《
No.33
先史遺産超兵器 マシュマック》(ランク5・光・
ORU2・攻/ 2400)
「僕は、2枚のカードを伏せてターンエンド」
モンスターというにはあまりにも超大で、あまりにも異形。《超兵器》の名にふさわしい巨大要塞然とした《
No.33
先史遺産超兵器 マシュマック》を見上げる遊馬に、冷や汗のようなものが流れる。
『どうやら、彼らが持っている
No.は1枚ではないようだ。油断するな、遊馬』
「わ、わかってるよ」
アストラルからの助言に口を噤み、最後の順番が回ってきた遊馬もデッキに手を伸ばす。
「オレのターン、ドロー! オレは、《ガンバラナイト》を召喚! そして、自分のフィールドにレベル4のモンスターを通常召喚したとき、コイツを特殊召喚できる! 来い、《カゲトカゲ》!」
《ガンバラナイト》(★4・光・攻/ 0)
《カゲトカゲ》(★4・闇・攻/ 1100)
「ほぉう、一丁前にエクシーズ召喚か」
遊馬のフィールドにもランク4の素材が揃う。Wはそれを小馬鹿にしたように笑って見ていた。
「現れろ、《
No.39 希望皇ホープ》!!!」
《
No.39 希望皇ホープ》(ランク4・光・攻/ 2500)
「……なに?!」
「
No.?!」
早々に思惑を外されたVとWの顔が強張る。カイトは何も口を開かず、横目で静かに《希望皇ホープ》を見上げた。
「あの少年、……」
想定外の事に\もXに振り向く。だが肝心のXは、呆然としつつもどこか僥倖に照らされた目をしていた。初めて見るXのその表情が何を意味しているのか汲み取りきれず、\は小さく息を詰まらせる。
「……X兄様?」
「バカな、あのガキが
No.を?!」
「彼は
No.使い……! 兄様、この前のデュエル、迂闊だったかもしれませんね。彼は僕たちのデュエルを一度見ている。……作戦を変更しますか?」
相手が
No.である以上、そのモンスター効果は侮れない。それを見極めるように《希望皇ホープ》から目を離せなかったVだったが、いくら待っても返事をしないWに振り返らざるを得なかった。
「兄様?!」
俯いていたWの肩が震える。腹の底から笑い始めたWが天を仰ぐと、鋭い目が遊馬に注がれる。
「ハハハハハ!!! こいつは面白い。
No.くらい持ってなけりゃ、ブッ倒し甲斐もねぇ!!!」
Vと違って少しも動じず、むしろ、やっと自分のレベルに見合ったモンスターが出てきて楽しくなってきたとでも言いたげなW。
「くっ……」
『……遊馬、カードをセットだ。彼らは2人とも
No.使い、しかも強敵だ。このデュエル、カードの出し惜しみをしている余裕はない』
「あぁ……」
アストラルの冷静な指示にも遊馬は同意し、手札を取った。
「オレはカードを2枚伏せて、ターンエンド!」
「俺のターン、ドロー!!! さぁ、ここからがショーの始まりだ!!!」
これで2対2のタッグデュエル、全員の最初のターンは終了し、ついにバトルでの攻防が始まる。先戦から散々効果ダメージでのライフポイントの削り合いをしておきながら、メインディッシュを待っていたとばかりにWはターン宣言をした。
「俺は
魔法カード《レベルクロス》を発動!!! このカードは手札1枚を墓地へ送り、レベル4以下のモンスターのレベルを倍にする。俺は手札から《ギミック・パペット-ネクロドール》を墓地へ送り、《ギミック・パペット-ボムエッグ》のレベルを2倍にする」
《ギミック・パペット-ボムエッグ》(★4→8)
「さらに俺の墓地に、2体の《ネクロドール》が揃ったことで、1体をゲームから除外しもう1体を特殊召喚する」
《ギミック・パペット-ネクロドール》(★8・闇・攻/ 0)
フィールドにレベル8モンスターが2体揃い、アストラルは目を細めた。ここでWが呼び出すであろうモンスターは、もう見ている。
「俺はレベル8の《ギミック・パペット-ボムエッグ》と《ギミック・パペット-ネクロドール》をオーバーレイ!!!」
握られたWの右手の甲から、紫色の紋章が光を放つ。
「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚!!! 現れろ、《
No.15》───」
胎動する球体は糸で繰り広げられ、歯車の覗く人形へと姿を変えていく。不気味なまでに大きな目玉がゴロリと音を立ててまぶたから瞳を見せれば、長い手足を伸ばした姿体が遊馬とアストラル、そしてカイトの前にべたりと座り込んだ。
「《ギミック・パペット-ジャイアントキラー》!!!」
「ランク8の
No.……」
『こうも早く現れるとは』
巨大な体躯をずっと見上げる遊馬とアストラルに対し、初見であるカイトの方がどこか淡々としている。
《
No.15 ギミック・パペット-ジャイアントキラー》(ランク8・闇・
ORU2・攻/ 1500)
遊馬やアストラル、そして小鳥が見た、鉄男と等々力が受けた仕打ちが蘇る。だが《ジャイアントキラー》が有する、カイトの《
銀河眼の光子竜》とほぼ同等のエクシーズキラーとも言えるモンスター効果に対しての警戒をしていたのは、アストラルだけだった。
「僕は永続
罠、《ナンバーズ・ウォール》を発動!」
すぐさまVが開いたリバースカードによって、アストラルが警戒したものは現実となって襲いかかる。
「このカードがある限り、自分フィールドの
No.は、
魔法、
罠、モンスター効果では、破壊されない」
『
No.専用
罠……?! 遊馬、マズいぞ!!!』
焦るアストラルにいまいち状況が飲み込めない遊馬へ、嘲笑うような悪魔の声が放たれた。
「今教えてやるよ。《ジャイアントキラー》効果発動! オーバーレイユニットをひとつ使い、このカード以外のモンスターエクシーズを全て破壊する!!! そして破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを、モンスターをコントロールしていたプレイヤーに与える」
『おそらくさっきの
罠は、《ジャイアントキラー》の効果を見越したコンボ。彼ら兄弟の仕組んだ罠に、我々はハマってしまったのだ……』
- 14 -
*前次#
back top