積もった想い

意識が夢の中をふわりふわりと漂っていた時、なにか妙な違和感を感じて目を覚ますとその正体がはっきりした。

誰かが私の太ももをがっしりと抱え込んでいてその人は夢中になって私のソコを舐めていたのだ。

私は起き上がり躊躇なくその人物の髪を乱暴に掴み引き剥がした。

「あ」

そしてその人物を見て驚きの声をもらしたのだ。

「やっと起きた」

彼は心底嬉しそうにそう言って私に抱き付いてきた。
私も彼も当たり前のように服を着ていなかった。
彼の身体が以前よりも健康的になっているように見えた。

何故こんなことになっているのだろうか。
もう彼と会う事は二度とないと思っていたのに、今私達がいるここは明らかにホテルの一室だ。

「····IVさま?一体何をしているの?」

私の頬に頬擦りをする彼にそう尋ねれば彼は分かりやすく拗ねたような顔で言った。

「違う、····俺はトーマス」

ちゃんと名前で呼んで、そう言って私の首に腕を回し、頬に何度も何度もキスをしてくる。

「····トーマス?」

ただ彼の言葉に繰り返し口にしただけの言葉に彼は身震いを起こしていた。
そして今度は私の唇にキスをした。
なんとも私好みな、彼はそれを律儀に覚えていたのだろうか。
それとも経験を積んだのだろうか。
ただ気持ちいい、そう感じたので私はつまらない疑問を捨てさり彼のキスを静かに受け入れた。

「名前····」

そんな私に嬉しそうにどんどん深いキスを施していく。
お腹には彼のぱんぱんに張り詰めた彼の硬いものがあたっている。
それを見て私もごくりと生唾を飲み込んだ。

「俺が飲みたいから、飲み込まないで」

彼はそう言って私の口内の唾液を舌で掬っては飲み込んだ。
こんなに異常な男だっただろうかと記憶を辿るも明確な記憶は残っていなかった。

「俺ちゃんと我慢してたんだよ、ちゃんと名前が起きるの待ってた。
名前のここいっぱい舐めながら入れないでオナニーしてた」

そう言って秘部を指でなぞりながら私の胸にしゃぶりついた。
成人間近だろうに今の彼の姿はまるで赤ん坊のようだ。
それでも私の中に挿入された指の動きは厭らしく子供とは呼べない手つきだった。

「あっ····」

意識せずとも彼の愛撫に感じてしまった私は声を洩らした。
彼はそれに心底嬉しそうに微笑んでいる。

「名前が感じてくれて本当に嬉しい」

そう言って彼はちゅっちゅっとリップ音を立てて胸にキスをする。

なんだかそれが可愛く思えて彼の頭を撫でてあげれば彼は途端に顔を赤くして目を逸らした。

「どうしたの?」

「···名前にそうされると、なんか照れる」

先程まで私の性器を一心不乱に舐めていた男が何を言っているのだろうかと呆れた。
でもなんやかんや彼に絆されてしまっている私はそんな彼が可愛らしいと笑ってしまった。

「ねぇトーマス、貴方のモノもう限界でしょう?
私は貴方のおかげでもう準備が出来ているからもう入れてくれない?」

そう言って自分の秘部を指でなぞり彼に見せ付けるようにとろりとした液体が絡まった指先を彼の前に差し出せばその液体が指から滴り落ちそうになるのを見てそれを阻止するように慌てて私の指を口に含んだ。

以前よりずっと淫乱になってしまった彼の行動に驚きを覚えつつも面白いと舌舐めずりをすれば彼はそんな私を見て息を荒くして私のソコに自身の先をあてがった。

「っ、もう、これだけでイきそう、だ」

そんな事を言う彼が面白かったので私から一つ意地悪を言ってみた。

「なら入れないでイッて見せて?
私のここでオナニーしてみせて、それが出来たら入れてもいいよ?」

嫌な顔をするだろうか、そう考えるもそれは杞憂で彼は私の言葉に嬉しそうに頷いて私の入り口に自身をひたすら擦りつけて自慰している。
その先端が私の突起を掠めて私のソコは目の前に広がる視覚と直接的な刺激によって興奮してどんどん濡れていく。

彼はそれを見て本当に嬉しそうな顔をして必死でそこを刺激していく。

どうやら彼は身体の成長と共に何かおかしな方向にも変わっていってしまったようだ。
初めて彼と口を聞いた時のことを少しずつ思い出してその時と今を比べて笑ってしまった。

「な、に?」

笑いを堪えきれなかった私に気付いた彼が不安げにこちらを見た。
やはり彼のこういう表情にはなにかクルものがある。

「初めて貴方と話した時の事を思い出しただけよ」

「っ」

そう答えると彼は顔をこれでもかという程赤くした。
彼はその時の事を鮮明に覚えているようだ。

「凄く面白い子だなって思ったの。
だから期待して貴方の提案に乗ったの。
でもそれは凄く期待外れで着いていった事を後悔したわ」

私がそう伝えれば彼は泣きそうになった。

「でもね、折角だから楽しもうって私に感じさせられている貴方を見てやっぱり着いてきて良かったって思ったの」

頬に優しく手を添え彼の顔を私に引き寄せた。
そのまま目元に浮かんだ涙を唇で拭ってやれば彼は戸惑いの表情を見せる。

「凄く可愛かったのよ」

「っ、うぁっ!」

私のその言葉に続いて彼は情けない声をあげてそこで達してしまった。

私の下腹部に熱いそれがどくどくとかかった。
それを見て私は彼と立場を逆転させた。

「よく出来ました」

まだ出続けているそれを無視して彼の上に跨がり重力に任せて身体を落とし私の中に彼のモノを挿入した。

「ひぁっ、だ、らめぇっ」

射精したばかりで敏感な彼のソコを容赦なく絞めあげてやれば彼はあまりの刺激に涙を流しながらに逃げようと腰が動いた。

勿論そんな事を許す気がない私は強引に彼の上でスライドするように腰を動かした。

「い、イッたばかり、らからぁっ!!」

呂律も回らず幼児のように喋る彼を無視して犯してやれば少し柔らかくなっていた彼のモノはあっという間に硬さを取り戻していた。

ああ、なんて気持ちいいのだろうか。
その快感が嬉しくて彼に覆い被さり執拗に彼にキスをすれば彼も息を絶え絶えにしながらも私の舌に応えた。

「本当に可愛い····私貴方の事大好きになったわ」

そう耳元で囁けば私の中で彼のモノは大きく脈打った。

「····名前、名前····呼んで····?」

すがるような目を向ける彼の顔がいじらしく可愛くてそのおねだりを素直に聞いた。

「····トーマス、だいすきよ」

耳元で甘くねっとりと囁けばそれに反応するように彼は私の中に欲をぶちまけた。

先程出したばかりとは思えない程に並々と注がれるそれが堪らなくて私も我慢出来ずに彼のモノを自身の良い所に集中的にぶつければ彼のすぐあとを追うように私も達してしまった。

そんな私を下で見ている彼は私の中でひくひくと痙攣している。
本当に可愛いなと思いながら彼のモノ引き抜いた。
そうすれば暫くして私の中からどろりと彼の欲が滴り落ちた。

彼のソレはそんな光景を見てまた少し元気になっていく。
本当に分かりやすい子だ。



「ごめんね、トーマス。
少し疲れたからちょっと休憩ね」

子供に言い聞かせるように頭を撫でてやれば彼は私に抱きついた。
可愛いのだが少し汗ばんでいて気持ちが悪い。

「一度お風呂に入りましょうか」

そう提案すると彼は悲しそうな顔をした。

「どうしたの?」

「····まだ、一緒にいたい」

彼の言っている事はどういうことだろうと考えてみる。
そして前回シャワーを済ませてすぐに渋る彼と別れた事を思い出した。

「まだ一緒にいるよ。
一度さっぱりしてから、もう一度シましょう、ね?」

安心させるように額にキスをすれば彼はホッとした顔をして首を縦に振った。
彼はここまで幼かっただろうかと首を捻る。

「おいで」

前回彼がしてくれたように私も彼の身体をシャワーで綺麗にしていく。
気持ち良さそうに目を瞑る彼はまるで従順な犬のようだ。

互いの汚れを綺麗に流し終えたあと湯船に浸かれば彼は遠慮がちにこちらを見つめている。

「ほら」

両手を広げてあげれば彼は途端に表情を明るくして子供のようにぴったりと抱き付いてきた。
膝の上に乗っているがお湯の中にいる事もあって重さは感じない。
本当に甘えん坊な大型犬を抱いているような気分だ。

「名前····」

私の名前を切なそうに呼んで顔を近付けてきたので目を瞑れば柔らかい彼の唇が押し当てられた。

気持ちいいなとそれに酔っていれば彼は口を開く。

「····俺、名前の事ずっと好きだった、あの日出会ってからずっと」

彼の気持ちなんてとっくに気が付いていた。
だけど私からそれを口にするつもりもなかったし彼も言わないと思っていた。
だから今こうして想いを伝えられた事に少し驚いている。

「お願い····俺の事、名前のものにして?」

ガラにもなく彼のその可愛い告白に胸がときめいてしまった。
彼ともう一度抱きあいたくて中がじわりと熱くなったことを知れば彼はどう思うだろうか。
普段であれば適当に誤魔化してしまうような事をどうしようかと今悩んでいる。


「····あのね、トーマス。····私ね、性依存なのよ」

悩んだ結果私は人には話した事がない私の秘密を彼に打ち明けた。
もっとも彼はその意味がよく分かっていないくてきょとんとした顔をしたが。

「所謂セックス中毒ってやつかな?
毎日のように自慰もするし誘われたら恋人でもない人とでも簡単に身体を重ねるわ」

トーマスとしたように、そう続けると彼の顔が悲しそうに歪んだ。


「私は貴方なんかが好きになる価値のない女よ?
だから、ね、聞かなかったことにする、なんなら今日の事もなかったことに」

「っふざけんな!!!」

彼を思ってそう続けようとすれば身体がビリビリと震える程の怒号をぶつけられた。
その表情は怒りに満ちている、先程までの彼とは大違いだ。

「名前が何かに苦しんでる事はわかった、けどなぁ、なんでそれで俺の気持ちまでなかったことにするんだ?


顔は間違いなく私への怒りで充ちているのにその目は今にも泣き出しそうな程傷付いている。

その目に胸が痛くなる。

「俺はこの二年間ずっと名前が好きで、他の女なんて抱けなかった。
その間名前が他の男に抱かれていたって聞いてその相手を殺してやりたいってくらいムカついてる。
でも、でもなぁ····」

彼は私の腕を強く掴んだまま私の肩に額を預けた。
小さく震えているのは泣いているからだろう。

「····俺は、俺はお前を好きだった時間を無駄な時間だったなんて思いたくねぇ····だからそれをなかったことにしろだなんて、頼むから、絶対に、言わないで、くれ····」

どんどん弱く小さくなる彼の言葉に心が痛んだ。
背中に回された腕に骨が軋んだ。
強く握られていた腕が赤くなっていた。
私の肩にとめどなく彼の涙が零れて冷たかった。

「ごめん、ごめんね、トーマス」

私も泣きじゃくる彼を強く抱いて何度も頭を撫でた。
お願いだから悲しまないで、そう願いを込めて。

「········俺、名前が誰とセックスしてきたとか気にしねぇ。
だから、だから今から俺だけのものになってくれよ、お願いだから」

トーマスがそう懇願する。
しかし本当に気にしないなんて事が彼にできるものなのだろうか。
彼が繊細かつ嫉妬深いということは重々承知している。

「····ねぇトーマス、貴方って女性人気がとてもあるのでしょう?
こんな所にいるのが人にバレたらまずいんじゃないの?」

だから適当な言葉で彼を遠ざけようと考えた。
しかし彼は再び眉間にシワを寄せ不機嫌を露にする。

「俺がその程度の事で考えを変える程、俺が名前を好きでいないと思っているのか」

彼はそう言って鋭い目付きで私を睨み無遠慮に私の肩に噛み付いた。
尖った犬歯が容赦なく私の肉貫いた。
それにどうしようもなく感じてしまう。

「俺はただのデュエリストだ。
もう昔の俺じゃない、何があろうと俺はデュエルでファンを魅了させてやる」

デュエルの世界に疎い私には彼に昔何があったのか知らない。
そもそも知りたいとすら思わない。
目の前の彼だけ知っていればそれで十分だ。


ああ、これではまるで私が彼を大好きなようではないか。


「私と付き合ったらいつもいつも求められるかもしれないよ。
身体だけが目的だ、というような扱いを受けるかもしれないよ」


「構わない、俺が全部受け止める」

どうして

「会えない日が続けば浮気するかもしれない」


「何度でも取り返す。
俺じゃないと満足出来ないようにする」

私を

「生理の日だって関係なしにシたいって言うよ」


「俺は気にしない」

こんな私を



「私の事を嫌いになったら私を殺してくれる?」

醜いと責めないの?



私の質問に即答していた彼が私の最後の質問に目を見開いた。
しかしすぐに元の表情に戻りこの場に相応しくない程爽やかな笑顔で笑った。


「俺は名前に嫌われたら死ぬ。
だから名前が俺を嫌いになったら名前を殺して俺も一緒に逝く、それが答えだ」

私の質問には答えてくれなかった。
彼はやはり歪んでいると思う。

それでもその歪んだ愛情が歪みきっている私には恐ろしい程に心地よいものに思えて



「私もね、貴方の事、好きかもしれない」



そう自然と口から出た。

私のその言葉に彼は一瞬気の抜けた顔をした後すぐに顔を赤くして私を抱きしめた。

「好きかもってなんだよ!
ちゃんと好きって言えよ!!」

まるで子供のようにだだを捏ねる彼に好意を自覚した途端愛しく感じる私は単純だろうか、けれどそれでも良いと思った。

「まだはっきりとは分からないのよ。
だから私を夢中にさせてくれる?」

そう言って耳にキスを送れば腕に力がこもった。

「分かってる、絶対俺しか見れないようにしてやるからな」

耳まで赤く染めているのに強気な彼の言葉に表情は緩みっぱなしだ。
きっとこれが本来の彼の姿なのだろう。

「楽しみにしてるね。
取り敢えずそろそろ上がろうか」

ぬるいとはいえずっと湯に浸かっていたのだ。
そろそろ身体がふやけてしまいそうだ。

「本当に帰らないんだな?」

まだ前回の事を引きずっている彼を安心させるように頭を撫でた。

「もう急いで帰らなければいけない理由がないでしょう?」

前回は彼が有名人だということを危惧して朝日が上がる前にここを立ち去ったのだ。
だが彼自身が女性関係を執拗に隠す必要がないと思っているのならあまり堂々とさえしなければ別に良いだろう。

もっともあの時彼との時間を長く持ち過ぎれば情が生まれてしまう事を危惧していた事は暫くは秘密にしておこう。

「私ね、またトーマスに髪を乾かしてもらいたいの。
凄く気持ち良かったから」

何故だろう、ガラにもなく甘えたい気分になった。
私の言葉に彼は嬉しそうに頷いた。



「そういえば、ねぇ、私今日はどんな経緯でここに来たの?」

ふと忘れていた今更すぎるその疑問を口にすれば彼は驚きを隠しきれない表情を見せた後責めるような目で私を見つめた。

「····俺は今日スポンサーの役員と食事会だったんだよ。
その後無性に名前が恋しくなっていつもみたいに名前にまた会えないかって前に会った付近をふらふら探してたんだ。
そしたら、そしたら名前が男と腕を組んで歩いてたんだ」

彼の顔が険しくなっていく。
まるで覚えていないがきっと酔った状態で男でも引っ掛けたのだろう。

「そいつを脅して引き剥がしたら名前は、なら貴方が代わりになってくれる?って言ったんだよ、俺が誰かなんて気付きもしないで」

先程までの甘い空気とはうって変わってなんとも気まずい空気だ。
どれだけ酔っていたのだろうか、こんなに特徴的な彼を思い出せないとは。

「········だからそのままホテルに連れ込んだ。
でも名前はベッドに入った途端爆睡したんだよ」

「········ごめん」

起こってしまった事なので私はもう謝る事しか出来ない。
私の謝罪に彼はため息をついて首を左右に振った。

「良くないけどもう良い。
名前の事知れたし····もう俺のだから」

彼はあの日と同じように優しく私の髪をタオルで拭いた。
どこまでも私に尽くしてくれる彼に胸が暖かくなっていく。

「けどもう酒は飲み過ぎるな、寧ろ控えてくれ。
飲みたい時は俺が付き合うから」

「····うん、でもトーマスはまだお酒飲めないでしょう?」

あの頃17歳だった筈だ。
では今はまだ成人していないだろう。
そう思ってそれを確認すれば彼はそれを否定した。

「俺、今日20歳になったんだ」

そう言って時計に視線を向けた。
時刻は深夜1時を過ぎていた。

「····え、今日が誕生日、なの?」

彼は頷く。
予想だにしていなかった私は驚いて目を見開いた。

「お、おめでとう····何か欲しいものとかある?」

「いや、もういい、もう貰ったから」

彼はそう言って私の前髪をかきあげて額にキスをして満足そうに笑った。

櫛で私の髪をといでドライヤーをあてた。
温かい風が私に安心感を与え眠気を誘った。

「不思議ね、いつもならシたくて仕方ない状況なのに今はなんだかトーマスと眠ってしまいたい気持ちでいっぱいよ」

私の気持ちの変化に私自身が一番驚いた。
彼はそんな私の頭に手櫛を通しながらそれに同意した。

「俺も名前を抱いて眠りたい。
きっとよく眠れる」





私はその日トーマスの腕の中で驚く程深く眠った。
なぜ彼の腕の中がこんなにも心地良く感じたのかは分からない。

私はこの日以降自然と我慢出来ない程の性的欲求が和らいだ気がする。

普通の女の子に比べればやはりそれは多い方かとしれないけれど以前のように誰かれ構わずという気持ちはなくなっていった。
私がベッドを共にしたいと思うのは彼だけになったのだ。

彼は今日も太陽の下で誰よりも眩しく輝いていた。

その太陽のような熱さが私の凍りついた感情を溶かしてしまったのかもしれない。


今でははっきりと自信を持って言える


私は心の底から彼を愛している