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2026 06/19

[chapter:献身]





「ふ…ぅぐ…っ!ま、まんどり、かるどぉ…っ!!」
「頑張ったっすね、マスター…本当に頑張ったっす…」
腕の中で泣き続ける恋人を抱き締め、マンドリカルドは優しく背中を撫でた。何度も何度もあやすように撫で、恋人の精神回復に努める。そんな優しい恋人にマスターは更に涙を溢す。
「ごめん…ごめんね、マンドリカルド…!俺が馬鹿だった…!!馬鹿だったよ…!」
「あんたは悪くねぇっすよ、マスター。悪いのは、あっちの俺っす。あと、マスターを説得しきれなかった俺のせいっす」
マスターが鼻を鳴らしながら謝ると、マンドリカルドは背中を撫でながらそう言った。優しく言われた言葉にマスターは緩く首を振り、マンドリカルドの肩に顔を擦り付ける。
「違う…違う…!君は言ってくれた…必死で止めてくれた…!!でも、俺はそれを聞かなかった…!それだけしかないと思い込んで、強行してしまった…!!」
「そこは仕方ないっすよ、マスター。確かに、あの時点ではヘクトール様の策しかなかったんすから。あんたの考えは間違ってなかったっす。もっと俺があんたを早く助けにいけば、良かったんす」
「違う…違う…!君は悪くない…!!俺が悪いんだ…!自分の力を過信していた俺が悪いんだ…!!」
マンドリカルドの言葉を泣きながら必死に否定するマスター。抱きつきながら、ぐずる恋人をしっかりと抱きしめ、マンドリカルドは軽く背中を叩いて優しく言う。
「んじゃ、明日にでも、そこら辺は反省会しましょう。今回、何が悪かったのかって。明日にでも、ヘクトール様達と一緒に反省会しましょう」
「うん…うん…!ごめんね、マンドリカルド…!!弱くて情けない俺で、ごめんね…!」
マンドリカルドの言葉に何度も頷くと、マスターは呟いた。そんなマスターにマンドリカルドは優しく声をかける。
「あんた程、強くて頼り甲斐のあるマスターはいないっすよ、マスター。でも、泣く事であんたの気がいくらでも晴れるなら、ずっと抱き締めて胸を貸すっす」
「うん…うん…!少し泣かせて…!!少しだけ、泣かせて…!」
「いっぱい泣いていいんすよ、マスター。あんたはそれくらいのご褒美貰ってもいい位、今回頑張ったんすから」
マンドリカルドの言葉に頷くと、マスターはそのまま泣き続けた。マンドリカルドは頷くと優しくぽんぽんと背中を叩き続けた。自分に配慮しながらも優しく欲しい言葉をくれる恋人にマスターはやっぱり俺は彼が好きだなぁと実感した。
「今日はマスターを慰めてやんな」
「あざっす、ヘクトール様」
仲間と合流し、今回の特異点の活動基点の宿に来ると、ヘクトールはマンドリカルドにそう言った。そんなヘクトールにマンドリカルドは頭を下げてマスターと共に割り振られた部屋へと向かう。それを見届けるとヘクトールは隣の自分達の部屋へと向かった。
自分達の部屋に入ったマンドリカルドはマスターを抱き抱えながら、そっとベッドに下ろす。座り込むように自分を見上げるマスターを見ると、マンドリカルドはにこりと笑う。
「お疲れ様っした、マスター。少し、休みましょう?」
「うん…」
「んで、その…俺、ちょっとマスターと長く離れていたんで…抱き締めていいっすかね?」
労いの言葉にマスターが頷くのを見ると、マンドリカルドは困ったように笑いながら、尋ねてきた。それにマスターはまた首を縦に振った。
これはマンドリカルドなりにマスターを気遣っての行動である。自分から休憩を提案する事で『自分はあんたを休ませたい』と伝え、彼の心を傷つける事なく、さりげなく心身疲れ切っているマスターを休ませようとしている。マスターはこれを了承。頷いたマスターに自分から抱き締める事を提案したのは、『これは俺がしたい事なんで、あんたは気にしなくてもいい』という事で彼の自尊心を傷つけないのと、また抱き締める事でマスターが傷つくような事はされてないかという確認の意図もある。
ここまで配慮してくれるマンドリカルドに一方的に愛を押し付けてくる王との差を実感し、マスターは嬉しさの余り、感動すら覚えた。
「んじゃ、抱き締めさせて貰うっす。背中とか触ったりしてもいいっすか?」
「ん…一杯ぎゅって抱き締めて、一杯触って欲しい…」
「んん…!りょ、了解っす、マスター…」
マンドリカルドの確認に了承しながら、マスターは両手を広げた。自分なりにマンドリカルドを受け入れたい、愛されたいというマスターの意思表示だ。そんなマスターが可愛いと思ったマンドリカルドは一瞬顔を赤らめ、変な咳払いをすると、向かいに座って、恋人の体を抱き締めた。
傷心しているからか、自分に甘えるマスターを存分に甘やかして癒そうと、マンドリカルドなりに痛くない程度にしっかりと抱き締め、あやすように背中を撫でる。自分の意図を察し、優しく甘やかしてくれる恋人にマスターは嬉しさのあまり泣いてしまった。そんなマスターに気付いてもマンドリカルドは何も言わず、ただ少しでも甘えてくれる恋人を癒そうと背中を撫でてあやす。
ここで泣いている彼の涙を拭ってしまったら、マスターが自分の泣き顔という情けない顔を対等でいたい恋人に見せてしまったと自尊心を傷つけてしまうのを避けるためだ。そこまでマンドリカルドは考え、できるだけマスターの精神を癒すべく、全力で考えてマスターに配慮し、少しでも癒そうと全力を尽くす。そんな彼だから、マスターは好きになったのだ。
マンドリカルドだって、最初からここまで出来た訳ではない。なるべく自分なりに考え、マスターに配慮し、恋人に確認してきたから、出来るようになったのである。王とは違い、自分が何をすれば相手は一番喜ぶか?という気持ちが常にあるのだ。
最初は考え過ぎたり、配慮し過ぎて変な方向に行ってしまう事もあった彼だが、その度にお互いに指摘し合い、確認してきたから、ここまで出来るようになった。対等な関係だからこそ、ここまで出来るようになったのである。
根本的に王の彼とは違いすぎる。彼は王で簒奪者だからだ。彼ができる愛し方はせいぜい一方的に愛を押し付ける事。基本的に相手に配慮し、相手を思いやるということが出来ない。彼なりに相手を愛し尽くそうとするから、マスターは絶対に彼を受け入れられない。マスターはそんな愛され方は望んでいないのだ。
だが、恋人は常にマスターと対等でいようとするし、配慮してくれる。戦いでも守るだけではなく、隣で一番に戦力として活躍できるように常に強くなろうとしている。間違った戦略を使おうとすると指摘してくれる。そんな彼だからこそ、マスターは彼を重宝し、彼の隣に立とうと自らも強くなろうと手を尽くすのだ。
常にお互いがお互いを気遣い、配慮し、お互いを高める。お互いに尊重し、対等だからこそ、それが出来るのだ。そして、マスターはそれを恋人に望み、そんなあり方でいたいと考え、またマンドリカルドはその意思を尊重してくれる。
だが、彼はその一方で嫌な事は嫌だとはっきりと言い、それは間違っていると間違いを指摘してくれる。そんな彼だからこそ、マスターは彼を信頼できる。そして、そんなマスターの為にマンドリカルドはあらゆる面で全力を尽くし、できるだけ応えようと全力で頑張り、成長しているのだ。
何もかもが王の彼と違い過ぎる。マスターはそんなマンドリカルドだからこそ、好きになったのだ。だから、王がマスターに選ばれる事はない。
「大丈夫っすか、マスター?」
「ん…大丈夫…ありがとう、マンドリカルド…」
「俺の行動があんたの役に立つなら、それは俺にとっても嬉しい事っすよ、マスター」
マスターが泣き止む頃を見計らい、マンドリカルドは準備していた濡れた布を渡しながら、尋ねる。それでマスターは目元や顔を拭いながら、お礼を言う。そんなマスターにマンドリカルドは笑いながら、言った。やはり、自分に最大限に配慮してくれる恋人にマスターの胸はきゅんと甘くときめく。
「んで、その…さ、最近、離れていたから…ちょっと恋人らしい事、出来てなかったじゃないっすか…ん、んで、ちょっと…恋人らしい事…しません?あ、勿論、隣にヘクトール様とかいるし、防音も駄目らしいんで、エロい事はできないんすけどね!」
「うん…キスとか、一杯したい…」
「んん…!りょ、了解っす、マスター…」
マンドリカルドの言葉にマスターはふふっと笑いながら頷く。ふにゃりと笑いながら言うマスターが可愛くてマンドリカルドはまた顔を赤らめ、また軽く咳払いした。
恋人の願いを叶えるべく、マンドリカルドはそっと手を重ねる。それに一瞬びくりと体を震わせるマスターだが、すぐに指を絡ませる事で嫌ではないとマンドリカルドに伝えた。体を震わせるのを見たマンドリカルドはやめた方がいいか?と考えたが、マスターが即座に指を絡めたので嫌がっていないのが分かり、ほっと安堵のため息をついた。
それから、顔を近づけ、頬にキス。するとマスターがまたびくりと体を震わせたので、あ、これあっちの俺もしやがったな?と思い、少しずつ変えながら、頬にキスをして反応を見る。どんなやり方が嫌なのか慎重に見極め、嫌がらないやり方で頬に何度もキスをする。自分はあっちの俺とは違う、俺はこの行動であんたに喜んでもらいたい恋人で、だから大丈夫と何度もキスをする。すると、マスターの体から段々強張りが消えていったので、マンドリカルドはまた安堵のため息をついた。
「あの…こっちも…キスして、いいっすかね…?」
「…うん…君に一杯して貰いたい」
マンドリカルドがそう言いながら唇に触れて尋ねると、マスターはまたびくりと体を震わせた。また体が強張ってしまう。しかし、すぐに大丈夫と伝える為に首を振った。
そんなマスターの反応にマンドリカルドはあいつ、唇に触れながらマスターが嫌がる事をしやがったんだなと判断した。それなら、唇にキスしたいと素直に言えば良かったと反省したが、仕方ない。挽回する為に少しでもマスターを癒すべく、唇に何度も触れるキスを繰り返し、反応を見る。少しずつ変え、何が最適解か探る。反応から大丈夫なキスを判断すると、マンドリカルドはそのやり方でマスターの唇に何度もキスをした。それにマスターの強張った体がまた解れていった。
それを確認したマンドリカルドは次へと移った。
「口の中…舌を入れてもいいっすかね…?」
「…うん…君のやり方で一杯して欲しい」
マンドリカルドが尋ねるとマスターはまた体をびくりと震わせ、また体を強張らせた。了承を示すマスターの言葉を聞いたマンドリカルドは思わず眉を寄せてしまった。
体を震わせて強張った挙句、「君のやり方で」とマスターは言った。という事はあちらはマスターの嫌がるやり方で舌を入れるキスをしたという事だ。あの野郎、ふざけやがってと怒りが込み上げるが、今はマスターの回復が先だ。あいつへの怒りはあいつ自身と対峙した時にあいつをボコって発散しようと決意する。
怒りを無理やり抑え込むとマンドリカルドはマスターの口内に舌を入れた。少しずつ触り方や角度を変えて、マスターの反応を見て、今のマスターが一番喜ぶやり方を探っていく。やり方が分かるとそのやり方で丹念に口内を優しく愛撫した。すると、少しずつまたマスターの体から力が抜け、また体が解れていく。なんとか癒すのに成功できたと判断したマンドリカルドは次へと移る事にした。
「か、体…触っても、いっすか…?あ、服の上からがいいっすかね?手からしましょうか?」」
「手と…出来れば、口も…服の上からとかじゃなくて、直接がいい…」
おずおずと言うマスターの言葉にマンドリカルドはぎり、と歯軋りしそうな程、歯を食いしばって耐えた。叫び出しそうな衝動を、なんとか抑え込む。



あんの野郎、俺の恋人の肌に直接触りやがった!しかも、手だけじゃなくて、口でも…!!



ぎりぎりと歯を鳴らしながらも、なんとかブチ切れそうになるのを耐える。そんなマンドリカルドにマスターはびくりと体を震わせた。そんな恋人の様子にマンドリカルドはあんたには怒っていないと伝えるべく、慌てて優しく体を撫でる。
「す、すんません、マスター…あの野郎が嫌がるあんたに無理やり触りやがったかと思うと…心底、腹が立って…あぁ、勿論、あんたには欠片も怒ってないっす…どうせ嫌がるあんたに、あの野郎が勝手に触ったりしたんでしょ?」
「ご、ごめん…ごめんね、マンドリカルド…」
「あんたは悪くないんすよ、マスター…嫌がるあんたに無理やり触れたあの野郎が悪いんす…」
マンドリカルドの言葉にマスターは泣きそうな顔で何度も何度も謝る。マンドリカルドの言葉にマスターはこくこくと何度も首を縦に振って、彼の言葉を肯定する。その様子にやはり無理やり触られたんだと分かり、そんな恋人の精神を癒すべく、また優しく体を撫で続ける。
ただ、怒りはそう簡単には治らないので、荒い呼吸で無理やり治めようとするのは許して欲しい。
何度も何度も「あんたは悪くない」と言って伝え、優しく体を撫で続ける。荒い呼吸で怒りを吐き出し、なんとか気持ちを落ち着ける。
双方なんとか気持ちを落ち着かせると、マンドリカルドは恋人を癒すべく、その体に触れた。シーツで包まれただけの裸に慎重に手で触れていく。出来るだけ怖がらせない様に触れていく。
上半身はほとんど大丈夫だった。下半身もほとんど無事。
だが、
「ふ…っ!」
そこに触れた途端、マスターは泣きそうな顔で声を漏らした。その反応にマンドリカルドは頭がカッと熱くなるのを感じた。なんとか怒りを納めるべく、荒い呼吸を繰り返す。
その一方であんたには怒っていないと伝えるべく、反応する度に動き、マスターを抱きしめ、背中をぽんぽんと軽く叩く。その対応にマスターは触られた時はびくりと震えながらも、優しく抱きしめてあやすように背中を叩かれる度に分かっているとばかりにこくこくと首を縦に振ってマンドリカルドに伝えた。
マスターが反応したのは、首と太腿の内側。そして、性器と奥の秘所。それにマンドリカルドは怒り狂いそうになる心を無理やり宥め、落ち着かせようとする。
首はまだいい。太腿の内側もぎりぎり許容範囲。だが、性器と奥の秘所は絶対に許せない!
「襲われた時に…手で一回だけ…触られて…」
「…中は?」
「無事…」
マンドリカルドの心情が分かったのか、マスターは泣きそうになりながら、それだけ言う。そんなマスターに申し訳ないと思いながらも、マンドリカルドは短く尋ねた。それにマスターも短く答える。答えを聞いたマンドリカルドは少しだけ安堵した。
どうやら、最悪の事態だけは回避できたようだ。間に合って良かった。
「マスター…触っていいですか…?できれば、手と…口で…」
怒りをなんとか抑え込むと、マンドリカルドはまた尋ねた。そんなマンドリカルドにマスターは何度も首を縦に振る。それを見たマンドリカルドは恋人を癒すべく、触れる事にした。
首を優しく撫で、舌で優しく愛撫する。太腿は全部の内側をに対処すると我慢できなくなりそうなので、反応のあった場所だけ撫で、舌で優しく触れる。
マスターの反応を見ながら、マンドリカルドは恋人を癒していった。そこまで出来たと分かると、股間に手を伸ばそうとして手を止める。今までの癒しが効いているからか、緩く反応を示している部分を見て、悩む。



デリケートな部分だ。果たして、触れて大丈夫か?癒せるだろうか?



「あの…ここ、触ってもいいっすか?とりあえず、手から…」
「ふ…うぅ…」
「ま、マスター?!」
股間を指差しながら尋ねると、マスターは再び泣き出してしまった。それを見たマンドリカルドは慌てた。
あのマスターが一度ならず二度も。ビースト相手でも体を震わせ、それでも勇敢に立ち向かったマスターが。それにマンドリカルドは腑が煮え繰り返そうな程に怒りを感じながらも必死に抑え、考え込む。



嫌だったか?思い出させてしまったか?それとも、焦らされたと思われたか?恥ずかしめられたと思われたか?それとも一度だけとはいえ、触られたから、手で触られるのは嫌だろうか?



思考を巡らせ、あらゆる可能性を考えるが、答えは分からない。これだけは聞かないと分からない。しばらく悩んだマンドリカルドだったが、決意すると口を開いた。
「えと…手で触るのは、嫌っすか…?それとも、他に何かされたんすか…?そんなら、言って貰えると助かるんすが…あ、その場合は言えるだけ、無理のない範囲で…」
「じ、実は…自慰する所を見られてて…」
「え?」
できるだけ言葉を選んでマンドリカルドが言うと、マスターは泣きながら、おずおずと答えた。言われた言葉にマンドリカルドは固まる。さすがにその可能性は考え付かなかったからだ。そんなマンドリカルドにマスターは鼻をぐすぐす鳴らしながらも、ぽつりぽつりと呟く。
「中は…無事だけど…でも、交渉する時に…それを条件に出されて…し、しかも…交渉した日から…毎日…」
「なっ…?!あの野郎…!」
マスターの言葉にマンドリカルドは完全にブチ切れた。思わず、ぶわっと殺意が膨らむ。怒り過ぎて逆に頭が冷えていく。キレ過ぎる余り、逆に冷静になったのだ。
だが、すぐにそれを使って怒りを抑え込んだ。慌てて恋人を抱きしめ、背中を撫でる。何度も何度もあやすように。少しでも傷ついた恋人が癒されるように。
「頑張ったっすね、マスター…あんたは本当に頑張ったっす…そして言い辛い事を言わせて、申し訳なかったっす…教えてくれて、ありがとうございます…」
奴に対して怒りは収まることなんてないが、今は傷ついた恋人を癒す方が大切だ。考えうる限りに言葉を選んで恋人を労い、感謝し、少しでも癒そうとする。そんな恋人の心情が分かったのか、マスターは恋人に必死に抱きつき、泣いて鼻をぐすぐすと鳴らしながらも肩に顔を埋め、謝り続けた。
「ご、ごめん…ごめんね、マンドリカルド…君を裏切って…君にも見せた事…ないのに…」
「あんたは悪くない…何にも悪くないんすよ…悪いのはあんたにそんな酷い事させた、あっちの俺っす…あんたは何にも悪くないんすよ…あんたは俺を裏切ってないんすよ…」
「で、でも…!」
優しくマンドリカルドが言うが、マスターは気がすまないのか叫ぶ。奴に対して、自分に対して怒りを感じながら叫ぶ。どう考えても、恋人に対し、不誠実な事だとしか思えないからだ。いくらこれしか手が無く、これをしなければなかったとやっていた時は割り切ってしたのだが、今は死ぬ程後悔している。自分はなんて馬鹿な事をしてしまったんだ、と。恋人に対し、なんて不誠実な事をしてしまったんだ、と。
そんなマスターの心情を察したマンドリカルドは自分の肩に埋める顔をさりげなく上げさせ、自分と向き合わせると、にこりと優しく微笑みながら言った。
「じゃ、帰ったら…ね?俺にもして下さい…あんたが気の済むまで…俺にして下さい…それで、チャラにしましょう?」
優しい恋人の言葉にマスターは目を見開いた。そして、嬉しそうに微笑んだ。自分の愚行を許してくれる、彼の優しさに救われたからだ。青い瞳からぽろぽろと涙を溢しながらも、幸せそうに嬉しそうに微笑む。
「うん…うん…!君が満足するまで、するよ…!!できるだけ…一杯…!少なくても、あちらの君にした位は…させて…!!」
その言葉と恋人の様子にマンドリカルドは安堵のため息を吐いた。どうやら、彼の傷を癒せた様だ。少しだけかもしれないが、これなら大丈夫だろう。
優しく顔を撫で、頬を撫で、髪を撫でて感謝を伝えるように撫でると優しく囁く。
「分かったっす…でも、無理はしないで欲しいっす…ゆっくり…ね?」
「うん…うん…!頑張るからね、マンドリカルド…!!俺、君に喜んでもらえるよう…頑張るからね…!」
「分かりました…帰ったら、いっぱいして下さい…そのお礼に俺もあんたを愛しますから…一杯一杯愛しますから…」
恋人の気持ちが分かったマスターは幸せそうに頷きながら、叫んだ。そんな恋人に優しく笑うと、マンドリカルドは感謝と労いを伝えるべく、優しく唇にキスをした。何度も何度も優しく触れ、口内に舌を入れて優しく愛撫する。そんな恋人の口付けにマスターはうっとりとしながら、目を閉じた。
お互いに抱きしめ合いながら、口付けを交わす。幸せを感じながら、お互いに愛し、慈しみ合う。そんな優しい彼に、マスターは彼が恋人が良かったと心底思った。そして、マンドリカルドもいじらしく、健気にも一途に愛を伝えてくれるマスターを愛して良かったと心底思ったのだった。
満たされるキスをしながら、マンドリカルドはマスターの股間に手を伸ばした。触れた瞬間、びくりと彼の体が震えるが、大丈夫だと言わんばかりに口内を舌で愛撫し、優しく愛す。キスしながら、股間のそれを手で撫で、反応を見ていく。こちらは一度軽く触れただけだったらしく、普段の愛し方でも大丈夫だと分かると、手で愛した。重ね続ける唇から声が漏れる。
「ふ…まんどり…かるどぉ…」
「ん…気持ちいっすか…?立花…?」
甘える様に名前を呼ぶマスターにマンドリカルドは一旦唇を離すと甘やかす様に尋ねた。いつも愛し合う時の様に名前で呼ぶ。それに何度もキスして答えながら、マスターはこくこくと首を縦に振る。それに安心しながら、マンドリカルドは愛し続ける。何度も唇に口付け、何度も性器に触れて愛し、癒していく。懸命に奉仕し、愛し尽くす。それにマスターは愛されて幸せそうに蕩けていく。
「ふ…ぁあ…!」
何度目かのキスの合間にマスターが声を漏らすと彼は果てた。マンドリカルドは優しく褒める様に口付けながら、出来るだけ吐き出させようと奉仕する。愛し尽くされ、マスターは何度も体を震わせた。
「ん…ちょっとは、マシになったみたいっすね…」
「うん…ありがとう…マンドリカルド…」
ようやく慰めが終わると、マンドリカルドは労う様に何度も軽く口付けた。それにマスターからも何度も口付け、感謝を伝える。青い瞳をとろりと蕩けさせながらも大丈夫と伝える様に笑う。そんなマスターに最後に一度唇に口付けると、マンドリカルドは体を離した。
「できれば…口もしたいんすけどね…」
「お、俺もいい…けど…」
苦笑しながら呟くマンドリカルドの言葉にマスターも顔を赤く染めながら、呟いた。ちらりと互いに部屋の壁を見て、呟く。
「聞こえる…よね…」
「っすよねぇ…あっちが分かっているって分かっていてもなぁ…」
壁の向こうにいる仲間の事を考えながら、二人は呟いた。お互いに顔を見合わせ、苦笑する。あちらも分かっているとはいえ、聞かれるのは恥ずかしいし、何より好きな人の可愛い声が聞かれるのは嫌だ。今更かもしれないが。
とりあえず、当面の目的は達成できたので、良しとする事にした。
「す、すんません…ちょっと…処理してきていいっすか…?結構、ヤバくて…」
「あれ?処理できる所、あるの?」
「…そこら辺も考えて、ここにしたんで」
自分の股間を抑えながら、マンドリカルドは立ち上がった。そんな彼にマスターが尋ねると、マンドリカルドは苦笑しながら答える。それにマスターは少し考え込むと、口を開いた。
「あの…俺がしていい…?その…お礼っていうか…」
「や…いいっす…絶対に止まらなくなるんで…それは帰ってからで…」
「そ、そう…」
マスターの言葉にマンドリカルドは緩く首を横に振りながら答えた。そんな彼に何とも言えない顔をしながら、マスターは頷く。それを見たマンドリカルドは前屈みという情けない状態でありながらも何とか処理できる場所に向かった。
「馬鹿みたいにちんこが痛ぇ…!頑張った…頑張ったっすよ、俺…!!よく耐えたな、俺…!偉いっすよ、俺…!!」
処理できる小さな個室でぼそぼそ呟きながら、マンドリカルドは処理をしたのだった。それくらい、自分に愛されて慰められて癒される恋人は可愛かったのである。正直、股間にきまくった。
しかし、マンドリカルドは耐えきり、恋人を愛し、癒しきることができたのである。その事実にマンドリカルドは嬉し過ぎてちょっぴりとだけ泣いた。
後日、マンドリカルドが自らの諸々の感情を抑え、恋人を慰めて癒しきった事を知ったカルデアの大人サーヴァント達が彼の肩を叩きながら褒めたら「いや、恋人の為なら、当たり前じゃないっすか」と言って困惑するのだが、それは先の話である。

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