09


照星さんのことを好きになって、どれぐらいの時間が経ったんだろう。まだ私は学生で、必死に照星さんを追いかけた。佐武村に行って、照星さんとご飯を食べたり火縄銃の練習をするようになった。町にも行ったな。あぁ、そういえば膝枕をしてあげたりしたな。懐かしいなぁ。
好きって気持ちだけで私は照星さんの側にいた。振り向いてもらえなかったけど私は照星さんを好きになってよかったと心から思う。


「照星さん…」

「なまえ、喋るな!」

「覚えてますか?」

「なまえ!」

「私、嬉しいの。照星さんの役にやっと立てたから」

「いいから喋るな!」

「あれ、使って…?」


私が持ってきた火縄銃を指差した。私が弾を込めた火縄銃。人差し指が震えた。
不思議と死ぬことは怖くなかった。だって私は照星さんの役に遂に立てるから。照星さんの全てが好きだ。青い顔をして今にも泣きそうな照星さんすら好きだ。


「照星さん、泣かないで」

「お前はアホか…」

「ふふ。その声も大好き」

「なまえ、私は…」

「照星さん、私ね?」

「なまえ…」

「照星さんのこと好きでした。世界一、好きでした」

「過去形か…」

「死んでも好…っ」

「なまえ!」


あは、少し喋りすぎちゃったかな。血を吐くなんて、いよいよ私は駄目だなぁ。
後は照星さんに何を伝えなきゃいけないんだっけ?あぁ、言いたいことが山のようにあったはずなのに何も浮かばない。私が死んだら、照星さんに弔ってもらいたいって言ったら照星さん、迷惑かな?


「…だから嫌だったんだ」

「え?」

「傷付けたくなかった」

「あー…」

「私はなまえを失いたくなかったんだ。なのに…」

「大丈夫。ふへへ」

「…何が可笑しい」

「だって、照星さんに心配してもらえたぁ…」

「アホ、がっ…」


パタリと頬に照星さんの涙が落ちた。照星さんでも泣くんだ。泣いた顔も素敵。
もっと、色んな照星さんを見たかった。色んな照星さんをもっと知りたかった。
なのに、もう駄目みたい。


「照星さん、逝くね…?」

「なまえ!」

「ふふ。大好き…」


あぁ、死ぬって暖かいんだな。ポカポカして気持ちいい。まるでお日様みたい。
私、死んでも照星さんのこと、ずっと見守ってます。いつか、また照星さんに会える日を楽しみに…それは照星さんが死ぬことになっちゃうな。やっぱり会えなくていいや。
じゃあ、もう二度と照星さんには会えないんだなぁ。それはそれで寂しいなぁ。まぁ、いいや。きっと、そうだな…生まれ変わったりとか?うん、また会える。その日まで照星さん、さよなら。今度は私のことを好きになって下さいよね?
また会える日のことを考えると楽しみで仕方なくて。私は極上の気分だった。さよなら、素敵な照星さん。大好きでした。


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