下心を隠さない恋人

不純な動機

名前の家で二人で映画を見ていた。
それは恋愛映画ではなかったのだが話の流れで結構濃厚な濡れ場が始まった。

そのシーンがあまりにも耽美的であったのでパッケージを手にとって確認すればそれはR-18指定されているものだった。

AVのように局部や結合部が直接映し出されるわけではなかったが出演していた俳優の演技があまりにも自然でそれが疑似的なものに見えなくなってしまい俺に妙な気分にさせた。
そんな感情を抱いてしまったのは俺の隣に名前が座っているからだろう。

名前はどうなのだろうかと思い隣を見れば名前の頭がゆらゆらと揺れていた。

「おい、眠いのか?」

肩を揺すれば半分寝ていたようで名前は間の抜けた声をあげた。

「大丈夫、寝てない、見てる」

確実に寝ていた奴が使うテンプレートな言葉を口にした。

「無理すんなよ。眠いならベッド行くか?」

名前は首を横に振ってそれに同意しようとしない。

「寝るなら俺も一緒に昼寝してもいいが」

傍にいたくて寝ないと言っているのかと思ってそう提案するも名前は首を縦に振らない。

「トーマスと、すけべなことしたくてやらしいの借りてきたから、するまで寝ない」

名前は本当にえろい事に関する事ではバカになるなと常々思う。
いや、それが可愛くもあるのだが。
気持ちは大変嬉しいのだが名前が今必死で眠気と戦っている姿を見る限りそれが実行できるようにはとても思えない。


「すごくトーマスにえっちなことしたくてたまらないのに、なぜか凄く眠い」

「もう分かったから、なら一度寝てからすればいいだろ?」

今にも寝落ちしそうになっているにも関わらず目をしかめながらそう訴える名前を強制的にベッドに連れて行こうと抱き上げようとすれば手で静止された。

「何回?」

「は?」

「起きたら何回させてくれる?」

なぜこんなにも必死なのかわからない、そんな真剣な目で俺を見つめる名前。
どう返事をするべきかと悩みつつも結局のところその答えは名前次第なのだと気が付いて考えることを早々に放棄した。

「····名前の好きなだけしていいから」

「約束してね」

名前はそう言って小指を出した。
俺はそれに自身の指を絡ませる。
その行動自体は実に可愛らしいものなのだが如何せんその内容がアレなものだから。

「じゃあベッド行く」

俺がこの後ベッドから降りられたのは日付が変わってからだった




無垢な表情


(今何時だ?)

行為が終わってから爆睡してしまった俺が目を覚ましたのは朝方だった。
時計を確認すればもうすぐ朝日が昇る頃だった。

身体を起こして隣を見れば名前がすやすやと眠っていた。
その表情はまるでなにも知らない子供のような無垢なものだった。
この寝顔を見る度に俺を攻めている時の名前は別人なのではないかと錯覚させる。

(可愛い)

頬を撫でるも名前は微動だにしない。
そのまま首筋、肩、身体へと手を滑らせるも目を覚ます気配はない。

「こんなんじゃすぐ誰かに食われちまいそうだ」

無防備な名前を可愛いとも思いつつもどこか不安を覚える。
名前の前髪を横に流して額にキスをした。
誰にも取られないように願いを込めて。

再び隣に横になって名前を抱きしめた。
そのまま眠っていたため服を着ていなかったので触れる肌が気持ちいい。

(本当に暖かい)

俺よりも少し体温の高い名前の身体は眠っている事もあり普段よりも更に暖かく感じられた。
つい力を入れて抱きしめてしまえばそこでようやく名前が目を開けた。

「····とーます····お、はよう?」

まだ眠そうに目を擦る名前の頭を撫でた。

「まだ起きなくていい、けど俺の事は構え」

「···難しいこと言うね」

名前は俺の背中に手を回してぎゅうっと抱きついた。
それで概ね正解だ。

俺も離れないようにしっかりと名前を抱きしめ足も絡ませた。

「さすがにこれじゃ眠れないよ」

名前がクスクス笑ってそう言いながらも俺の背に回された腕に力を入れ強く俺を抱きしめた。

「良い子だね、トーマス。
トーマスももうちょっと寝ようね」

まるで赤ん坊か幼児をあやすように名前はそう言って俺の頭を撫でた。
先程までは子供のように見えていた名前がまるで母親のように姿をかえた。
そしてそんな風にされている間に本当に眠気がおそって来たのだから実に不思議だ。

「寝るから、名前もここにいろよ····」

「ん、おやすみ」

結局その後俺の方が先に眠ってしまった。
名前の腕の中は不思議な程安心できた。
俺達はその日の大半をベッドの上で過ごすことになった



新たな世界


「トーマス、だっこ」

名前がそんなふうに甘えるなんて珍しい、そう思って抱き上げようとした。

「違う、私がしたいの」

そう言って名前は俺の腰に抱きついたかと思えばそのまま俺を抱き上げた。

「は?いや、な····」

あまりにも簡単に持ち上げられたことになんとも複雑な気持ちにさせられた。
なぜ名前は唐突にこのような事をしたのだろうか。
俺を抱き上げたまま寝室へと連れていく。

「そろそろこっち開発しない?」

ベッド際まで運んでそこでやっと俺を降ろし名前はそう言って俺の尻を撫でた。
その意味を理解した俺は大量の汗がどっと噴き出した。

「は、え、え?」

言葉にならない俺を名前は抱き締める。

「大丈夫、ちゃんと気持ちよくなるまで丁寧にするから」

動揺する俺に名前は優しく声をかける。

「トーマスって才能あると思うのよ」

才能がある、だなんてこの場面で言われて喜ぶ奴がいるのだろうか。
そもそと才能があるとはどういう意味なのだろうか。

「今よりもっと気持ちよくなれるかもしれないのよ」

名前は俺をベッドの上に降ろした。
そして混乱している俺をそのままベッドに押し倒した。

「トーマスのかわいい所もっと見せて?」

舌舐めずりをしてそう笑う名前の表情に背筋が凍った。
力でねじ伏せられたわけでもない、ただ軽く押されただけで簡単にベッドに沈まされてしまう俺はきっと名前に逆らう意思など始めからなかったのだろう。

「···いい?」

そんなこと聞くまでもなく分かっている筈なのに名前はいつも俺に言わせたがるんだ。
それに俺が興奮してしまうことも名前は知っている。

「····」

好きにしてほしい、という言葉を込めて名前にキスをすれば名前の口角が上がった。

俺はそれに自分自身が呆れてしまうほど興奮してしまい昨日あれほど欲をぶちまけたにも関わらず俺のモノは既に硬く熱を帯びていた。