嫌いじゃない


※学生・現代パロ


「おーいアイス買いに行こうよー」

補習が終わって閑散とした教室で、オセロなんかやってる二人に声をかける。
もっと風通しの良いホールやら日陰の自習室でやれば良いものを、傾いてきた日が照りつける教室でよくもまあ長いこと居られるものだ。
しょうもない勝負に熱くなる暑苦しい男たち。甘寧と凌統。

「まだこいつとの勝負が終わってねーんだよ…」

「もう3試合目だ、良い加減今日のところは諦めたらどうだい」

今日は凌統が甘寧に2勝したらしい。
二人ともこんなに汗かいちゃってまあ、なんのスポーツやってるんですかって。

「ほらほら早く行くよ、玄関で陸遜待ってるから!」

「あいつ委員会じゃなかったのかよ…」

「終わったって。あんたらと違ってあの子はテキパキしてんだからさぁ」

勝負途中でも構わずオセロの駒を取り上げ片付ける。
遠目からじゃ気がつかなかったけど、駒の一つ一つに「こーは」と名前が書かれていた。なんなんだこいつ。

「今日は俺が勝ったんだからあんた何かおごりなよ」

「あーマジかよ…」

暑さと負けがこんだことにうなだれながら、ぱちぱちと駒をケースに詰める。
ぎらぎらと西日が照りつける教室は、日のあたらない廊下側に座っていても暑さはまぬがれない。
補習中以外でも冷房はつけていて欲しいものだ。

「待ちくたびれてこっちに来てしまいましたよ」

「あっほら陸遜来ちゃったじゃん、待ちくたびれたってよ」

「甘寧の馬鹿は片付けも不得意だそうだ」

「うっせーぞ凌統」

玄関にいた陸遜は待つのをやめてわざわざ教室まで来た。
ここは3階だってのに汗をかくそぶりも見せず、相変わらず4人の中では一番爽やかだ。
さすが学校内で女子によるファンクラブが出来てる男は違う。

「さあ早く行きますよ。これ以上遅いと燃やします」

陸遜の一言に早く行こうぜ早く、と行動が途端に早くなる。
教室の戸締りをして廊下に出た。

「どこでアイス買うんだよ」

「学校近くのコンビニの方が良いですね」

「あたしパピコにしよー」

「ハーゲンダッツおごりなよ」

「おいわざわざ高いもん選ぶなよ!」

どこかの窓が開きっぱなしなのか、ぬるい風が廊下を流れている。
補習の時間はとっくに終わっているから玄関にも人気はない。
途中、呂蒙先生に気をつけて帰ろよ、と声をかけられた。
はいはいわかってるよおっさん、という甘寧の軽口と、おっさんではない!と律儀に言い返す呂蒙先生のいつものやり取りを聞いて学校を出た。
みんなで帰るいつもの道。蝉はまだうるさい。夏休みは、そろそろ終わり。







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