久しぶりに鮫島校長の顔を見た。
つまりそれはジェネックス開催の日だ。
十代君ワクワクを隠しきれない顔をしている。
だが彼のやる気と反比例するかのように彼の周りに人は集まらなかった。
皆負ける事を恐れているのだ。
「翔の奴はジェネックスが始まってから一度も寮に帰ってないらしいぜ」
十代君は心底不思議そうな顔をしている。
それは彼が翔君の強さを知っているからこそだろう。
メインとして描かれてはいなかったが翔君が十代君にも買っている姿は卓上デュエルをしている時に少し描かれていたから。
その時の翔君の反応でそれが一度や二度ではないのだろうということは想像出来た。
「ちゃんと眠って食事も取れているといいけれど」
そうでなくても彼は華奢だ。
この前のように倒れてしまっては大変だ。
そんな事を考えていれば十代君が私を怪訝な顔で見た。
最近十代君にそんな顔をされる事が多くなった気がする。
「あいつは強いから大丈夫だ。
···だから名前は俺の応援だけしてればいい」
不覚にも彼の言葉に胸がきゅんとしてしまった。
今のはおそらく彼の嫉妬心から出た言葉だろう。
デュエル以外の何かに執着する姿が描かれていなかった彼の執着に近いものを私に向けられたのだ、それと好意として。
私の反応は当たり前の感情だと思う。
「立場上あまり大きな声では言えないけれど応援してるよ」
「大人って面倒くさいよな。立場なんて関係なく今は俺の恋人だろ?」
なんというか、最近は彼のストレートな言葉にあてられてばかりだ。
顔が熱くてたまらない、きっと赤くなってしまっているだろう。
「名前って素直で可愛いよな」
ニコッと人の良さそうな顔で笑う十代君は子供のようで可愛らしい筈なのに、同時に感じた色気に鼓動は大きく鳴ってしまう。
それを自覚すればその間隔も早くなってしまった。
「じゃあ俺絶対優勝するから、そしたら名前からキスしてくれよ!」
私は彼が優勝者でない事を知っている。
大会、それどころではない世界を賭けた戦いを、彼は大会を忘れ世界を救うヒーローとなる。
そして一番最初に白に染まった万丈目君が大会優勝者になるのだから全くこの世界は面白くもあり残酷だ。
「応援、してるね」
今こうして彼らと同じ時空で生きているのに彼らと同じ目で世界を見ることが出来ない、それはやはり少し悲しく思う。
だからこそ決着がついたら、その時は私の方から一歩彼に近付いてみよう