·ベタぼれ
俺の恋人が異常の可愛くて困っている。
何を腑抜けた事をと思われるかもしれない、それでも俺は本気でそう思っている。
「今日はね、トーマスと会える日だから昼休み少し削って仕事終わらせてきたの」
「ちゃんと飯は食ったのか?」
「うん、トーマスが怒るの知ってるから」
ちゃんと食べたと俺に甘えるように腕を絡ませてきた。
控えめにいってヤバい。
正直今すぐ抱いてしまいたい。
出会った頃の名前と同一人物とは思えない。
最も俺を手玉にとる淫乱な名前大好きなのだが。
こんなに可愛らしく子猫のようにじゃらついてくる名前はベッドに入れば別人のようになって俺を蹂躙する。
俺が終始攻める事も増えてはきたがやはり主導権を握っているのは名前だった。
それが少し悔しくもあるが俺はそれが嫌ではなかった。
「トーマスえっちしたい?」
「え」
如何わしい事を考えていたことがバレていたのだろうかと名前の言葉に驚くもそれはひどく簡単な話だった。
「おっきくなってる」
名前はそれを指摘しながら俺のものを服の上から撫でた。
「んぁっ!?」
情けなく声をあげた俺を見て名前は笑う。
その笑顔にまた俺はときめいてしまう。
「食べていい?」
耳元で囁かれた言葉はもう熱を含んでいて背筋がぞくりとした。
俺はそれを拒むことなどする筈もなく首を縦に振った。
楽しそうに笑う名前の顔はとても厭らしい俺の大好きな表情だった。
·ペット
名前は動物が好きだ。
けれども自宅で何か生き物を飼う気はないらしい。
何故かと聞けばそれは実に分かりやすい理由だった。
「いつかは別れがくるから、それが凄く寂しいの」
名前は俺と付き合いはじめてから自身がさみしがりやだと自覚した。
そして俺には素直にそれを見せるようになった。
それがたまらなく嬉しい。
「あとね、もう1つ理由があるんだけどね」
「なんなんだよ?」
いたずらっ子のような表情で笑う名前にその理由を訊ねて見ればないしょ話をするように両手で口元を隠して俺の耳元で囁いた。
「トーマスとのえっち見られたくないなぁって」
またやられてしまったと思った。
俺はいつも名前の言葉一つに踊らされてしまう。
きっと今俺の顔は赤く染まっているだろう。
それは名前の表情を見ればすぐにわかる。
「····責任、とれよ!」
「喜んで」
そうしてまた俺は名前に抱かれる。
·お断り
「今日はやめておく」
「え」
名前といちゃいちゃしていた。
自然とそういう気分になってキスをしてそのまま舌を入れようとした瞬間名前は俺と距離をとって唇を手で覆ったのだ。
「な、なんで?」
俺が名前に拒まれたのは初めてのことだった。
だから大袈裟な程に戸惑ってしまったのだ。
「明日早いから」
そう言われて時計を確認する。
時刻はまだ9時を回った所だった。
「一回で終わるから」
甘えるように名前の首筋に舌を這わせようとするもそれも拒まれる。
「それでもダメ」
「····なんでだよ」
俺が諦めきれずにそう聞けば名前は困ったような顔でこう答えた。
「····トーマスとしたらいっぱいシたくなっちゃうから一回じゃヤダ」
その言葉で完全に俺の理性は消しとび完全に元気になってしまった。
そんな俺を放置して名前はおやすみなさいと言って寝室に駆け込んでしまった。
俺にこのどうしようもない欲をどうしろというのだろうか。
強引に襲ってしまおうか、だがそんなことをすれば今度は名前にスイッチが入って朝までコースになる可能性が高い。
俺としては大歓迎なのだがきっと名前は後で落ち込んでしまうだろう。
「····抜くしかないか」
ああ、どうせなら名前に見られながら抜きたかったとため息をついた。
勿論そんな事をすればやはり名前のスイッチが入ってしまう事は分かっているのでそれも出来ない。
それでも諦めの悪い俺はトイレにでも起きてきた名前が自分を見て発情してくれる事を期待しながら自身を慰めた。
·おくすり
「これね、凄く効くのよ」
名前が如何にもいかがわしいものが入っていますと言いたげな箱を俺に差し出してきた。
「こんなの必要あるか?」
俺自身性欲は強いほうだし年齢も若いから体力もある。
名前は····言うまでもないな。
だからこそそれの必要性を感じなかった。
「人間って無意識的に我慢しちゃう生き物だから」
名前はそう言って妖しく笑みを浮かべる。
「今日はね、トーマスに無茶苦茶にされたいなぁって。
でもね、これは私のわがままだから嫌なら飲まなくていいよ」
本当に名前はなんて事を言ってくれるのだろうか。
そんな風におねだりをされて俺がそれを拒むと思っているのだろうか。
いや、きっと名前は分かっていてそう言ったのだろう。
俺は名前のそんな計算高い所が嫌いではない。
だから操られていると分かっていても俺は名前の誘いに乗った。
「飲むからどうなっても知らないからな」
名前は心底楽しそうに笑った。
·恒例行事
「早く座れよ」
付き合いはじめてからというもの名前の髪を乾かしてやるのは俺の役目となった。
あの時はじめて甘えてくれた名前が可愛くて仕方なかったので俺の意思で続けていることだ。
「お願いします」
名前は目を閉じて髪と髪の間を滑らせる指に気持ち良さそうにしていた。
名前とのセックスはとても刺激的で満足感を感じられるが俺はこの時間の名前の穏やかな表情にも堪らなく喜びを感じる。
きっと名前のこんな顔を見られるのは俺だけの特権だから。
「いつもありがとう」
完全に乾かし終わると今度は名前が俺の髪を乾かしてくれる。
名前より短い俺の髪は時間が経っていることもあって名前よりずっと早く乾いてしまうけれどその分名前は沢山俺の頭を撫でてくれる。
それが嬉しくて堪らない俺は十分満足してしまうのだ。
「いつも後になっちゃってごめんね」
そう謝る名前の胸元に甘えるように抱きつけば当然名前は俺を抱き締め返しいいこいいこと撫でてくれる。
胸が暖かさで満たされていく。
「風邪をひかないうちに布団に行こっか」
そうして今日も俺は名前と共に眠る。
こんな幸せが永遠に続く事を強く願って今夜も名前を抱いて眠りについた。