「舞さん…なにもそんな風に遊戯を…」
 杏子が舞の口達者振りに戸惑いを隠せないでいると、隣に立つなまえがチラリと杏子を見た。
「…あの人が、意味もなく相手を怒らせるような、そんなイヤな女だったかしら?」
「…!え、」
 杏子が振り返ってなまえを見れば、その赤紫の瞳で真っ直ぐに射抜かれる。その目に、杏子は舞とのデュエルを思い出さされた。
「…!そうか、舞さんは、徹底的に自分に厳しい人。…自分本来の力を出しきれない遊戯が、許せないんだわ…!」
 デュエルリングへ目を戻す杏子に、なまえはふと口角を上げた。
「(舞さんも、とっくに仲間になっているのね…杏子。…いえ、杏子だけじゃない。不思議な連中だわ。私も、どちらかと言えば敵だった筈なのに…)」
 スラリと横並びに応援している四人を見渡す。その一番奥に立つ獏良にだけまだ鋭い視線を和らげる事は出来ないが、それでもそのまま流れるように視線を落とせば、舞の挑発でやっと本気を出した遊戯が目に入った

「オレを本気で怒らせたな!舞!」
「(フフ…少しは目が覚めたかしら。これでマトモなデュエルが出来そうね。)」
 舞の高飛車な口元が、ふと真剣な表情へと戻った。

「いくわよ遊戯!今からが本当の勝負!」


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