯く。
本当はとっくのとうに決めている、神様にお願いすること。
たった一つ。ささやかで、だけど難しい、私の望み。

「ねぇ、蘭丸」
「何だ?名前」

ぎゅうっと、もう一度手に力を込める。
すべやかだけど、ところどころ小傷のついた、私の大好きな男の子の手を。

「今年もよろしくね」
「ああ、よろしく」

どうかどうか、今年も手放さずにいられますように。


望みはただ一つ
20120103