「いっつ」
名前にそれはもう濃厚なキスを貰った。
その日の食事はとても刺激が強いものになった。
傷付いた舌に染み込む塩分が容赦なく俺に襲い掛かる。
食事に苦痛を伴ったのは初めてのことだ。
「どうしたんすか、アニキ」
「いや、...舌噛んじまったんだ」
こればっかりは翔にも言えない。
だってこれは名前が俺にくれた愛だったから。
他人には教えたくない。
「すぐがっついて食べるからっすよ」
呆れ顔の翔の言葉を適当に受けながし食材に集中した。
緩みそうになる顔を必死で抑え込んで。
名前とのキスは恐ろしい程に気持ちの良いものだった。
初めてしたあの時を凌駕してしまう程に。
全身から力が抜けてしまう、それはまさに麻薬のようだった。
名前を抱き締めたいと身体が訴えていた。
でもそれは名前に強く抑えつけられていたので敵わなかった。
力づくでやれば振り解けたのかもしれない。
でもそれをしなかったのはわかっていたからだ。
それをすれば名前が俺から離れてしまうことを。
気持ちよくて今にも崩れてしまいそうになったその時、名前は容赦なく俺の舌を噛んだ。
とろけそうになっていた俺の意識はその痛みで目を覚まさせられた。
そこから痛みと共に口内に血が溢れるのを感じた。
その味が気持ち悪くて仕方なかったが未だ俺のそのを這う名前の舌や唾液がどうしようもなく気持ちよくて甘美的で、その刺激はその痛みにすら打ち勝ったのだ。
「お前にそれをやったのは間違いだったかもしれない」
そう言った時の名前の顔はなんとも冷たい無の表情をしていた。
それを取りあげられる事を恐れた俺はそれを必死でとめた。
俺と名前の絆を死んでも離さないと意思を込めて。
だから俺の言った言葉は虚勢でもない、本心だ。
名前の事を考えていたら痛みの事など忘れてしまっていた。
作業的な食事は無意識の間に終了していた。
空になった器を見て、足りないと呟いた。
きっとこれは空腹なんかじゃない。
「今日はお兄さんの部屋に泊まってくるっす!」
あれから一週間程経ったある日、翔が嬉しそうにそう言った。
入学当初よりも関係性の良くなった二人に素直に良かったな、と思った。
揚々に出掛けた翔を見送った後少ししてから誰かが部屋をノックした。
俺を訪ねてくるなんて誰だろうか。
そう疑問を抱きながらも扉を開けた。
そこにいた人物にとても驚いた。
「名前!」
それは愛しくて堪らない人だった。
思わず抱き付こうとしたがそれは名前が俺の腹を蹴りとばしたことでかなわなかった。
「私はそれを許可していない」
無様に床に転がった俺を見下すその冷たい眼。
俺の大好きなその眼で見つめられるだけで下半身の一ヶ所に熱が集まるのを感じた。
「どうしてお前はそんな風にばかりなるんだろうねぇ」
俺の下半身を見ながらしゃがんでそう言った名前の足と足の間から下着が見えた。
ガキだと笑われるかもしれないがそれだけの事で完全に硬くなってしまったのだから笑えない。
「ねぇ、気持ちいいことしたい?」
咄嗟に抑えたソコ、その手の甲に名前の手が触れた。
今にも射精しそうになった。
「し、したい」
その欲を隠す事など出来る筈がなかった。
なんの捻りも打算もなく口から出た同意の言葉に名前はなんとも甘い微笑みを浮かべた。
凍ってしまうのではないかと思う程冷たい。
「なら自分でしてみせて」
一体どんな気まぐれだろうか。
私は見ていてあげるから、そう言って名前は部屋に上がり俺のベッドに腰をかけた。
俺が普段使っているベッドに名前が今座っている。
つい最近名前を想って慰めたその場所で。
俺は直ぐにズボンのベルトを外しチャックをおろした。
下着を少しずらすと興奮したソコが勢いよく飛び出した。
それを見ていてた名前の顔に表情はない。
恥じらう様子も怒ることも、何もない。
しかし名前はソレを使えと言わんばかりに俺に下着が見えるように座っている。
だから俺の目ははそこに釘付けになっていた。
(ああソコにしゃぶりつきたい)
挿入なんて出来なくてもいい。
ただそこをひたすら舐めまわしたいと思った俺は本当に犬のようになってしまったのだろうか。
だがソコを必死で舐めている自分の頭を名前が撫でてくれたらどんなに幸福だろうかと考えると犬でもいいのではないかとさえ思わせる。
犬だろうが人間だろうが名前は俺のご主人様なのだから。
自身をしごく手に力が入る。
開いた俺の口からはだらしなく涎が垂れた。
今の俺は発情期を迎えた犬そのものだった。
「だらしない口ね」
名前はそう言って俺の口から溢れた唾液を足の指先で拭った。
自らそうしたにも関わらず名前は不快な表情をしていた。
つまりこれは舐めていいということなのだろうか。
許しを得る余裕もない俺は我慢できず勝手にそうだと決めつけて名前の足の指を咥えこんだ。
興奮してどんどん分泌される唾液を名前の足先に塗りたくっては舐めとって。
左手で名前の足をがっしりと掴んで指の間まで丁寧に舐めあげながら俺の右手は自身を擦り続けた。
(なんて滑稽な姿だろうか)
その姿のあまりの情けなさを理解していたが後悔はしていなかった。
今にも達してしまいそうなソレを必死で我慢した。
もっと名前に触れていたい。
見つめられていたいと考えていたからだ。
「十代、もういい」
そう思っている俺の気持ちを見透してしてるかのように名前から制止の声が上がった。
まだやめたくない、ずっと舐めていたい、そう考えていたが俺は名前の言葉に驚く程従順にソレをやめた。
恐ろしいまでに俺は名前に服従しているのだと自覚した。
「良い子ね」
そんな俺に蕩けるような甘い笑みを見せる名前はまるで天使のようだった。
そして先程まで俺が舐めていた足を俺の限界寸前のソコにあてた。
「あっ、」
名前俺の唾液でぬるぬるとなった足でソコを擦りつけた。
自分でしごいていた時とは比べ物にならないほど気持ちが良かった。
ずっとこの快感を味わっていたい、そう望んだところでそれは叶わない。
もうとっくに限界だった。
脳裏に浮かぶ嫌な予感。
名前は今まで何人の男にこういった事を行ってきたのだろうか。
恐ろしく慣れたその愛撫に嫉妬心を抱いてしまった。
(ずっと俺だけのご主人様でいて)
「ああっ、名前、もうっ、」
指先で先端の敏感なソコを攻められた俺は我慢することなど出来ずに達してしまった。
そここらは信じられない程の量の欲を放った。
そしてそれが名前の足を汚した。
(綺麗にしなければ)
そう思った俺は当然のように名前の足を汚した自身からでたソレを丁寧に舌で舐めとった。
とてつもなく不味いその味に吐き気を覚えながらも俺はそれをやめることが出来なかった。
名前の顔は再び表情を無くしていた。
それでも俺は満たされていたのだ。
「もういい」
再びそう言って名前は俺から足を引っ込めた。
もっともっと舐めていたい、そう願いはしたがこれで名前の機嫌を損ねる訳にはいかない、二度とこんなことはさせてもらえなくなると分かっているのだから。
「良い子だったね」
名前は素直に自分の言うことを聞いた俺の頭を優しく撫でてくれた。
それが幸せすぎて涙が出そうになった。
「じゃあまたね、おやすみ」
事が済んだら早々に自身の寮に帰っていく名前を見えなくなるまで見送った。
一度も振り返ることのないその背中を。
(また会える、名前と俺はまだ繋がっていられるんだ)
絶対に俺は名前から離れたりしない。
そう強く誓いを立てた、自分自身に。
好きなんだ
愛してる
だから俺の事好きになってよ
大好きなご主人様
どうやったらこの想いが伝わるのか。
今の俺にはまだまだ答えが見つけられそうにない。