「勝てなかった」
十代君は項垂れながらもその顔は落ち込んでいるようには見えなかった。
デュエリストではない私にだってわかる。
彼らがどれ程素晴らしいデュエルをしていたのかを。
「でも満足のいくデュエルが出来たのでしょう?」
「ああ、ここに来て良かった!カイザーみたいな強いデュエリストに出会えたんだからな!」
どこまでも眩しい、それは思わず目を閉じてしまいたくなる程輝きを放っていた。
それでもその眩しさに今では焼かれてしまいたいと思う程になっていた。
「勿論、名前と出会えたことも、な」
十代君のその言葉に胸がきゅんとした。
本来はいない、いてはいけない人間だということをここの世界の殆どの住人は知らない。
それでもそんな私を受け入れてくれた彼らが愛しくて仕方ない。
その中でも私が最もそれを強く想うのは遊城十代、この人なのだ。
「今度名前の前でカイザーとデュエルするときは絶対俺が勝つから、その時も俺の事見ててくれよ」
十代君と丸藤君のデュエル。
だが陸の孤島にいる彼が外に羽ばたいていった丸藤君と次にデュエルが出来るのはずっと先になるかもしれない、それは十代君だって分かっている筈だ。
それにも関わらず彼が私にそう言ってくれた事がとても嬉しかった。
ずっと自分の傍にいてもいいと彼が言ってくれているようで。
貴方は、この世界はどこまで私に優しいのだろうか。
「お疲れさま、十代君。来年も宜しくね」
今年以上に来年はとんでもない一年になる。
少しでも彼の持つ荷物を共に持てたなら、きっと十代君は私にそれを持たせてなんてくれないことは分かっている。
それでも私は貴方と共に歩んでいきたい