君は若かった


君は若かった

「わ、奢ってくれんの?」

「今日だけな」

「やった」

得物を刀鍛冶に預けて、小腹でも満たしに店に入った。
鍛治代で手持ちが無くなる、と言うと、奴は奢ってくれるそうだ。

「昔お金があまりなかった時もこういうとこ来たよね」

「まあな」

「あの頃は若かった」

「まだぎりぎり若いだろうが」

「ぎりぎり言うな、若いわ」

「へっ」

頼んだ小皿の料理が卓に置かれる。暖かいそれを冷ましながら、いつものようにどうでもいい話をつらつらと話していた。
昨晩の発言について何か手がかりになりそうなことが何かないかと、密かに探りを入れたものの何もなかった。次第にまどろっこしくなってくる。

「ねえ、昨日の話だけどさ。
こんな風にしたのが私って、どういうこと?」

思い切って直接聞いた。言うや否やまた昨日と同じ、少しばかり呆れたような顔をする。

「覚えてねえのか」

「こんな風、って意味もよく分からなければ、そのせいが私であることもよく分からない」

そう言うと、わざとらしい長く深い溜め息をつかれた。そんなことされても覚えてないものは覚えてない。
少し考える素振りを見せた後、教えてくれる気になったのか語り始めた。

「まず一回目だな」

「は、何回かあるの?」

「ある」

「ええ」



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