六月の花嫁

「結婚しよう、指輪はもう買ってある」
「ごめんなさい。私にはちかちゃんがいるから」
「・・・はあ!?!千景さん!!!?ありえねぇ!俺の方がいいってあんな何考えてるか分かんねぇ人より!!」
「すごい言われようだ」


ありえねえ絶対ありえねえ!バージンロードでなまえの隣に立つ相手は俺しか!千景さんだあ?!ポッと出のやつになまえを渡してたまるもんか、俺はあの日からなまえだけを見て近寄ってくる女全部無視して(つーかなまえ以外興味ねえ!)なまえのためだけに生きてるつーのに。


「ちかちゃんいつもお土産くれるから」
「物につられるな!!欲しいものあるなら俺が買う!ってかなまえにだけいつも別にお土産あんの何なんだよリーマンまじうぜえ!」
「万里、心の声ダダ漏れ」


なまえには俺という恋人がいるっていうこと劇団員みんな知ってるはずなのに何でおまえらそんなになまえに甘いんだよ、なまえを甘やかしていい権利持ってんの俺だけだからなそこんとこ忘れんなよ本気で、本気と書いてマジと読めよ!


「万里くん」
「なんっ、・・・なまえ?」
「そんなに泣かないでください。
あなたの涙を見ると胸が苦しくなる、
ほら、笑顔を見せて?プリンセス」
「ッ!?!!!?!!」
「たとえ0時になり魔法が解けてしまったとしても、この手を離さずあなたと共にいることを誓いましょう。」
「は、っう、」
「・・・摂津はなまえ相手のエチュードは使い物にならないことがよく分かった」
「まだまだだね」
「い、至さんその台詞はテニスが上手い王子様のやつです!」
「マジレス」


俺の手を握って涼しい顔してるなまえ王子。あまりのイケメンさに言葉が見つかりません先生。俺だってなまえが何かの魔法にかかってたとしてもこの手を離したりしねーし!前から思ってたけど演劇好きなだけあってそこそこの演技力あるよなあ、普段は幸の衣装作り手伝ったりメイク担当したり後はほぼ曲作りに集中してるし、だてに今まで何百回と演劇観に行ったりしてねえな。


「俺はなまえ相手ならプリンセスにもなる」
「キモすぎて笑えない」
「俺だって幸みたいに女装できるわ!」
「はあ?うざいんだけど、女装で片付けないでくれる?」


ウェディングドレスを着ている俺を想像して言ったなまえの「万里の花嫁姿可愛いかも」の言葉は一生忘れねえ。そしてなまえの花嫁姿を想像して言った俺の「その場でブチ犯す」は左京さんの睨みとともに消えていった。咄嗟に莇の耳を塞いだ左京さんと、塞がれたことに嫌がる莇。までをテンプレとしよう


「ところで本当になまえちゃんは俺と結婚してくれるの?」
「ちかちゃんと?」
「うん、自分の言葉には責任持ってくれないと、俺をお婿さんとして迎え入れてくれるんでしょ?」
「ないないない!なまえが婿として迎え入れるのは俺!俺!」
「卯木か、摂津・・・・んー、私としては瑠璃川が可愛くて好きだなぁ」
「ハイ決まり。
なまえは俺が幸せにするから二人は下がっていいよ」


る、るりかわ〜〜〜〜〜〜!?俺があんなに大事に大事に育ててきたなまえが名字の可愛さで結婚を決めたんだが!摂津のどこが嫌だったのか作文用紙三枚分で説明してほしい。もしかして一成がセッツァーって変なあだ名で呼ぶから自分も同じ名字になった場合同じ呼び方をされることに悩んでいたのか、いやそうに違いない。今すぐあの呼び方を止めさすべきだ!これは俺となまえの将来に関わっている大事なことだ!!


「でもきっとこのまま万里くんといたら幸せなんだろうなとは思うよ」
「えっ」
「万里のHPが死んだ」
「だからその時は私がときめくようなプロポーズしてほしい」
「ま、ま、まっかせろ!!」
「何キャラだよ混乱しすぎ」


「万里は一生尻に敷かれて生きていきそう」
「万里さんとなまえさんってなんで付き合ってんだ・・・」
「莇もそのうち分かるって、」
「何哀れんでんだよ!!お、俺は結婚を決めた相手としかあんなことしねえ!!」
「あの二人はもう婚約者みたいなもんだしいいんじゃない」

前へ次へ
戻る