「これは···予想外のお客様ですね」
「なぜ貴方がここに?」
私は斎王君が入院している病院に来ていた。
受付で部屋番号を聞いて病室に訪ねた。
ノックをして了承を受けてから病室のドアを開けるとそこには患者である斎王君の他にもう一人、エド·フェニックス君がいた。
色んな事があったが彼らは特別な友人同士だ。
ここに彼がいてもなんら不思議ではない。
「お邪魔してしまってごめんなさい。
少しお話がしたくて、お邪魔でしたら外で待ちます」
エド君は斎王君の顔を見た後何か悟ったのか席を立ち鞄を持った。
「それじゃあまた時間が開けばまた来る。
どうか無理をなさらずに」
「ああ、ありがとう。エド、君もどうか無茶をしないように」
エド君はそのまま部屋を出る為に歩き出す。
急かしてしまったかもしれないと頭を下げれば此方を一瞥して柔らかく笑って軽く会釈をしてそのまま部屋を出ていった。
十代君とデュエルを行った頃とは別人のように穏やかになったように思う。
「あの、アレルギーなどがあると困ると思いまして、お茶っぱにしたのですが煎らさせていただいても宜しいですか?」
「ありがとうございます、いただきます。
ですが名字さん、私はあの学園では一生徒でしかないのです。
ですからどうかあまり気を使いすぎずに」
部屋に備え付けのポットでお茶を用意しながら彼の言葉に苦笑いしてしまう。
実年齢でいえば私は彼より年上の筈だ。
だが社会経験、育ってきた環境の違いか私よりずっと大人びて見えるのだ、彼は。
「落ち着きがあって私の方がずっと子供に思えてしまって」
私の言葉に今度は斎王君が困ったような表情を見せた。
あんな事が合った直後なのだから無理はない。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
二人分のお茶を淹れ先程までエド君が腰を掛けていた椅子に座らせてもらった。
二人揃ってお茶を一口啜る。
「名字さん、私にはもう未来を読む力を失ってしまいました」
「···はい」
斎王君には私がここに来た理由はバレているようだ。
彼の言っていることは私は知っていた。
それでも話したくなって外出許可を貰ったのだ。
「私が貴方の為に道を示して差し上げることは出来ません。
ですのでこれは友人の小言のような感覚で聞いてください」
あの日得体の知れない私を見た目とはまるで違う、慈愛のような眼差し。
「以前も申しましたがそもそも私は貴方の未来を見通す事が出来ませんでした。
ですが占い師としての直感が貴方の何かを感じ取った、それは見えないが故の焦りからだったのかもしれない。
ですが、ですが私は今でも思うのです。」
斎王君の目が真っ直ぐ私を見据える。
本当に不思議な人だ。
だが自然とそれを恐ろしいとは思わない。
「人は誰しも使命を持って生を受けます。
それは貴方も同様、いえ、貴方はきっともっと大きな···そう、それは彼も同様に」
斎王君の言う彼、それが誰の事を言っているのか、おおよそ想像がついた。
私にそれほどの価値があるのだろうか。
以前であればそれを受け入れることは無かった。
信じようとしなかった。
それでも今の私は···
「···そうだとしたなら···私は私の使命が果たせたら」
「貴方には強い味方が付いています。
きっと貴方を導き、彼を貴方が導くでしょう」
歯車が周り始めた
それは幸福なことか、それとも