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2026 06/19

[chapter:戦争終結]





二人の戦争は、ついに最後の一手まで来た。マンドリカルド含むサーヴァント達は主人達の戦争を黙って見守る。
そんな中、マスターは己の恋人で一番のサーヴァントであるマンドリカルドに尋ねた。
「さて。一応、俺からの最後の一手を出す前に言っておこうか。俺のマンドリカルド。君は最後まで、俺と王とのやりとりを見守るかい?」
「見守りますよ、マスター。俺はあんたの一番のサーヴァントであんたの恋人っす。あんたの一番のサーヴァントであんたの恋人になるって決めた時から決めてました。可能な限り、あんたの傍に、あんたの隣にいるって。可能な限り、あんたと共に同じものを見て、経験するって。そして、あんた達二人がどんな決着をつけるか、見届けるって決めました。どんな事になっても全部、最後まで」
マスターの問いにマンドリカルドはそう返した。ずっと、マンドリカルドはそうだった。可能な限りにマスターの傍にいて、マスターと共に見て、経験してきたのだ。少なくても、マスターの一番のサーヴァントでマスターの恋人のマンドリカルドはそうしてきたのだ。
「あと、今の俺は俺なりに王の俺を認めてもいるんすよ、マスター。他はともかく、確かに王の俺は王の俺なりにあんたをちゃんと愛しているって分かったんでね。今までのやり方とか間違いまくってるんすけど。だから、尚更見守りたいっすね。貴重な情報も提供して貰いもしたんで、俺なりに感謝も込めて、そうさせて貰うと助かるっす」
マンドリカルドの言葉を聞いた王は彼に視線を向ける事はなかったが、軽く唇の端を歪めて笑った。どうやら、マンドリカルドは先程の王の行動はちゃんと意味があるものだと判断したようだ。
その先は分からないが、とりあえず今はそれだけでも分かって貰えれば、十分だ。
マンドリカルドの言葉を聞いたマスターは満足そうに頷いた。
「そう。なら、俺は何も言わないよ。君の自由にするといい、俺のマンドリカルド」
「あざっす、マスター」
マスターの言葉にマンドリカルドは軽く返事をした。これは自分は対等な恋人として言わせて貰ったとの意思表示である。それが分かったマスターは了承を示すように首を縦に振って頷いた。
マスターは王に正面から向き合った。青い瞳で灰色の瞳を見つめる。王も灰色の瞳で青い瞳を見つめ返す。
「では、マンドリカルド王。最後の一手を出させて貰います。これが俺達の戦争の終わりの一手です。そして、この一手で『誇り高きタタールの王』を貴方から奪います」
「どうぞ、俺の最愛の人にして人類最後のマスターで『傲慢な暴君の略奪者』である藤丸立花。『誇り高きタタールの王』マンドリカルドの戦争相手」
マスターの言葉に王はそう返した。灰色の瞳が青い瞳を捕らえるように見る。
そんな王にマスターはにっこりと笑いかけると言った。
「俺に『負けました』か『参りました』って言って下さい、マンドリカルド王」
「ほう?」
マスターの言葉を聞いた王は唇を歪めて笑った。どこか愉快そうに笑いながら、呟く。
「これは面白い一手だな…相手に敗北宣言させて、戦争を終らせようとするとは…」
「他にも考えたのですが、最後の一手はこれにすると決めました。色々と考えてね」
笑う王にマスターはそう答えた。そのまま、言葉を続ける。
「ちなみに、先程言った将棋も負けた時に『負けました』か『参りました』と宣言し、頭を下げて礼を言い合います。そういう礼儀で作法なんですよ。開始時も『よろしくお願いします』と挨拶するそうですが、俺達は戦争を始める時にそれぞれ宣言をしたので、それでいいと俺は判断しました」
「面白いな、本当に…お前自身も、お前の故郷も…」
マスターの言葉に王は笑った。どこか楽しそうに笑うと、王は言われた通りに素直に頭を下げる。
「『参りました』、藤丸立花。『人類最後のマスター』にして『傲慢な暴君の略奪者』で俺の最愛の人。『誇り高きタタールの王』マンドリカルドは確かにお前に負けた。戦争の敗者になった俺は、対価としてお前に『誇り高きタタールの王』を奪われよう。戦争に負けたら、勝者に対価も払うだろうしな。それに、俺達の戦争も終わりだし」
「ありがとうございました、マンドリカルド王。俺の我が儘に付き合ってくれて。そして、俺の…『藤丸立花』の要求を…いや、願いを受け入れてくれて…」
王はあっさりと敗北宣言を口にした。マスターも王に頭を下げて礼を言う。そんなマスターに王は笑いながら答える。
「あらゆる理由から引き受けただけだ。確かに要求したのはお前からだが。しかし、悪くなかったよ、『人類最後のマスター』で『傲慢な暴君の略奪者』でもある藤丸立花…いや、リツカ。俺の最愛の人。お前の我が儘も叶えられたし、俺も満足している。俺も満足したさ」
噛み締めるように王は呟く。そして、マスターに笑顔を向ける。
「ありがとうな、リツカ。楽しい戦争だったよ」
そう言ってマスターに微笑んだ王は…いや、『マンドリカルド』は確かに満足そうだった。こうして、二人の戦争は終わったのだった。

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