さん
「トシ、一度決まった事にグダグダ言うのは良くない。もう腹を括ってくれないか?」
「現在進行形で命狙われてんだけど!?」
「すいません、いつもの就寝時間を過ぎてしまっているので気が立ってしまって」
「待て待てそれ俺が悪いの?関係なくね?」
昼間のタバコ斬りつけ事件から始まり、屯所案内中にも二、三度理由をつけて刀を抜いた山田に明らかな殺意を感じ近藤さんを呼び出した。はずが何故かコイツもこの場にいて今まさに俺の首に刀をかけている。その光景を目の前にしてもなお近藤さんは首を傾げ山田に困った様に笑いかけていた。
「ハナコちゃんすまないね、何度も。トシは警戒心が人一倍強くて…別に君のことを嫌いなわけではないと思う」
「好きか嫌いかとかの話じゃねぇよ見えてる?俺の首見えてる?」
「ちーせぇ男はモテやせんぜ土方さん。ちィと血の気が多いだけだろィ大袈裟な」
「ちょっとじゃねぇだろ、血の気しかねぇよ」
「もういいですか、明日朝イチ見回りらしいんで眠りたいんですが」
もうすでに真選組に馴染んでる(?)山田は欠伸をしながら刀を鞘に戻す。「ああ、お疲れさん。しっかり休んでくれ」と近藤さんが声をかけると自然な流れで一礼して部屋から出る。朝イチの見回りって何?何でアイツシフト組まれてんの?
山田が退出したことで話し合いは終了し各々立ち上がり部屋を出ていく。残されたのは俺と壁にもたれかかって何か言いたげな顔をした総悟だけだった。
「まぁ、何かありゃ得意の粛清でもすりゃいいでしょう」
「…チッ、くれぐも気を付けろよ」
「へぇへぇ」
だるそうに襖を開けて出て行く総悟の背中を見送って今日何度目かの深い深いため息を吐く。
「山崎」
どこからともなくスッと現れ「はい」と返事をする。さすが監察。頭を下げて次の言葉を待つ山崎にだけ聞こえる様な声で言う。
「アイツの素性、調べとけ」
「了解です」