03


「おおおおも…っ」

「あぁ、なまえ殿、あっちにも20丁頼む」

「はぁ…いっ」


馬鹿みたいにクソ重い火縄銃を持ちきれないほど大量に抱えてヨロヨロと歩く。忍術学園を無事、卒業することができた私はどうにか佐武の鉄砲隊に就職した。だが、半年経っても慣れることはない。火縄銃の重たさも、軍隊の生活習慣も。


「うぎいぃぃっ…」

「貸しなさい」

「あっ。照星さん…」


ヨタヨタと歩いていた私の腕から、照星さんがひょいと軽々、火縄銃を持ってくれた。あー。やっぱりかっこいいなぁ。


「火縄銃は慎重に扱え」

「うっ…はい」

「暴発したらどうする」

「照星さん、もしかして私のことを心配して…」

「佐武村に迷惑がかかる」

「あ、そっちですかぁ…」


ですよねー、となで肩をさらに落とす。
照星さんと同じ村に住み、同じ釜の飯を食べてみても私の想いは通じなかった。悲しいことに、それはそれで幸せだったりする。だって、好きな人と一緒だし。
何だかんだ、私は照星さんに惚れてるんだ。それも、メチャメチャ惚れてる。


「ふぇー…重かったぁ」

「もっと身体を鍛えろ」

「うあー」

「だから、言っただろう。佐武に就職は甘くないと」

「んー…でも、大好きな照星さんと一緒にいられて幸せだから別にいいんです」

「阿呆が…」


呆れたように照星さんは私を見たけど、それでも私は幸せだった。正直、照星さんのことを惚れさせるのは無理かもしれないけど。
だって、私は何をやっても失敗ばかり。照星さんに怒鳴られることもしばしば。ここに来て私も照星さんも溜め息が増えた気がする。


「おーい。照星殿、なまえ殿。そろそろ飯にしよう」

「はい」

「うひゃー。もうお腹ペコペコですよぉ」

「なまえ!」

「これではまるで照星殿はなまえ殿の教育係ですな」

「手がかかりますね」

「むぅ…」

「可愛いじゃないか」

「…そうですね」

「え。可愛い?」

「小動物のようで」

「動物!」

「はっはっは」


小動物。あーあ。私は照星さんに子供よりも下に見られているんだ。がっかり。
落ち込む私を見て、お頭が照星さんに何か耳打ちをしていた。照星さんは一瞬、顔を歪めさせたけど、すぐに元の涼しい顔に戻った。きっと、また私の悪口だ。絶対にそうだ。
はぁ、と溜め息を吐いて昼食をがっつりといただいて木の下の木陰で丸まった。どうして私は何をやってもうまくいかないんだろう。仕事も恋愛も駄目駄目だ。


「なまえ殿」

「あ、お頭…」

「よかったな。少しは照星殿に気にかけてもらえているようじゃないか」

「…そんな、嬉しくありませんよ。小動物だなんて」

「ふっふっふ。さっき、照星殿に聞いたらな、照星殿はなまえ殿のことを…」

「なまえ」

「ひっ!照星さん…」

「さっさと来い。火縄銃の名称の再々試験だ。全部覚えるまで終わらんからな」

「うひゃぁ…」


再々々試験に泣きそうになるのをグッと堪えて、私は照星さんに着いていった。照星さんは面倒見がいいから、とことん私に教えてくれるんだけど。その気持ちは嬉しいけど辛いです。非常に辛いであります。
延々と説教をされながら照星さんと歩いていったから私はお頭がボソリと小さく呟いた言葉を聞くことができなかった。


「照星殿も素直じゃないなぁ」


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