雑渡さんと一緒! 246
「や…っ、あぁ…っ」
「気持ちいい?」
「ん…あ、そこ…っ」
「ここ?もっとして欲しい?」
「あ、あっ…いい…っ」
「…いや、あのさ。興奮させるような声を出さないでよ」
「え?あ、待って。やめないで」
「はいはい」
ゴリっと肩甲骨が鳴った。気持ち良くて思わず声が出てしまう。引っ越し作業が無事に終わったはいいものの、慣れない作業で身体が痛くて仕方がなかった。昆はいつもいつも言い訳をしては作業を中断しようとしていたけど、それでも重い物は必ず持ち上げてくれたし、高い所の作業は必ずやってくれた。ちまちまとした作業は嫌いだし基本的に面倒くさがりだけど、ちゃんとやる時はやってくれる。それも当たり前のような顔をして。そういうところが昆のいいところだし、好きなところでもある。どのみち、細かい作業自体に期待はしていなかったのだから、荷解きを思いの外やってくれて助かった。これはヨルの作戦で「わざとエッチな下着を発見させてやる気を出させる」というものだったのだけど、無事に成功してよかった。昆には絶対に言えないけど。
しかし、昆はマッサージが上手い。絶妙なポイントを絶妙な強さで押してもらえる。昆は「筋骨格を意識する」とか難しいことを言っていたけど、さっぱり分からない。ただ、いつでもサラリーマンを辞めてマッサージ師になれそうだ。
「んっ…あ、あっ」
「ん…」
「はぁ…あぁ、そこ…っ」
「んん…っ」
「あ、あっ…」
「………っ」
「気持ちい…っあ!?や…やだ、や…っ」
「…ここの方が気持ちいいんじゃないの?」
「ちょっと、どこ触って…っ、あ…っ」
スカートの中に手を入れられ、いやらしい手つきで撫でながら昆が覆い被さってきた。そのまま首筋に吸いつかれて、指が私を犯していく。修理中のソファの代わりに買った安いソファがギシギシと軋んだ。
上から体重を掛けられて身動きが取れなくなった私はただただ快感に従うしかなかった。荒い息遣いから昆が興奮していることが伺える。おかしい。さっきまでそんな雰囲気ではなかったはずなのに、気が付けば事に発展しようとしている。昆の左手が私の指を絡め、耳元で愛を囁かれながら犯され続けているうちに私までその気になってきてしまった。
「あっ、あ…やだ…っ、待って…」
「無理。待てない」
「な…っ、あ、あ…っ」
「…ねぇ、しよ?」
いやらしい音と共に甲高い声が静かな部屋に響いた。このマンションは賃貸で、たまにお隣さんの声が聞こえることがある。だから、きっと私の喘ぎ声がお隣に聞こえてしまっている。必死に声を押し殺そうとしていると、奥を擦られた。
「あ…あ、いや…っ、い、あぁっ」
「つまらないことを考えていないで、ちゃんと感じて?」
「あんっ…あ、あっ…イっちゃう…」
「ほら、もっと聞かせてよ」
「あ…あっ、やだ、イく…っ、………っ」
ソファに顔を埋めながら私がイってしまうと、昆は心底つまらなそうな声を出した。必死に必死に声を出すのを我慢することが出来た私をむしろ褒めて欲しいのに。
イったばかりで息が苦しいのに、濡れた右指を口に入れられた。反射的に昆の指を舌で包み込むように舐め上げる。
「そんないやらしい顔をしているのに、何で喘いでくれないの?なまえのいやらしい喘ぎ声、もっと聞きたいんだけど」
「だって、お隣さんに…」
「聞かせたくないって?」
「だって、は、恥ずかしいじゃん!」
「ふーん…」
腕を捕まれ、ソファの背もたれを掴む形で膝立ちをさせられる。この後何をされるのか分かってしまった私は必死に抵抗しようとしたけど、まだ足に力が入らなくて後ろから押さえつけられてしまっては抵抗らしい抵抗は出来なかった。
決死の思いで思いつく限りの悪口を言ってみる。せめてそれで昆のやる気が逸れてくれますように、と願いながら。だけど、残念ながら効果はなかったようで後ろから熱いものが侵入してきた。圧迫感で息が詰まる。ソファでする時はいつもこうだ。昆のしたいがままにされてしまい、抵抗することさえ出来ない。なのに気持ちいいし、もっと気持ちよくなりたいと思ってしまう自分が心底恨めしくなってしまった。
「やめてよ、馬鹿…っ」
「これは手厳しいねぇ」
「あ…っ、あ…」
「悦んでいるように見えるのは気のせいかな?」
「や…あ、あぁっ」
楽しそうに昆は笑った。何なら「声が出てしまっているよ」と私を煽りながら突き上げられる。
どうにかして逃げないといけない。そう思っているのに、ソファに縋ることしか出来なかった。理性がぐらぐらと揺れるのを感じる。このまま快感に身を任せて、おかしくなってしまいたい。だけど、お隣さんに…お隣さんに聞かれてしまう…
「んー…今ひとつ集中してないね」
「当たり前…っ」
「そうかぁ。じゃあ、こうするしかないか」
「きゃあっ」
後ろから抱き締められ、繋がったまま昆の上に座らされる。かぷっと首筋を噛まれながらカットソーの下に手を入れられて下着を外され、慣れた手つきで胸を弄られた。そのまま脚を撫でられながら腰を振られてしまったら私は逃れようのない快感に身を捩ることしか出来なくなってしまい、絶頂が背後まで迫って来ているのを感じた。
両手で口元を覆いながら、どうでもいいことを必死に考えて快感を逃そうとする。イってしまったら絶対に大きな声が出るから。だけど、もう脚が痙攣するほど気持ち良くなっていて、とてもではないけど他のことは考えられなかった。
「ん、んんっ、う…っ」
「だからさぁ。声、ちゃんと聞かせてって」
「ひ、あ、駄目…あ、あっ、駄目ぇ…っ」
「はぁ…気持ちい…いいね、今日も凄い」
「な…に…っ」
「え?膣の締まり具合が」
「ひぃっ…な、なに言っ…っあ」
「ほら、なまえちゃんの大好きな奥の時間ですよー」
「やぁっ!イっちゃう…っ」
「いいね…そういう可愛い声、そそられる…っ」
「ひぁっ…あ、あぁっ」
イったのと同時に崩れ落ちそうになった私を昆は後ろから抱き締めて支えてくれた。そのまま身体の向きを変えられて、キスされる。ようやくキスしてもらえたことが嬉しくて、昆に抱きつきながら何度もキスをした。
肌寒い日だというのにエアコンもつけずに行為に及んでしまったというのに身体が熱くて仕方がない。服を着替えないと風邪をひいてしまいそうだなぁと思っていると、太腿に熱いものが垂れてきたのが分かった。慌てて昆から離れると、案の定というか何というか…というか、ソファが汚れる!布張りな上にカバーを外せないから汚れても掃除できないのに!
「どうしよ…あ、よかった。セーフ」
「んー?」
「ソファが汚れなかった」
「あー。どうしても垂れてきちゃうもんねぇ」
「何をそんな呑気な…っ」
「いいからおいで。離れていかないでよ」
ぎゅうっと抱き締められたから、抱き返す。エッチの後は必ずこうして抱き合って過ごすもんね。優しい手つきで頭を撫でられ、さっきまでの激しさとの緩急が可笑しいなぁと思いながら昆の首筋に擦り寄る。
幸せだなぁ…と思っていると、ふと思い出した。どうしよう、お隣さんに聞かれた。間違いなく私の声が聞こえていた。
「やだぁ!もう外に出られない!」
「んー?」
「お隣さんに、お隣さんに…」
「隣なら留守だよ」
「またそんな適当なことを言って!」
「本当だって。あ、丁度帰ってきた」
隣からバタン、という音と、子供が騒ぐ声、それに足音が聞こえてきた。どうやら本当に今まで留守だったようだ。ホッとしていると、お尻を撫でられながら首筋を喰まれる。そのまま顎先まで唇が上がってきたから昆を叩いた。
不本意だと言わんばかりの顔をした昆から離れ、服を脱ぐ。
「ほら、昆も早く脱いで」
「おや。積極的だね」
「なに言ってるの。風邪ひくでしょ」
「いや、しかし服を着てヤるのもなかなか興奮するね」
「いいから脱ぐ!」
「仕方ない。二回目は寝室で裸でヤるか」
「はぁ!?」
「大丈夫。寝室は角部屋だから隣には聞こえないよ」
おいで、と腕を掴まれて寝室に連れ込まれ、あれよあれよという間にまた身体を重ねていた。昆にしか聞こえないから、といつも通り快感に身を任せて喘ぐ。
改装中の我が家よりも少しだけ狭い部屋で私と昆はきっとたくさん新しい思い出を作っていくことになる。その幕開けだと言わんばかりに濃厚な時間を裸で過ごした私たちは翌日、無事に風邪をひいてしまった。それも、二人同時に。病院に行くためにタクシーを呼んだら間違えて今の家とは違う住所を言ってしまったり、部屋が何号室だったか分からなくなって昆に呆れられたり…というのはまた別の話である。
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