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2026 06/19

[chapter:略奪]





日々は慌ただしく過ぎていった。そして、とうとうその日がやってきた。
その日は朝から慌ただしかった。マスターが朝、目覚めると、それを見計らったように数人の使用人が来た。足を拘束する紐を切り落とし、足首に布と鈴をつけさせたまま、浴室に連れていく。そのまま体を洗おうとしたので、マスターは慌てて断った。
「自分で出来るので、一人でやらせてください。出来るだけ、ちゃんと洗いますから」
そう言って説得すると、マスターは準備されていた専用の布で体を洗った。出来るだけ綺麗にすると、湯船に浸かる。久し振りの風呂に、ほっと息を吐く。
「…いよいよ、か」
これからの事を考え、マスターはそう呟いた。
自分なりに身を清めて体を拭くと浴室を出た。すると使用人が服を着せていく。いつもの踊り子の服ではなく、やたらひらひらの装飾がされた王が身に纏うようなデザインのそれ。王とは違い、白や淡い色の服で、きっと王と同じくらい上等な服。それは全身をしっかり隠すが、下は足首まであるスカートだった。それに、マスターは思わず眉を顰める。
嫌な予感がした。そして、それは間違っていなかった。
「…あぁ、なんて美しいんだ!なんて、綺麗で愛らしく、可愛くて美しいんだ、リツカ!!」
部屋に入ってきた王はマスターを一目見ると叫んだ。ほう、と熱い吐息を吐くと、マスターに近づく。ベッドに乗り上げ、マスターの手袋をしていない手を取ると、興奮しながら口付ける。彼も普段の服ではなく、鮮やかな色合いの特別な服を着ている。
「やはり、俺の見立ては間違っていなかった…!こんなに可愛くて綺麗で美しい花嫁を手に入れられるなんて、夢みたいだ…!!」
「花嫁?」
「あぁ、そうか…お前は旅の踊り子だから、知らないんだったな…」
マンドリカルド王の言葉にマスターは眉を顰める。そんなマスターにマンドリカルド王はにこりと笑うと、言い放った。
「これは、タタールの花嫁衣装なんだよ、リツカ。俺が今着ている服も花婿用の衣装だ。お前は男だから、式とかはできないからな。今、この瞬間が一番相応しいと思ってお前には花嫁衣装を着せ、俺は花婿の衣装を着た。そして、この婚礼衣装は俺がデザインして、タタールで一番の職人に作らせた。あぁ、心配するな。お前のサイズは俺自らが測って伝えているから、お前の綺麗な体に触れたのは俺だけだとも」
顔を上げて、うっとりとマスターの青い瞳を見つめながら、マンドリカルド王は興奮のまま、一気に全部言った。その言葉にマスターは背筋にぞわりと怖気が走った。



なんだ、それは。なんとなく婚礼衣装なのは察知していたが、マスターはサイズなんて測られた事はない。少なくとも、マンドリカルド王はそんな事なんてした事ない。ということは…



マンドリカルド王は、視覚情報と触れた感触からサイズを推測し、マスターのサイズを知ったのだ。あまりにも狂気的な行動にマスターは青ざめた。災厄と言われる人類悪のビーストを前にしたって、体を震わせながらも必死に気持ちを奮い立たせ、立ち向かって戦ったが、今はそれ以上に恐怖を感じている。



狂っている。目の前の王は…いや、男は自分を愛し過ぎる余り、狂っている。確かにとんでもない姿を見せてきて、とんでもない言葉で自分を求めて愛を伝えていたが…まさか、ここまでとは!



「ま、マンドリカルド王…お、俺には…こ、恋人がいます…だ、だから…あ、貴方とは…」
「あぁ、そうだな。貞淑で恋人想いなお前の事だ。きっとそう言うと思っていた」
恐怖の余り、さすがのマスターも声が震えた。そんなマスターを見ると、マンドリカルド王はにこりと笑いながら言う。恐ろしいくらい、上機嫌なまま笑う。
「だから、こう言おう、リツカ」
ベッドにマスターを押し倒すと、マンドリカルド王は指でとん、と体を叩く。まるで、初日に襲われた時のような対応にマスターの体が震える。
「お前は何も悪くない。王に身染められ、王に全て奪われてしまった。ただ、それだけだ」
まるで、洗脳するように言い聞かせるように言うと、マンドリカルド王は強引にマスターの唇に口付けた。奪うような口付けにマスターは青ざめながら逃げようとするが、マンドリカルド王は逃さない。しっかりと両手で顔を固定し、マスターの唇を貪る。
唇の隙間から、舌が入ってくる。口内を犯すように貪るように暴れるそれに、マスターは泣きたくなってくる。会った日の翌日のキスでも、あんなに優しかったのに、今はひたすら貪って奪おうとしてくる。そんなマンドリカルド王にマスターは泣きたくなってしまった。
「あぁ、甘いな…!なんて、甘い唇と口の中なんだ…!!こんなに甘い物を俺は知らない…!これだけでも、ずっと貪って奪い尽くしたくなってくる…!!」
散々貪って離れると、王は叫んだ。離れる際に垂れた涎をペロリと舐め取り、ごくりと喉を鳴らして、飲み込む。
「最初に口内を味わった時は、ここまで甘くなかった…!ここまで味わなかったあの日の俺は心底馬鹿だな!!こんな一等美味い物を堪能しなかったなんて!」
「嫌だ…!嫌だ…!!」
そう叫ぶと、マンドリカルド王はマスターの頬を舐める。そんなマンドリカルド王を拒絶するようにマスターは首を横に振りながら叫ぶ。怖がるリツカを見て、マンドリカルド王は宥めるように抱き締め、背中を撫でる。
「あぁ、ごめんな、リツカ…怖がらせてしまって…優しく、優しくしてやるから…うんと、うんと優しく抱いてやるから…男は初めてだけど、頑張って優しく抱いて、奪ってやるから…」
「嫌だ…!嫌だ…!!」
「大切にするとも…大切にしてやるとも…愛して、愛して、愛し尽くして…お前を幸せにしてやる…幸せにしてやるから…」
首を振って拒絶を繰り返すマスターにそう言うと、マンドリカルド王はマスターの顔を覗き込むようにして言った。
「だから、お前の全部を俺にくれ…!だから、俺に全部奪わせてくれ…!!お前が欲しがるなら、俺の全部をやるから…!」
「嫌だっ!」
灰色の瞳にぎらぎらと欲と熱を孕ませ、自らを捕食しようとする獣にマスターは心の底から叫んで拒絶した。だが、獣は止まらない。止まってくれない。
「仕方ない…仕方ないんだ、リツカ…!お前は悪くない…悪くないんだ…!!」
「嫌だ!嫌だ!!」
「あぁ、そうだ…!お前は悪くない…!!悪くないとも…!お前は奪われただけ…!!踊り子だから、王に奪われただけなんだ…!」
首筋に舌を這わせ、獣は囁くように叫ぶ。それにマスターは首を振って叫び、全力で拒絶するが、獣は止まってくれない。ただひたすら言葉を繰り返し、言い聞かせるように叫び続ける。
「奪われたお前は何にも悪くない…!ただ奪った王に優しく愛されて慈しまれ、それが嬉しくて、幸せになってしまうだけ…!!」
「違う!違う!!」
「悪くないとも…!何にも悪くないとも…!!お前は恋人より優しく愛されて慈しまれたから、恋人よりも愛してしまうだけなのだから…!」
「違う!違う!!そんな事、絶対に無い!」
ひたすら言い聞かせるように叫ぶ獣にマスターもひたすら叫んで拒絶を繰り返す。とまらない獣にマスターは暴れながら叫び、抵抗し続ける。
そんなマスターに目を合わせるように顔を向き合わせると言い放った。
「お前は自分を奪った王と共に幸せになるだけだ…!あぁ、悪くない…!!お前は何も悪くないとも…!何にも悪くないさ…!!だから、俺に奪われて、俺に全てを捧げ、俺に愛されろ…!」
「…ふざけるなああぁぁぁっ!」
必死に全力で拒絶を繰り返しても一向にとまらない獣にマスターの頭の中でついに何かが切れた。衝動のまま叫び、目の前の顔を引っ叩く。すると、獣はようやく止まった。叩かれた頬を手で抑え、視線だけでマスターの顔を見る。そんな獣を先程までとは違い、怒りで顔を赤く染め上げながら、マスターは叫んだ。
「俺の幸せを勝手に決めるな!俺を見ようともしない奴が勝手なことを言うな!!俺の話を聞こうともしない奴が勝手な事を言うな!」
「……」
「ふざけるな!ふざけるなよ!!俺だって、男だ!お前なんかには、どんなにお綺麗で美しく見えても、俺は男なんだ!!立派な戦士で、立派な魔術師で、必死に生き抜く為に必死になって立ち続け、必死に挑み続けているだけのクソ汚い人間なんだ!!」
「……」
「それを見ようとも知ろうともしないで、お前の愛をひたすら押し付けて勝手にする奴が、俺を愛そうとするんじゃねええぇぇぇ…っ!」
固まったまま、視線だけ向ける獣にマスターは激情のまま、吠えるように叫んだ。衝動のまま叫び、喚き、みっともなくとも、だからこそ気高く誇り高く美しく咆哮する。
「…あー、そうかよ」
マスターの言葉を聞いた獣…いや、王はぽつりと呟くと、マスターに向き合った。マスターを見つめる灰色の瞳はぎらぎらとしながら、それでいて冷ややかだった。
「お前は本当に面白い奴だ…せっかく王である俺自ら慈悲を与えようと…優しくしてやろうと…逃げ道を用意してやろうとしたのに…」
「なっ…!」
マスターの服に手を伸ばすと、王は力づくでそれを強引に引き裂いた。せっかく自らデザインして作らせたという花嫁衣装を容赦なく引き裂く。それにマスターはギョッと目を見開いた。そんなマスターを無視し、王はぶつぶつと呟く。
「お前が望むなら、俺は愚かにもお前に愛する許可を求め、ひたすら要求してやっても良かった。お前が望むなら、滑稽にもその美しい体に縋り付き、愛を乞いてやっても良かった。お前が望むなら、王の矜持も誇りもかなぐり捨て、見窄らしく惨めでも、お前の愛を寄越せと強請ってやっても良かった」
「や、やめろ…!やめろ…!!」
呟きながら、王は花嫁衣装を切り裂いていく。そんな王の下でマスターは拒絶するようにジタバタ暴れるが、びくともしない。そんなマスターを王は冷ややかに見つめながら、服を切り裂いていく。
「だが、お前は言った。俺は男だ、俺は戦士だ、俺は魔術師だと。なら、その思いに応えてやるとも。お前が願うまま、望むままに!」
「ひ…っ!」
花嫁衣装だったものが布切れになると、王は体を起こし、自分の体をマスターの体に押し付けた。熱くて硬いそれが何か分かったマスターは思わず悲鳴を上げた。そんなマスターを王は指差し、吠えるように宣言する。
「お前を一人の男として扱い、一人の戦士として扱い、一人の魔術師だと扱ってやろう!そして、奪ってやろう!!傲慢たる王の俺が!略奪者の俺が!!それに相応しいように、容赦なく貴様の全てを恋人から奪ってやろう!」
「奪われてなるものか!お前なんかに!!お前なんかに奪われてなるものか!」
王の言葉にマスターはまた怒りに顔を赤く染め、体を震わせながらも何とか足を動かして王を蹴ろうとした。しかし、その足は軽々と王に掴まれてしまう。そんなマスターに王は見せつけるように太腿の柔らかい内側に舌を這わせ、嘲笑う。
「どうした?奪われるのが嫌なんじゃないのか?こんな肌触りのいい綺麗な足を自ら差し出すなんて、馬鹿じゃないのか?」
「煩い!離せ!!」
「ふん。普段から綺麗な足だと思っていたが、肌触りもいいじゃないか。存分に撫で回したり舐め回したりして堪能してやりたいが、それは後だ。奪ってから、可愛いがってやるよ」
なんとか足を離そうとじたばたもがくマスターにそう言うと、王は手を伸ばす。股間に手を伸ばし、性器を撫でると奥の穴に触れる。その感触にマスターはびくりと体を震わせ、また顔を青ざめさせた。そんなマスターを王は嘲笑う。
「まさか、男はこちらを使うとはな。ま、女でも使うことがあるのは知っていたが。俺はそんな性癖は無かったから、分からなかったよ。女みたいに濡れないから、濡らして解してやらないといけないらしいが…まぁ、いいか。お前は経験済みだし、男で戦士で魔術師のお前なら、痛みに耐えられるだろう?」
「やだ…!やだ…!!」
意識させるように無骨な指で撫でると、マスターは青ざめながら激しく首を左右に振って叫んだ。王を見上げる青い瞳に涙が滲む。初めて自分に対し、怯えを見せるマスターに王は背筋をぞくぞくと震わせながら、傲慢に笑った。



あんなに自分に対しても引かない、リツカが…!あんなにも自分に対しても恐れず怯まなかった、リツカが…!!こんなにも自分に怯え、恐怖するなんて…!



王は興奮と歓喜のあまり、笑った。高らかに傲慢に、そして狂いながら。唇を歪め、思い知らせるように入口を撫でる。
「奪ってやるよ、リツカ。この中を俺で犯し、満たし、女の膣にしてやるように腹一杯子種を注いで体を堕とし、お前を恋人から奪ってやろう!」
「いやだああぁぁぁ…っ!」
王の言葉にマスターは抵抗するように叫んだ。青ざめ、半狂乱になりながら嫌々と首を横に振る。そんなマスターを嘲笑いながら、王は穴に性器を挿入すべく体を動かした。本気で自分を犯そうとする王にますますマスターは恐怖で怯え、狂いそうになる。
その時、遠くで馬が嘶く音が聞こえた。その音にマスターはハッとし、正気に戻る。涙で潤んだ青い瞳をきっと鋭くすると、右手にされた手袋を外し、掲げて叫ぶ。
「令呪を以て命ずる!お前のマスターで、お前の恋人である俺の元に来い!!俺の一番のサーヴァントで俺の恋人のライダー!」
「な…っ?!」
マスターの声に右手の令呪の一画が消えた。それに王は目を見開く。この時の為にマスターはアマデウスを呼んでから、ずっと手袋で隠して王を騙し続けたのだ。以前見た時とは違う上、マスターの言葉に更に紋様の一部が消えたのを見て、王は叫ぶ。
「おい!何をした?!何故、紋様が変わった?!訳を言え!!」
「言わない!お前なんかに言わない!!言ってたまるか!」
「ふざけるな!ふざけるなよ!!たかが、卑しい踊り子風情が、傲慢たる王で略奪者たる俺に逆らうなんて!許される訳がないだろう!!」
マスターの言葉に王は怒り狂いながら怒鳴ると、手を上げた。そのまま、マスターに振り下ろそうとした、その時、
「立花あああぁぁぁぁ…っ!」
マスターの名前を呼ぶ声と共にバルコニーに繋がる硝子の扉が割れ、馬に乗った騎兵が飛び込んできた。白と黒が混じった毛並みの馬に乗る騎兵を見て、王はぎょっとしたように灰色の目を見開き、マスターは青い目を輝かせる。馬が部屋に侵入すると、その上から騎兵が飛び降り、王に襲いかかった。
「俺の立花に汚ぇ手で触んじゃねええぇぇぇ…っ!」
「ぐっ…!」
怒鳴り声と共に王は体を何かで殴られ、吹っ飛ばされた。壁に叩きつけられ、床に落ちた王は軽く気絶する。それを確認すると、侵入者はマスターに駆け寄った。
「悪ぃ、立花!遅くなっちまって…!!」
「マンドリカルド…!」
王のように黒髪に一部白いメッシュの入った鋭い目つきの青年がマスターに駆け寄ると、マスターは嬉しそうに目を輝かせた。両手を広げて抱きつこうとしたが、足が引っ張られてしまい、それができない。実は衣装を着せられた後、再び同じような縄で片足を拘束されていたのだ。
「くそっ…!ふざけたもん、立花につけやがって…!!」
それを見た青年は忌々しそうに吐き捨てると、持っていた木刀を振り下ろした。木刀の筈なのに、それはすっぱりと千切れる。それを確認したマスターは今度こそ青年に抱き付いた。
「マンドリカルド!待っていた!!」
「すまねぇ、立花!話も抱擁も後っす!!今は逃げるっすよ!」
青年はそう叫ぶとマスターの体を軽く離し、ベッドから強引にシーツを剥ぎ取ると、ほとんど裸のマスターの体を包み込んだ。そんな二人に叫び声がかかる。
「…待て!いや、本当に待て!!何故、昔の俺がいるんだ?!」
声の主は王だった。気絶から回復した王が緩く首を振って周りを確認すると、目の前の光景に目を見開いた。侵入者は昔の自分の姿をしており、更に彼の腕の中には思い人がいる。それに、王は驚く事しか出来ない。だが、すぐに悲鳴を上げた。
「やめろ!やめろ!!俺から、リツカを奪うな!リツカを奪わないでくれ!!」
悲痛に王は叫ぶ。慌てて起きあがろうとするが、先程の衝撃が残っているせいか、頭がくらくらして、上手く起き上がれない。王は無様にも床に手と足をつき、なんとかしようとするが、上手く起き上がれない。
二人はそんな王を無視し、入ってきた馬に乗ろうとした。青年がシーツでぐるぐる巻きにした思い人を大切に抱き抱え、思い人はシーツの隙間から腕を伸ばし、青年に抱き付く。それを見た王は悲鳴を上げるように絶叫した。
「やめろ!俺のリツカに触るな!!汚い手で触るな!」
「行くっすよ、立花!」
「うん!マンドリカルド!!」
「何だと…?!」
王が叫んでも二人は聞かない。青年が手綱を掴んで言うと思い人は元気に返す。思い人の口から出た名前にまた目を見開いた王だが、すぐに再び叫ぶ。
「待て!行くな、リツカ!!行かないでくれ、リツカ!俺から離れないでくれ!!」
「頼むぞ、ブリリアドーロ!全速力で行ってくれ!!」
王が必死になって叫ぶが、二人は聞かない。青年が叫んで軽く馬を蹴ると、馬は応えるように嘶き、入ってきた場所から飛び出そうとする。それを見た王は力の限り、叫んだ。
「行くな、リツカ!行くな、リツカあああぁぁぁぁ…っ!!」
王の叫びも虚しく、二人を乗せた馬は部屋を飛び出して行った。黒と白の毛並みの馬は部屋から脱出すると、城を駆け抜けていく。
「立花、俺にしっかり掴まってて欲しいっす!全速力で城を突っ切るっす!!」
「うん!」
「駆けろ、ブリリアドーロ!全速力で!!」
青年の言葉にマスターは頷くと力一杯彼に抱きつく。それを確認した青年は片手でマスターを抱き締め、もう片方の手で手綱を握り、馬で城を駆け抜けた。ようやく会えた恋人にマスターは静かに涙を流した。

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