04
「あっ!ねぇ、照星さん、お団子食べたい」
「お前は子供か」
「でも、新商品って…」
「いいから行くぞ」
「はぁい…」
せっかく町に照星さんと二人きりで来ているのに、用だけ済ませて帰るなんて。
火縄を買いにきた私たちは佐武村御用達の武具屋に来ていた。真剣に火縄を見つめる照星さんを私は真剣に見つめた。あぁ、やっぱり綺麗な顔をしているよなぁ。見つめ過ぎて照星さんに気が散ると怒られたけど、それでも私は見つめ続けた。
「よし、帰るぞ」
「え」
「何だ。まだ町に何か用があるのか?」
「ほら、せっかく二人で町にいるし…」
「そうだな。帰ろう」
「うぁーん!待って下さいよぉ」
スタスタと歩いていく照星さんを小走りで追った。まだ帰りたくないのになぁ。
照星さんは、私がこんなに好き好き言っているのに何も感じないのか。寂しい。しゅんと落ち込む私は下を向いて歩いた。すると、ピタリと急に照星さんが立ち止まったようで、大きな背中にぶつかる。
「な、なに…」
「疲れた。休憩しよう」
「へ?…あ」
休憩しようと照星さんが指差した店は私が先刻、提案したお団子屋さんだった。じーんと胸が熱くなって、私も急いで暖簾をくぐって照星さんの横に腰かける。
「えへへ…」
「食ったら帰るからな」
「うん、うん」
「まったく…」
溜め息を吐く照星さんの横で私はにこにことお団子を食べた。うわ、美味しい!ずずっとお茶を飲む照星さんを見つめてから、私はまたお団子を口に運んだ。
「おーいーしーいー」
「そうか」
「照星さん、お団子食べないんですか?」
「甘いものは好かん」
「えー?」
「なまえはいつも旨そうに食うな。まるで子供の様だ」
「誉めてます?」
「それなりには」
「左様で…」
どうせ他に誉めるところなんて、ないですからね。いいよ、もうそんな感じで。
空は青くて、雲は白くて。鳥は自由に飛び交い、風で緑いっぱいの木が揺れる。今日は気持ちいいぐらいに暖かい。お団子は美味しいし隣には照星さんがいる。今、幸せだなぁってしみじみと感じる。
「…なまえは」
「はい?」
「何故、私を追うのだ?」
「好きだから」
「だから、何故」
「うーん…分からない」
「やはり、その程度か」
「あ。また失礼なことを!好きって気持ちに理由なんて必要なんですか?」
「お前が私に執着する理由が分からん」
「だから、好きだから。ぜーんぶ好き」
「………」
しばらく無言の後、照星さんはおかしな奴だと言ってお団子をパクリと食べた。
「あ。食べた」
「なまえがアホみたいに食っているのを見て、少し旨そうに感じたのでな」
「アホは余計です。で?」
「…うまい」
「でしょー」
やっぱり、甘味は世界を救うんですよ。そう照星さんに満面の笑みで言うと、顔を反らしてお前には敵わんと言われた。敵わん?はい、私はあなたに敵いませんよ。恋も美も火縄銃の扱いも、何一つ。
それでも、私はあなたのことが好きなんですよ。世界で誰よりも愛しています。私のありのままの気持ちを伝えたけど、照星さんは、終始無言のままだった。
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