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最近、照星さんからメールが来るようになった。嬉しくて思わず笑ってしまう。
大学生になって、照星さんと会う時間が減ってしまった。サークル活動が思いの外楽しくて、ついつい連絡が疎かになってしまう。照星さんと二週間ぶりに会うことになった日は、たまたまサークルがない日で、私はうきうきとめかし込んで約束の場所に出掛けた。


「わーい。照星さーん」

「久しぶりだな」

「会いたかったですー」

「…その割には、連絡をよこさないな」

「サークルが忙しくて」

「サークル?」

「はい。バスケです」

「それは意外だな。運動はできるのか?」

「いいえ!」

「威張るな」


くすくすと笑いながら照星さんはサラダを口にした。うわー、かっこいいなぁ。
やっぱり、照星さんとは頻繁に会おう。サークルよりも照星さんの方が大切だ。


「実は私、バスケのマネージャーなんですよ」

「マネージャー?」

「はい。えへへ、意外にちやほやされるんですよね」

「…へぇ」

「サークルって楽しいんですね。毎日ハッピーです」

「………」


おろ?照星さんが急に無口になったぞ?というか、ダークなオーラが漂ってる?
恐る恐る、どうしたんですかー?と聞いてみると、あからさまに不機嫌そうに何でもないと言われた。え、もしかして怒ってるの?


「照星さーん…?」

「なまえ」

「はい」

「よかったじゃないか、大学生活が毎日楽しそうで」

「え、まぁ…」

「では、私は帰る」

「え」

「大学生活を楽しめ」

「え!ちょ…」


荷物をまとめて出ていこうとする照星さんのスーツを掴んで必死に引き留めた。
急に何で?私、何か悪いことを言いました?


「待って下さい!」

「離せ。スーツが伸びる」

「何で怒ってるんです?」

「別に怒ってなどいない」

「嘘つき!メチャメチャ怒ってるじゃん!」


失言があったなら謝りますから、と私が照星さんに言うと冷たい目で睨まれた。えっ。何か悪いことをしました?本当に分からないんですけど。サークルに入って楽しく過ごしていると言っただけなんですけど。なのに、何で…?何で照星さんに怒られるの?もしかして私、嫌われたの?


「照星さぁん…」

「…泣くな」

「だって、照星さんに嫌われちゃったんだもん…」

「別に嫌いとか、そういうわけではなくてだな…」

「うぁーん!また照星さんに嫌われたぁ!」

「人の話を聞け」


ずびびっと鼻をすすりながら滲む視界で見た照星さんは、困り果てたような顔をしていた。あぁ、もうこれ以上嫌われたくない…
グビビッとお冷やを飲んで照星さんを眺めると、何故だか少しだけ頬を赤らめ、ゆっくりと再び席に座ってくれた。


「…情けない」

「な、にが、ですかっ」

「泣くな。分かったから」

「もう、怒ってない?」

「ない。早く泣き止め」

「うぅー…」

「はぁ…私はいい年をして一体、何をしているのだ」

「はへ?」

「…何でもないから、早くその不細工な顔をどうにかしろ。迷惑行為に値する」

「不細工!」


ガビーン!という顔を私がすると、照星さんは楽しそうに笑いながら私を見た。
結局、どうして照星さんが急に不機嫌になったのかは分からなかった。これが嫉妬だとしたら、すっごい嬉しいのにな。万が一にも、そんなことはないだろう。照星さんは大人なんだから嫉妬なんかしない。ましてや、私なんかのために…。


「ずびっ…」

「何故、また泣く?」

「好かれたいです…」

「何を言う。サークルでは男にモテるんだろう?」

「ちょっと、何ですか?そのトゲのある言い方は!」

「少しは自分で考えろ」

「は…?」


照星さんは呆れたように溜め息を吐いて小さなカボチャのスープを口に含んだ。
もう、いっそのことスープになりたいんですけど。何なら、私は照星さんの身体の一部になりたいぐらいなんですけど。そう照星さんに言うと、心底呆れたような顔をされて今のままでなければ会うことさえも叶わないんだぞと言われた。よく分からないけど、また会ってくれるという意味なんだろうか。よかったぁ。
サークルなんかやめて照星さんを追いかけます!と私は高らかに宣言をした。またいつものように、くだらないことを言うなと言われるかと思っていたけど、照星さんは短く「あぁ、そうしろ」と言った。
照星さんの言うことはよく分からない。よく分からないけど、期待してもいいんだろうか。少なくとも嫌われてはいないと自意識過剰でいてもいいんだろうか。にへっと笑って私もスープを飲んだ。カボチャのスープはトロトロで甘かった。


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