次郎がペンギン好きだったことは知ってるわ。知ってるけどね、これはいくら何でもヒドすぎだと思うのよ。
どうしてもって言って聞かないから仕方なく一緒に水族館に来たわ良いけど、ペンギンコーナーから丸々一時間動かないってどういうことなの!!

「だってあのちっこいの可愛いじゃないか、何かお前みたいで」

……どうせチビよ、悪かったわね!これでも毎日牛乳飲んだりニボシ食べたり色々努力してるんだから!

「ほらさっきから係員の兄ちゃんから必死に魚貰おうとしてるとことかさ」

…とどのつまり私が食い意地張ってるって言いたいわけ?失礼ね、私は少食よ!!

「…名前、さっきから何でそんなひどい顔してるんだ?」
「気のせいよ」
「嘘だ」

何が嘘よ、さっきからペンギンしか見てない癖して。ていうか誰のせいでこんな顔してると思ってんの、ペンギンのせい…いやこれは八割型次郎のせいか。次郎のせいよ!

「大体、あの小さくて食い意地の張ってるペンギンのどこが私に似てんのよ…」
「何か、可愛くて抱きしめたくなるとこ」
「…」

何か次郎の目がいきなり猟奇的になった気がする。
ちょっと何手ェわきわきしてんのよ、ペンギンはどうした!ていうか、ここ、水族館、

「じ…次郎のどあほ!!」
「ブッ!?」

うっかり感情が高ぶってボディブローを決めてしまったが、人目も弁えずいきなり抱きつこうとしたこいつが悪いと思います。
とりあえず周りの迷惑になるから、早くこの変態臭い彼氏をどうにかしよう。
そして一時間ほっぽりだしにされた分、買い物に付き合ってもらうんだ。

「…抱きつくのは、家に帰ってからね」
「名前…!!」


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