「落ちましたよ、これ」



目の前に差し出されたハンカチから目線を上げればそこにはいるはずのない人がいた。正確には、この空間に呪術師以外の一般人が入れるはずがない。帳を下ろし忘れたのかと思い返してみるが、そんなはずはない。しっかりと記憶に残っているということはやはりこの目の前の一般人が例外で、そもそも一般人ではないということだろう。


「あ、あの•••?」


返答がないことに不思議そうにこちらの顔を覗き込んだ目の前の女。ハッとして自身の後ろに転がっている被害者だったものの残骸に気が付くと大きく目を見開いて「ひっ」と小さく悲鳴をあげた。反応を見る限りこちら側の人間ではないようだ。ではこの状況をどう説明すれば。面倒なことになってしまったとため息を吐くと目の前の彼女は大袈裟に肩を上げ今にも泣き出しそうな表情で私を見た。


「出来れば大事にしたくないんですが、とりあえず話を聞いてくれますか」

「け、警察とか呼んだ方が、いいですか?」

「それは困ります」

「それはあなたが、犯人だからですか…?」

「いいえ違います」



何から話せば信じてもらえるのか。どう言っても殺人犯の言い訳にしか聞こえなくなってしまうこの状況に頭を抱える。いっそ呪霊を祓うところを見てもらうしか、と考えている中ポケットの携帯が震えた。

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