兎は好きだば、苦木も噛む(B面)


立て付けの悪い玄関が開いた音で振り返ったチョロ松はそこに、松野家の財政大臣兼農林水産大臣その他もろもろである自身の母をみとめ、眠い目を丸くした。


「あれ?母さん出てたの?」

「チョロ松…あんたどうしたのそれ」

「え?あぁ、上で眠れなくて…明日も早いし居間で寝ようかって…って、なに?え?どうかした?」


話の途中で吐かれたいかにもザンネンですといったため息に狼狽し、チョロ松は持っていた枕を抱き締める。
その姿を上から下まで眺め、もう一度松代はため息を吐いた。
夜目にも分かるほど白く小さな顔はテレビでも見ないほど整っているのに、どこまでも謙虚で健気に毎日を戦っている美貌の探偵。
火曜サスと韓ドラが大好物のこの年代にはクリーンヒットであった。


「あんたが娘ならよかったのに…」

「え?え?なにその今さらなカミングアウト…」


玄関の気温が一気に下がった。

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