血の滲んだ薄ピンク色に染まった水たまりの中でなまえの白い肢体が不規則に跳ね、筋肉の痙攣にブラック・ジャックは手を伸ばした。

***

 まずは口付けをした。なるべく思い出に残るような、優しくおし包むような口付けを。
 ブラック・ジャックはなまえの下唇に向かって僅かに窪んだ頤唇溝に親指を滑り込ませると、あとは指任せになまえの顎を引き寄せる。ギリギリまで目を細めて彼女の表情を眺めていたが、目を閉じ口付けをしてからもその驚きの様相は変わることなくそこにあった。

 僅かなリップ音を上げて唇同士が離れれば、なまえはやっと目をパチクリさせて息を吸う。

「もう一度試してみるかい?」
 ゆるゆると上がる口角は自分の支配に及ばない場所にある。だから今は、こんなに飢えた獣のように映るであろう自分を許して欲しい。

「は、……い。」

 それ以上の言葉を待つつもりはなかった。ロマンチックなキスの作法はもう終わりだと言わんばかりに、ブラック・ジャックはなまえをかき抱き、少し乱暴なくらいの唇を押し当てる。
 細かく何度もリップ音を立ててキスを繰り返し、なまえが声を漏らし掛ける瞬間、その唇をブラック・ジャックの舌が這った。

 突然のことに腕の中のなまえの身体が強張る。唇をペロリと舐め上げるだけでほんの僅かに離すと、ブラック・ジャックは優しく頭を撫でやった。
「……止めるなら今だぞ」
「……ッ!」
 息を飲むなまえの瞳には、煌々と目を光らせる黒い怪物が映っているに違いない。甘く、今にも溶けそうな肉の塊りを前にして、目を光らせる怪物。……清らかな処女おとめならば裸足で逃げ出すようなそんな光景を前にしても、なおなまえは紅色に染めた頬を横には振らなかった。
「せん、……先生が、許して下さるなら。」
 息を飲んだのはブラック・ジャックだった。罪悪感の陰が迫るその瞳には、震えながらもとろけそうな目を煌めかせる女が映っている。なまえは自ら服をめくり、ベールに包まれていた甘く、今にも溶けそうな肉の塊りを惜し気もなくブラック・ジャックへ差し出した。
 震える乳房の丘陵に沿って指を這わせれば、なまえはそれだけで体を跳ね上げて顔を背けた。その様子にはブラック・ジャックも愛おしげに笑い、服をめくったなまえの手首を取ると、ゆっくりと下させた。

「来なさい。」

 導かれるままに、なまえは再びブラック・ジャックの胸に身を委ねる。肩口に顳顬を預けて寄り添えば、染み付いた医薬品の匂いと胼胝や傷痕のある逞しい手がなまえの身体を包み込んだ。

***

 ベッドでの経験は、なまえにとって想像以上のものだった。
 相手が医者ブラック・ジャックだからとかそういう陳腐な理由で片付けるにしても、この快楽を説明するのには余りにも簡素すぎる。中世の宗教では性行為を著しく制限していたのは知っていたが、その理由をなまえは身をもって経験したのだ。
 こんなにも刺激的で、そして満たされる、……人間の肉体同士にのみ生み出せる本当の快楽は、きっとどんなドラッグでも経験できないだろう。

 脳内麻薬によって感情や思考は研ぎ澄まされながらも、なまえはブラック・ジャックに与えられた快楽にただ溺れていた。ベッドに沈んだ下半身を血や潮や精液の水たまりに放り投げ、なまえは未だに身体を駆け巡る快楽の余波に震えることしか出来ない。
 自分の中で目覚めてしまった快楽を求めるだけの“怪物”が下腹部の中で内臓を擦り上げるたび、「ア、……ひ、」とだらしなく声を漏らせば、20年ものあいだ潔白に保ち続けていた身体をこんな姿にした男が、まるで幼子を慰めるようにいけしゃあしゃあと頭を撫でた。

***

 まるで着せ替え人形を扱うかのように、ブラック・ジャックはいとも容易くなまえの服を剥いだ。露わになる肌になまえは顔を背けるが、まるで触れることすら怖れているように自らの体に触れて隠すことはしない。
 ブラック・ジャックはなまえの手を取ると、彼女自身の乳首を触らせた。

「ひゃ……いや、先生」
「触り方を教えてやろう。」
「んン……っ」
 なまえの細い指越しにみるみる堅くなる乳頭を摘んではコリコリと動かしたり、軽く伸ばしたりして虐めやる。なまえも自らの手の中で堅くなる自分の体の秘部の一部に、顔を真っ赤にして自由な方の指を噛んだ。

「せ、んせ、お願い、いじわるしないで……」
 懇願するなまえにブラック・ジャックもようやくその手を放すと、胸に取り残したなまえの手を眺めた。
 さっそく覚えた快楽の末端に、なまえは自然と指を動かしてしまう。
「先生、おかしいよ、……こんな、……ッゆ、指が勝手に」
「どんな感じか、教えてごらん。」
「ッ、わ、わかんない、わかんないです……っ、でも、胸を触ってるのに… アノ、お、オ…… おまた、……あの、」
 “おまた”という単語がなまえの羞恥心の限界らしい。今にも泣きそうな顔で乳首を弄りながら内股をモゾモゾを動かすその様に、ブラック・ジャックはなんとも言えない笑みを浮かべる。

「ココが疼くのは正常な反応だよ。」
「アアッ!!!」
 驚くほど濡れそぼったなまえの秘部の割れ目に指を這わせた途端、なまえは一段と悲鳴にも似た大きな嬌声を上げた。ブラック・ジャックはなまえの性感帯を探そうともせず、“女性が感じる”的確な場所だけを狙って擦り上げた。
「やっ アァ……! ひい」
 なまえがまだ弄っていない方の乳首を摘み、ブラック・ジャックはあえてクリトリスではなく内股の付け根のリンパ節を指で揉みしだいた。くすぐったさを与えつつ、本当の快楽を与えるための下地を整える。足を閉じようとするなまえの股間に膝をねじ込むと、なまえは隠そうと手を秘部に手を向けた。
 なまえの行動はもはや操られているも同然だった。ブラック・ジャックは無情にもその指をとり、またもなまえの指越しに今度はクリトリスを摘ませた。

「ひっ あぁあ!」

 未踏の感覚に身体をのけ反らせ、喘ぎながらブラック・ジャックに強制される自らの指先を覗き込む。擦り上げる毎に腰や足先が勝手に動き、水しぶきがブラック・ジャックのスラックスに跳ねては染みを付けた。

「これはクリトリスだ。Yのアルファベットを逆さまにしたような根が、奥で尿道を跨ぐように繋がっている。尿道が熱く感じるだろう? …オシッコが出そうになったら、遠慮なく出しなさい。」
 何を言っているのかまったく頭に入らないのか、それとも理解に及ばない領域だったのか。なまえは真っ赤な顔で目を白黒させては、勝手に跳ねる体と訳の分からない快感とブラック・ジャックの言う通りに反応する秘部の二つを相手取り、必死に理性と闘っていた。
 リズミカルでいて、たまに不意打ちのように摘み上げられるクリトリスに、体中の血液がそこへ集中したように脈打ち、自分でも今までにないほどクリトリスが勃起しているのを感じている。そしてブラック・ジャックの言葉が暗示のように、そして魔法のようにジワジワと効きはじめ、尿道が熱くなり今にもお小水が出そうな感覚に陥る。

「だめッ、先生、だめだめだめ!」
「出しなさい、出せ!」
「いやっ アッ あ、いやあ─── !!!」

 一段と大きく腰を震わせると、なまえは目眩を覚えた。とりあえずは何か大きな力から解放されたような気になるが、敏感になった秘部から熱いお小水がドポドポと出ている感覚が追い討ちを掛ける。

「やあ、……い、いやぁ……」

 こんな、本来ならロマンチックなはずの初体験で、好きな男の前で小便を垂らされて、なまえは理性やプライドがグチャグチャにかき乱されていた。泣きたい気持ちが強いのに、体は快感を優先して出るべき所からの水は一滴も流してくれない。

「今のを覚えるんだ。いいね?」
 ブラック・ジャックはベルトに手をかけながらベッドで立ち上がると、ガチャガチャと金属音を立ててびしょ濡れになったスラックスとパンツを脱ぎ捨てた。それから膝をついてやっとベストのボタンを外しはじめ、まるでなまえに見せつけるようにたっぷりと時間をかけてシャツを脱いで裸体を晒す。
 なまえは目をブラック・ジャックの肉棒から離すことが出来なかった。へそまで届きそうなほどそそり立つ凶悪なペニスを前に、果たして自分のどこにそんなものを刺し入れるのかと恐怖すら呼び起こされる。

「ナカを弄るより先に、私のコレを覚えよう。」
 両膝の裏を持ち上げられて、ブラック・ジャックのペニスの前になまえの処女膜を掲げた膣がお膳立てされる。まるで前世まえからの決まりごとのように、当たり前に当てがわれるペニスに、なまえは不思議と恐怖心が一瞬だけ消え失せた。

 そしてそれを知っていたかのように、その一瞬の気の緩みを見計らってブラック・ジャックはペニスをなまえの処女に突き立てる。

「───ッ!!!」
 痛い、という言葉は出なかった。

 痛みよりも、熱湯の塊が当てられたような熱と圧迫感。膝を抱え込む形にされ、生々しい“接続部分”がなまえの目にまざまざと見せつけられる。やたら煩い雑音がしていると思っていたが、喉の痛みにそれが自分の発している訳の分からない叫び声だと気が付いた。

 ペニスはまだ半分も埋められていないというのに、膣の底にブラック・ジャックが到達している。なまえは必死に首を横に振った。
「先生! ムリ! もうはいらない、はいらなひィ!」
「大丈夫、落ち着いて力を抜きなさい。」
 ハッハッと短く息をするなまえを宥めるように微笑むと、ブラック・ジャックはとりあえず足を掴んでいた手を離して、挿入したまま体を伸ばさせた。
 そして腰を掴むと、なまえが息をゆっくり吐いたところでさらに奥へ押し入れる。

「〜〜〜〜?!!!」
 さらに侵入してきたペニスに、なまえはやっと“入り口”あたりの痛みを覚えた。だがこの痛みは、膣がペニスを咥え込んで初めて味わう快感があってこそ痛覚に反応したに過ぎない。
 つまり、なまえは既に膣での快楽を摺り込まれはじめていた。

「まだ男のものを覚えていない膣だ…… 私の“型取り”をさせてもらおう。」
 もうムリと叫んでいるが、ブラック・ジャックの腰が止まる事はない。最後は乱暴に、体重をかけてペニスを根本まで入れ込むと、そのまま体を密着させて濃厚なキスが贈られた。
「ン、ふッ うンッ」
 舌を絡ませあい、ときに歯列をなぞられ、唇がどこにあるかも忘れるようなキス。密着した体の向こうではあの凶悪なペニスが根本まで挿入され、膣の最奥で、体の中で何かが呼び起こされようとしている。
 ファーストキスとは比べようもないほどいやらしい、もはや口同士の愛撫と化したキスに唾液と共に思考はだんだんと溶け落ち、容赦なく奪われていく酸素になまえの脳は膣に咥え込んだペニスだけに感覚を集中させていた。

 次第に力が抜けていく肢体と、どんどん品性を失っていくなまえの喘ぎ声に、ブラック・ジャックは唇を離さないまま囁く。
「そのまま私のペニスだけ感じていろ。そしたらさっきオシッコを漏らした感覚を思い出すんだ。いいね?」
 返事もできずコクコクと従順に頷くなまえにブラック・ジャックがもう一度キスをすると、そのまま腰を浮かせて思い切り膣奥へ打ち込んだ。

「ン"ん〜〜〜───!!!!!」

 たった一打ちでビクビクと痙攣し、キスをしながらでも白目を向いているのが分かる。それでもブラック・ジャックは容赦なく腰を動かした。
「んぶっ お"ッ おへっ」
 まずは体を密着させたまま、ほんの亀頭分ほどの距離の出し入れを。だが膣が締まり始めると、ブラック・ジャックは体を起こしてどんどん出し入れを激しくした。
「んお"っ え"っ む、っりぃ、!せんせ、アッ」
ドスドスと内臓が抉られる。きっと先生が相手なら大丈夫と思っていたが、今では急所を確実に突かれて殺されるんじゃないかと思うくらいにそのピストンはハードに行われていた。

「い"っ じぬ"っ せんせ、ッヒィ! しんじゃう!!!」

「これで死んでたらッ 持たないぞ……!」
 ブラック・ジャックは腕になまえの膝をかけると持ち上げて、さらに深く挿入した。
「ひギィ! むひ、むりぃッ!」
 さっきから内臓がゴリゴリと動いている気がする。最奥を突かれるたびになまえはわけもわからない声を上げ、またブラック・ジャックの言葉の魔法にかかったようにお小水のような熱いものが込み上げた。

 だがそれを解放したら、自分が理想とする人間像からこぼれ落ちてしまうような気がして、最後の一片の理性が処女膜を裂いた痛みとなってなまえを引き留める。

「せんせぇ痛い! いたいよぉ……!」
「嘘をつくなら加減してやらんぞ」
 そう言って膝を離すと、乳首は抓られ、クリトリスは潰すように擦り上げられた。

「ヒいああアアア───ッ!!!! だめ!だめだめらえらめぇえ!!!! アッ 待っ───ッ!!!!」

 クリトリスを摘み取られたまま膣奥をガツガツ打ち付けられ、今度こそなまえは理性を手放した。「待って」と手を伸ばそうとしたところで、強大な波に全てを飲み込まれた体が大きく跳ね上がる。

「イ──────ッ!!!!???」

 イった。素直に理解した。
 もう知らない、分からないと駄々を捏ねる子供のような喘ぎ声ではない。なまえは完全にブラック・ジャックによって女にされた。
 静かで何も感じない、真っ白なその意思が数秒だけなまえを飲み込むと、次の瞬間ブラック・ジャックが容赦なく打ち込んだペニスの衝撃によってなまえは現実の快楽に送還された。

「───ッ ハッ、ハッ!」

 酸素を求めて大きく息をするが、それを阻止するようにブラック・ジャックがまたキスをして唇を塞ぐ。甘い吐息と二酸化炭素しか肺に入れる事を許されず、なまえの体は明らかに生まれ変わりを始めていた。


 もう一度大きなエクスタシーを与えられたあと、ブラック・ジャックはやっと動きを一旦止めた。彼も汗まみれで息を切らし、大きく深呼吸しながら額の汗を拭う。
 ブラック・ジャックの下敷きにされ続けたなまえの体は所々赤く染まり、下半身はビチャビチャで何の液体なのか判別がつかない。当のなまえ本人はというと口からは唾液を垂らしたまま焦点の合わない瞳を動かすことなく、乳首やクリトリスを真っ赤に勃起させたままビクビクと痙攣していた。

 膣壁のあらゆる所を擦り上げてゾロリとペニスが引き抜かれた。それだけでも信じられないほどの快感になまえは「んおっ」と下品な声を上げる。
 ブラック・ジャックはまだ射精をしていない。まだやる気に満ちていると言わんばかりにはち切れそうなペニスを掲げたまま、ブラック・ジャックは逞しい指をなまえの膣に滑り込ませた。

「んイィ?!」

「どうした? まだ指1本だ。……ペニスよりは細いはずだぞ?」
 今までの荒々しい快楽とは違う、繊細な快感がなまえに襲い掛かった。尿道側の膣天井をヌロヌロと這う指に、なまえの太腿が震えだす。

「だいぶ広がったな。これで物足りるかな?」
「ひゃあアア!!」
 中指と薬指を入れられ、ペニスとは違った擦り上げられる感触になまえは敏感に膣の中を感じ取る。
 ブラック・ジャックは指の腹に当たる一際立派な突起を指で挟むと、今度はそれを揺さぶるように激しく指でかき乱した。

「いやアアアァァァァ!!!!!」

 なまえは勝手に足が伸び切り、お小水とは違う水を吹き垂らした。ブラック・ジャックの指が膣内の軟骨のような突起を毟るたびに吹き出る潮は、雨のようにあたりに撒き散らされていく。

「アッ、ひ、っひ……!」
 手が止められると潮も止まった。だが指はその“スイッチ”に触れられたまま、なまえは快楽の蠢く下腹部を抱えてブラック・ジャックを覗き込んだ。

「これは子宮の入り口だ。ココ、」
「ンッ」
 ブラック・ジャックの指が的確に子宮口の窪みへ押し当てられる。それだけでえも言われぬ快楽に目の前がチラチラと光っていた。

「この口に私のペニスの口を押し込んで射精する。子宮は堅く口を閉じているが、精子だけは中へ入り込んでいける…… 君の運次第じゃ、私の精子で受精することになるだろう。」

 いつの間に用意したのか、ブラック・ジャックのもう片方の手にはコンドームがあった。それを最後の良心とばかりに、いつもの静かな目でなまえを見つめた。

「どうしたいかは君が選ぶんだ。」

「あっ……」
 右の手は子宮口を撫で、左の手はコンドームをひけらかす。そんな残酷なブラック・ジャックになまえは口を何度か開けては噤みを繰り返し、ブラック・ジャックもなまえの子宮が降りてきているのを指先で感じていた。

「いあッ」
 ツプリと子宮口の窪みにブラック・ジャックの指が食い込む。たったこれだけなのに今日1番の快感を覚えて腰がブルブルと震えた。

「もう一度イッてから考えるか?」
 子宮口にめり込んだ指を容赦なく奥へ奥へといじり倒すブラック・ジャックに、なまえはまた潮を吹き白目を剥いて、ほんの数秒で達してしまう。
 それもブラック・ジャックが意地悪でやっているのではなく、なまえの体が勝手に快楽を求め、そして精子を求めて子宮がどんどん降下しているだけだというのに。

「子供が産めなくなってもいいなら、私はさらに君を快楽の境地へイかせてやる事だってできる。」

「ンあッ……ああああっ」
 どんどん降下する子宮を、今度こそブラック・ジャックの意地悪が襲い掛かる。指を3本に増やすと、子宮口に指をめり込ませたまま子宮頸部を摘んで大きく揺さぶる。魚のように跳ねる体はタガが外れたようにイきまくり、ブラック・ジャックが動きを止めても、子宮口に指が差し込まれているだけで潮ともお小水ともつかない液体が漏れ出していた。

「せんせえ、いじわるしないで……! ください、先生の精子! 私の子宮にください!」

 コンドームは放られ指を抜かれると、ブラック・ジャックの凶悪なペニスは一気に根本まで打ち込まれた。

「ッ!! あぁあああああ───!!!!」

 何も考えられない。気持ちいい。
 限界まで口を開けて降下した子宮に、ブラック・ジャックはなまえの体のことなど一切考えず杭を打ち込んだ。そして杭に槌を振るうが如く一撃一撃体重を掛けたピストンがなまえの膣奥、そして子宮へと襲う。

「いぐッ! しぬ! しんじゃ……イッてる! せんせえいってるの! はやく! はやくください!」

 もうわけのわからない叫び声を上げる体ではない。なまえは快楽を知り、セックスを知った。今ブラック・ジャックによって塗り替えられた体は彼の精液で腹を満たそうと子宮口を限界まで広げている。

「く……! なまえ───!」
「あああああ───ッ!!!!」

 熱湯よりも熱い。マグマのように灼けそうな子種がなまえの胎内にぶち撒けられた。
 今まで感じて“イク”と呼称していたものなど比べようがない、人間が知ってはいけないような境地になまえは足を踏み入れた。ブラック・ジャックによって導かれたそこに、彼女は何を見ているのだろうか。



「あ、ひあ…… はあ…… ん、へぇ……」

 ベッドが吸いきれないほどの潮なんかの水たまりに、なまえは肢体を投げ出して果てていた。なまえの人生においてこれ以上のセックスは、もうブラック・ジャックなしには達成されないであろう。

「満足したかい。」

 ブラック・ジャックは最初に見た、ツンと澄ました顔と同じ人物とは思えないほどに乱れたなまえの頬を撫でた。なまえはそれだけでもまた小さなエクスタシーを得て胸や臀部がビクビクと跳ね上がる。
 その様子にブラック・ジャックも些か反省の念を込めて、そしてまたなまえが欲情するように仕向けるつもりで、なまえの唇に口付けを落とした。


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