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2026 06/19

[chapter:愛が為]






「さぁ、マンドリカルド王。貴方の番です。『誇り高きタタールの王』でしかない貴方が唯一出せ、また貴方自身が最後の一手を出せる番でもあります。どんな一手を出しますか?」
「そうだな… 『誇り高きタタールの王』でしかないマンドリカルドだから出せる一手にするか…」
マスターの言葉を聞いた王はそう呟くと、立ち上がった。そして、寝具に座るマスターの前まで来ると宣言する。
「今から仕掛ける。嫌だったら、ガンドという術を放つなり、令呪とやらを使って、お前の恋人にでも命令なり何なりを出してとめろ」
王の宣言を聞いたマスターは一瞬だけ青い目を見開いた。しかし、すぐに王が自分に何をしようとしているのか分かったのか、目元を緩め、穏やかにすら笑う。
「ちなみに、俺の言う令呪って何だと思ってますか、マンドリカルド王?」
「右手の紋様」
マスターの問いに王は即座に返した。マスターの右手を指差し、指摘する。その右手の甲にあるのは、一画分の令呪の紋様だ。
「俺がお前を襲った時、お前が命令を出したら、それが一部消えた。そして、お前の恋人が奪いに来た。また、お前は城で使い魔のサーヴァントと接触してから、何だかんだで右手のそれを隠していた。ならば、それが令呪とやらだと考えるべきだろう?」
「正解ですよ、マンドリカルド王。その褒美に体に触れるだけのものなら、俺は許すと言っておきます」
王の言葉を聞いたマスターはにこりと笑いながら答えた。満足そうに笑うマスターに王も不敵に笑いながら呟く。
「『傲慢な暴君の略奪者』のお前からの褒美か…悪くないな… 『誇り高きタタールの王』として、有り難く受け取っておこう…」
そう呟くと、王は身を屈めた。床に片膝をつき、マスターを見上げる。
まるで騎士が主人に忠誠を誓う時のような仕草をする王。彼は玉座に座るように寝具に座る思い人を見上げる。そんな王にマスターは笑顔を返した。安心させる為か、満面の笑みを浮かべるマスターを見た王は内心で思う。



やはり、分かっているか。流石だな、リツカ。



そう思った王はマスターの体に手を伸ばした。右足のふくらはぎの辺りと足首を掴んで、マスターが傷みを感じないように軽くあげると、礼装の上から彼の足に一度だけ口付ける。そんな王を見て慌てたのはマスターではなく、マンドリカルドの方だった。何故か穏やかに満足そうに笑い続けるマスターにマンドリカルドは叫ぶように名を呼ぶ。
「…マスター!」
「マンドリカルド」
マンドリカルドの呼び声にマスターは静かに彼の名前を呼んだ。そして、自分のマンドリカルドを見つめる。その青い瞳は王に向けるものとは違い、冷ややかだ。
「俺は、まだマンドリカルド王と戦争中だよ?見て分からない?」
自分のマンドリカルドを見下しすらしながら、マスターは呟く。
「俺はまだ奪っていない。『誇り高きタタールの王』マンドリカルドから、奪いきっていない。奪い尽くしていない」
冷酷に残酷に、そしてマスターは自分のマンドリカルドに吐き捨てるように言い放つ。
「それなのに、俺の恋人で俺の一番とはいえ、俺のサーヴァントでしかない君が、俺達の…『誇り高きタタールの王』マンドリカルドと『人類最後のマスター』で『傲慢な暴君の略奪者』である俺との戦争に介入するの?君、それも分からない無能だったっけ?」
傲慢に自分のマンドリカルドに吐き捨てるように尋ねるマスター。それを聞いた瞬間、マンドリカルドの体に衝撃が走った。あらゆる感覚が体を回り、思わず目を見開いてマスターを見つめる。



凄ぇよ、マスター!あんた、王の俺から奪った『傲慢な暴君の略奪者』を即座にものにしちまった!!流石は俺達の…いや、俺のマスターにして俺の恋人の藤丸立花だ!



歓喜に体を震わせながら、マンドリカルドは胸の内で賞賛を叫んだ。自らの主で自らの恋人であるマスターの藤丸立花に畏怖と敬意と尊敬と謝罪を示すように胸に手を当て、頭を垂れる。
「申し訳ありません、マスター。我らが『人類最後のマスター』にして、『傲慢な暴君の略奪者』。貴方の恋人で貴方の一番とはいえ、たかが貴方のサーヴァントでしかない俺が出張り過ぎてしまいました。どうか、お許しを」
「分かればいいんだよ、俺のマンドリカルド。許してあげる。俺の恋人にして、俺の一番のサーヴァントである俺のマンドリカルド」
マンドリカルドの言葉にマスターは満足そうににっこりと笑いながら言った。その言葉を聞いたマンドリカルドは頭を垂れたまま、微かに笑ってさえいた。
「悪くない!悪くないぞ、雑種!!一時的とはいえ、今、この瞬間だけは貴様を『傲慢な暴君の略奪者』として認めてやろうじゃないか、雑種!他の誰もが認めなくても、この俺が許す!!古代ウルクの王にして賢王ギルガメッシュが許す!許してやろうじゃないか!!」
カルデアで二人の戦争を見守っていた賢王ギルガメッシュは思わずそう叫んだ。それくらい、見事な手腕であった。『傲慢な暴君の略奪者』であった。
「流石だな、リツカ…!お前は本当に最高だよ…!!俺から『傲慢な暴君の略奪者』を奪い、即座にものにするなんて…!しかも、『傲慢な暴君の略奪者』のお前も、こんなに美しいなんて…!!こんなにも最高に美しいなんて…!あぁ、奪われて良かった…!!お前に奪われて良かった…!そして、欲しくなった…!!ますますお前が欲しくなったぞ、リツカ!ますます奪いたくなった!!ますます奪い尽くしたくなったぞ、リツカ!俺が全てを奪い尽くし、俺の全てを奪い尽くす、俺の最愛の人である藤丸立花!!人類最後のマスターにして、傲慢な暴君の略奪者よ!」
王は恍惚とした表情で思わず呟いた。灰色の瞳にあらゆる欲を含ませ、体を小刻みに震わせる程に興奮しながらマスターを見上げる。余程欲しいのか堪らなそうに舌舐めずりするように一度だけ唇を舌で舐める。今までで一番興奮しているからか、口にも興奮の言葉を出している。
そんな王を見たマスター以外の全員が思った。人間もサーヴァントも関係なく、マスター以外の全員が思った。タタールにいるサーヴァントもカルデアで戦争を見守っていたサーヴァントや関係者も全員が思った。



こいつはやべぇタイプの変態だ!殺してでも離さないと、我らのマスターである藤丸立花が危ない!!あらゆる意味で危ない!人類最後のマスターを、藤丸立花を救わねば!!



「マスター。即刻、その変態との戦争をやめましょう。そいつは俺がトドメを刺して消し去るんで。それとも、すぐにでも俺と一緒にカルデアに帰ります?あ、大丈夫っす。そん時のその変態に関しての心配はご無用っす。そん時はその変態はヘクトール様辺りが徹底的にトドメを刺して消し去ってくれるんで。そいつ、ある意味で俺と同じマンドリカルドだから、マスターの戦争を中断されてトドメを刺されて消し去られても、憧れている大英雄ヘクトールに殺されて消し去られるなら、ある程度は満足して成仏できるんで、ご安心を」
一番最初に動いたのはマンドリカルドであった。場からは動かなかったが、王の言動を見た瞬間、一気にそこまで全部言い放った。さすがはマスターの一番のサーヴァントでマスターの恋人。あらゆる意味で有能で優秀過ぎる。
そんなマンドリカルドに声がかけられる。
「オジサンにも配慮してくれ、後輩。オジサンに変態を仕留める役目をさり気なく押し付けないでくれ。オジサン、今、精神的に良くないから。マスターが変態に迫られてるのを見るのもキツいし、さっきまでオジサンと穏やかに話をしていた割と好青年の変態な部分を見せられて、結構精神的にキツいから…」
マンドリカルドに話しかけたのはマスターではなく、ヘクトールであった。マスターを思う余りにマンドリカルドがしてしまった色んな意味で酷い対応をされて思わず遠い目をしている。あと、本人が言った事実からも精神的にダメージを負っているようで、それからも遠い目をしている。生前が王族で政治家だった彼らしからぬ言動である。いや、彼だから気持ちを口に出して、遠い目をするだけで済んだのかもしれない。
そんな二人を見て、マスターは思わずため息をついてしまった。マンドリカルドを説得するべく、口を開く。
「だからね、俺のマンドリカルド。俺はマンドリカルド王と戦争中で、その戦争を要求したのは、俺。応じているのも俺なんだよ、俺のマンドリカルド。気持ちは死ぬ程、分かるけどさ…」
「俺の気持ちが分かってんなら、戦争なんてとっととやめちまって、逃げるなり何なりして欲しいっすよ、マスター…俺達が助けるんで…危機感が無さ過ぎるっすよ、マスター… あと、いくらあんたから要求した戦争だからって、やり続けなくてもいいんすよ、マスター…」
自分を説得しようとしてくるマスターにマンドリカルドは、あまりにも自分の主人で恋人が相手に対して真剣で徹底的に向き合う誠実さに泣きそうになった。そんな変態に気なんて使わず、自分の身を守って欲しい、頼むから逃げて欲しいと言わんばかりにマスターに訴える。
そんなマンドリカルドの気持ちが分かったマスターは、またため息をついたのだった。これは説得の方法を変えねばならないなと判断し、別の方向から説得しようとする。
「マンドリカルド王は、あれだよ。割と黒髭タイプの変態だから。黒髭は基本的にはイエスロリータノータッチの精神でいるからか、割と本人に触らないように配慮している。基本的に愛でるだけね。マンドリカルド王も、基本はそれ。愛でたり口説いたり触ったりするけど、本気で嫌がる程にはしない。俺がストリップした時だって自慰をして変態時な事は叫ぶけど、一切触っていない。ある意味、公式から供給受けた時に発狂するだけのオタクと一緒。あと、俺を喜ばせようとした時は俺の希望を聞いてからしてたじゃん。『フライドポテト』がその証拠だよ」
「でも、そいつはあんたを強姦しようとしたり、辱めたりした奴なんすよ?なのに、何でそんなに簡単に信じちゃうんすか?」
マスターの言葉にマンドリカルドは即座に返した。彼の言葉を聞いたマスターはやっぱりそれかと内心思う。確かに、それは動かしようのない事実。しかし、これに関してもマスターは対策済みである。
「強姦とかに関しては、『傲慢な暴君の略奪者』だったからだよ。だから、俺はその辺も考えて、真っ先に『傲慢な暴君の略奪者』を奪ったんだ。だから、今のマンドリカルド王は大丈夫。その証拠に手を出そうとする時は嫌だったら抵抗しろとか言ってるし、基本は俺の許可が出てから触ってるじゃん」
「なるほど…だから、マスターは最初に『傲慢な暴君の略奪者』を奪っておいたんすか…」
マスターの言葉を聞いたマンドリカルドは納得したのか、そう呟きながら頷いた。そんなマンドリカルドを見たマスターは言葉を続ける。
「あとさ、黒髭は基本の言動は海賊だけど、推しとか好きな相手には配慮しているよ。軽く絡むことはあっても、本人が嫌がれば即引き下がる。少し離れた所で気持ち悪い言動をする事はあるけど、基本はそれだけなんだ」
「そういや、そうっすね。普段のあいつは海賊そのものだけど、あいつはステンノやエウリュアレやらからは少し離れているっす。気持ち悪い笑顔を浮かべて気持ち悪い笑い声を出す事はあるけど、基本はそれだけっすね。たまに軽く声とかかける事はあっても、すぐに離れてるっす。いや、何でそんなもんを持ってるんだと言いたくなるような物を持っている事はあるっすけど、あれも基本は本とかグッズなどの個人で楽しむ物。理解がない奴の前や、あいつからの好意とかやらがない奴の前では絶対に出さねぇな。まぁ、その表情とか笑い声とかは心底気持ち悪いんすけどね」
マスターの言葉を聞いたマンドリカルドはそう呟いた。マスターの言葉から普段の黒髭の行動を思い出して呟き、それに納得しているのか頷いたりしている。そんなマンドリカルドを見たマスターは上手く話題が逸らせた手応えを感じた。そのまま、話題を進ませることにする。
「黒髭はオタク関係も公式様や作家様とかにできるだけ配慮してマナーを守っている良いオタクでもあるんだよ。イベントとかが中止したら、死ぬ程落ち込むけど、理由がちゃんとしていれば、ちゃんと納得はするし。いや、やっぱり死ぬ程落ち込みはするけどさ。グッズとかの購入は販売が分かった瞬間から、真っ先に正当に真っ当に購入して、公式とかに感謝しつつも少しでも売り上げに貢献しようともするし、売り切れても買った相手が好きで買ったなら、諦める。泣きはするけど。転売ヤーという、ふざけ過ぎている程にふざけた存在にはガチギレし、奪おうとするけどね」
「あいつ、そんな事してんのか…他はともかく、好きなものに関しては確かに普通に礼儀を守ってんな…根っからの海賊なのに…」
「死後の俺が本気で感心しているな…さすがは、リツカというか…いや、話題の人物がそれだけの奴なのか…?オタクとやらに関してはさっぱり分からないが、他者、しかも好きな相手への配慮という一点に関しては王の俺も見習った方がいいかもしれん…」
マスターの言葉に頷くマンドリカルド。そんな彼を見た王は複雑そうに呟いた。何というか、自分の最愛の人が優秀過ぎる。こんなに見事に戦争を止めようとしていた恋人の気を、あっさり逸らしてしまったのだから。しかも、話題自体はそんなに変わらせず。
更には話題の人物の優秀さも語っている。海賊らしいから人間的には認めたくないが、好きなものに対してだけは配慮はできるようだ。そこは王も素直に感心した。好きな相手には、できるだけ配慮とかしたい。まぁ、出来ない状況も時にはあるのだが。
そういう意味では、そこをちゃんと貫ける話題の人物は凄い人物かもしれない、と王は思ったのだった。ある意味で羨ましいとすら、王は思ってしまった。
「そんな黒髭を見習ってさ、君もオジサンにも配慮してあげなよ、俺のマンドリカルド。今のオジサン、結構精神的にズタボロじゃん。君が尊敬して憧れた大英雄なんだよ?」
「ヘクトール様は大丈夫っすよ、マスター。あの色んな意味で過酷なトロイア戦争でも死ぬまで狂わなかった凄い精神の方なので…俺、その辺にも詳しいんで間違いないっす」
「あの戦争では狂わなかったけど、精神的にキツい時はキツいんだよ、後輩…そして、今は戦争の時よりも精神的にキツいんだよ、後輩…ある意味、発狂しそうなんだよ、後輩…」
マスターの言葉にマンドリカルドは、またしても即座に返した。さらりと返す言葉は確かにヘクトールの事をちゃんと知っている彼だから説得力があるが、とにかく扱いが酷い。
多分、本人的にはそこまで知っており、故に信頼しているから言っているだけかもしれないが、何というかマスターとの扱いの差が酷すぎる。本当にお前はヘクトールを尊敬し、憧れていたのかと尋ねたくなる程にヘクトールに対して酷い扱いをしているのだ。
そんなマンドリカルドに更にダメージを受けたのか、ヘクトールは更に遠い目をしながら呟いた。おかしいな、後輩は確かに自分を尊敬して憧れていた筈なのにと言わんばかりに遠い目をしている。マンドリカルドから更に酷い扱いを受けて遠い目をするヘクトールを見たマスターは思った。



これ、更に話を進めたら、もっとオジサンが傷付いちゃうな。もうやめておくか。



マスターは実に冷静な思考をしていた。緩く首を振ると、話題を終わらせるべく、口を開く。
「まぁ、そんな訳で…俺は大丈夫だから、君は安心して見守って欲しいんだよ、俺のマンドリカルド。俺とマンドリカルド王の戦争をね」
「色々と言いたい事はあるんすけどね、マスター。とりあえず、これだけは言わせて欲しいっす」
「何、俺のマンドリカルド?」
真剣な表情でマスターを見つめるマンドリカルド。そんな自分のマンドリカルドをマスターは静かに見る。
「俺の気を逸らして誤魔化そうとするの、やめてくれません?」
そう言ったマンドリカルドの一言にマスターは軽く目を見開いた。そして、青い瞳で自分のマンドリカルドを見つめる。じっと自分を見つめてくるマスターにマンドリカルドは軽くため息を吐きながら、理由を言った。
「普通に説得するだけなら、『傲慢な暴君の略奪者』を奪った理由だけまでで十分っすよね?後のやりとりは別にいらねぇっすよね?なのに、更に俺に話したりとか説明とかしたりしたのは、俺の気を逸らし、誤魔化しとかする為っすよね?」
「やっぱり、君には見破られるか…流石は俺の一番のサーヴァントで俺の恋人のマンドリカルドだね…」
「これくらい分からないと、あんたの一番のサーヴァントで恋人は名乗れないんすよ、マスター」
マンドリカルドの言葉を聞いたマスターは穏やかに笑いながら、そう言った。さっきの『傲慢な暴君の略奪者』とは全く違う態度。今は自分の恋人に対しての対応をしているようで穏やかで優しいものだ。
そんなマスターにマンドリカルドは軽くため息をつきながら、答えるのだった。あっさりと言い放つ自分のマンドリカルドの言葉にマスターは満足そうに頷く。やっぱり、俺の一番のサーヴァントで俺の恋人は違うなぁと思いながら。
そんなマンドリカルドとマスターのやり取りを聞いた王は内心で思った。



やはり、リツカの意図が分かったか。まぁ、リツカの一番のサーヴァントで恋人なら、当たり前だな。



マンドリカルドが全くの無能ではないと分かった王はリツカを見上げながらも、それでもこっそりと唇を歪ませて笑うのだった。
一方、その頃。マスターと王の戦争を見守るカルデアでは。
「雑種。さっきの俺の発言を取り消していいか?俺がお前を『傲慢な暴君の略奪者』と認めてやるという許しを出す発言。この古代ウルクの王にして賢王ギルガメッシュでもある俺までそれを認めたら、お前の諸々が危ないから。あらゆる意味で危ないから。そして、即刻カルデアに帰ってこい。その変態を確実に殺して、跡形もなく消し去って帰ってこい。貴様は、それだけ危険な目に合っているんだぞ?その変態を平然と受け流すな。お前の精神はどうなっているんだ、雑種?あらゆる意味で精神が強過ぎないか、雑種?いや、複数のビーストと戦って勝ったり、仲間にしたりしている事に事を考えれば、その精神の強さに納得はするが。カルデアにもそれなりに変態なのはいるのは分かるが。でも、変態自体には慣れるんじゃない、雑種。いくら『人類最後のマスター』だからって、しれっと流すな。その変態が『傲慢な暴君の略奪者』のお前に対して適切な対応をしているとはいえ、そいつはやっぱりやべぇタイプの変態なんだからな」
王の様子やらマスターとマンドリカルドとのやりとりやらなんやらかんやらを見た賢王ギルガメッシュは思わず即座に一気に言い放った。それ程に王はやべぇタイプの変態だった。速攻で一息でそこまで言ってしまう程、やべぇタイプの変態だったのである。カルデアにも変態がいる事実もそれなりには受け止めているが、あまりにも適応力が高いマスターにそう言うしかなかった。
「流石、マスター!拙者の事をよく分かってるぅ!!そうですよ、マスター!拙者、基本は海賊らしい言動をするけど、推しとか好きとか公式とか作家とかには出来るだけ配慮し、全力で供給を待って、全力で供給先に感謝しながら受けて貢いで返そうとするんで!!なるべく、マナーを守ろうとするタイプのオタクなんで!流石、拙者が認めているオタク仲間でもあるマスターは違うなぁ!!」
一方、マスターの言葉を聞いた黒髭は全力で喜んでいた。中々、理解が得られない部分に関して、マスターがちゃんと理解していることを知れて嬉しいのだ。いや、マスターは前々からそういう言動をしていたから知っていたが、こんなにはっきりと言葉にして貰った事はあまりないのである。ひたすら嬉しくて、はしゃいですらいる。
しかし、急に真顔になると黒髭は呟いた。
「ま、だからこそ、拙者は許せないんだが。そんな大切なオタク仲間のマスターを傷つけやがった、そのくそ野郎がな」
「私もなぁ…そのくそ野郎がマスターに触りたい、マスターの自慰が見たい、マスターを強姦したいとかの心情も分からない訳ではないが…海賊だから、その辺も分からない訳ではないが…でも、マスターは好きな相手なんだろう?そこまでなってしまうくらいに好きな相手なんだろう?なら、尚更の事、マスターを傷つける行為をするな、とは言いたい…」
「あたしは割と黒髭寄りだね。単純にあたしが好きなマスターを傷つけやがったから、そのくそ野郎が嫌い。いくら海賊で犯罪とかに慣れていても、大切な人を傷つけられて、黙ってなんていられないよ。海賊だから、尚更ね」
黒髭の言葉にバーソロミューやドレイクも呟いた。海賊だからこそ、言える言葉であった。そんな海賊サーヴァント達を見て、海賊らしい熱烈な愛だな、と誰かが呟いたのだった。
そんなカルデアを他所に、タタールの方は戦争が続いていった。

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