俺は夢を見ているのだろうか。
そうでなければ説明が付かない。
だが夢の中で背中に流れる嫌な汗の感覚まで再現出来ただろうか?
この現状に深く考えたくなんてないのに、考えてしまう自分がまた嫌で。
隣で眠る女、いや、少女と呼ぶ方が適切かもしれない。
顔立ちは大変見覚えがある。
だがあきらかに違う。
「···名前、なのか···?いや、そんな馬鹿な」
ここは俺と名前が暮らす部屋でここは二人で使っているベッドで。
昨日は一緒に眠りについた。
そして起きて隣にいる筈の恋人は何故か少女に変わっていたのだ。
「ん···トーマス···早いね···」
俺が声を出したせいで少女は目を覚ましてしまう。
眠そうに目を擦りながら発せられた声、それは見た目の年相応に少し幼く、けれど聞き覚えのある。
「ん···まだ7時前ね···今日はお休みだけどもう起きる?」
少女はのそのそと起き上がる。
名前と俺は殆ど身長差がない。
だが座った時点で今日は視点が違う。
それに少女も気付いたようで首を傾げる。
「······名前···なんだよ、な?」
「どうしたの?トーマス、でもなんだろう、なんか違和感が······あ···?」
もう間違いない、確信が持てた。
目の前の少女は間違いなく俺の恋人である名前だ。
「あれ、なんで···」
名前は自身の胸に触れる。
本来であればふくよかなそこにある筈の膨らみが限りなく小さくなっている事に気付いたのだ。
そしてベッドを降り化粧台の前で自分の姿を確認した。
自分の姿を見た名前は驚いて目を見開いた。
「···名前、だ、大丈夫、か?」
鏡の前で固まる名前の側に近寄った。
隣に並んだ名前は俺の顎くらいまでしか身長がない。
胸はおろか肩幅も狭く全体的に肉付きも控えめだ。
「···トーマス、あの、私···」
普段から慌てふためくことなんてない名前はあからさまにパニックを起こす様子はない。
それでもあり得ないこの状況に困っている。
「···取り敢えず何がなんだか分からねぇ、けど落ち着け、な?」
「···う、うん···」
不安な顔をする名前を抱きしめた。
華奢になったとはいえ女独特の柔らかさに俺の方が安堵した。
俺の背を掴んだ名前が愛しくてこんな状況であるというのに胸が高鳴ってしまったのだから笑えない。
「···多分、15.6くらい、だと思う」
「···大体10年前ってことか···」
自分の姿を鏡で確認して大体の目算をつけたのだろう。
別に俺はそんな趣味があるわけではない、筈なのだが。
男であれば誰だって分かる筈だ。
それが好きな女であれば話が変わる。
「(可愛い)」
全くもって不謹慎な感情が拭いきれない。
「···ありがとう、トーマス。
少し驚いたけれど大丈夫」
「あ、いや、うん···」
俺の胸を押して顔を上げた名前は多少の困惑を残しながらも柔らかく笑っていた。
全くかなわない。
落ち着く為に二人で紅茶を淹れて飲んだ。
お互いにカップの中身を飲み干すまで会話らしい会話はなかった。
全て飲み干して先に口を開いたのは名前だった。
「取り敢えず今日が休みで良かった」
「···そうだ、な」
「トーマスも起きて吃驚したよね。
···何がなんだか分からないけどなんていうか、普段より身体が軽いな、なんて、嫌になっちゃう」
名前はため息混じりにそう言った。
俺はなんて答えていいか分からなくて言葉に詰まってしまう。
そして頭を過る嫌な感覚。
そうではないと思いたい。
そんなことあり得ないと思いたい。
だが現状名前はこんな姿になっていて。
解決するかは分からないが黙っている事も気が引ける。
俺は一つ深呼吸をして口を開く。
「俺の、俺のせいかもしれない」
「トーマスのせい?」
ついこの前の事だ、父さんに呼ばれて俺は名前を連れて家に帰った。
父さんが名前の事をもっと知りたいと望んだから。
それを伝えれば名前は2つ返事で了承した。
俺の知らない所で二人は連絡を取っていたようで名前は少し気恥ずかしそうにしながらも過去の自身のアルバムを父さんと見ていた。
俺も初めて見たまだ幼い名前を見て俺は恥ずかしくも邪な事を考えてしまったのだ。
「昔の名前を見て、その、この時に····出会えて、その····」
なんて無様な姿だ、その時俺が考えた事は本当に女々しくて。
それを言葉にしようとすると自分の矮小さを改めて実感させられてうんざりした。
名前は静かに俺の言葉を待っている。
俺は今度こそ本当に腹をくくった。
「···名前の初めての男になれたら、って考え、た」
「····うーん···」
俺の言葉に名前は困ったように眉をひそめる。
引かれてしまったのだろうかと後悔の念が過る。
だがもう口から出してしまった言葉だ。
それはなかったことには出来ない。
そもそも俺が女々しいことなんて名前が一番よく知っていることだ。
今さら恥じることなど···自分で言いながら嫌になってきた。
「···あまりにも有り得ない状態でそれが原因かどうかは分からないけど、でもそんな有り得ない状況だからこそ有り得ない事に可能性があったりするかもしれない、よね。
うーん···なら一か八かで試してみる?」
「た、試す?」
名前は俺の言葉を笑うことはしなかった。
それどころかそれに対してツッコミを入れるわけでもなくとんでもないことを口にする。
「えっちする?」
「······は?」
「取り敢えずこうなった原因がトーマスの願望だったのだとしたらさ、この頃は確かに私まだ未経験の頃だから、実際記憶は普通にあるかほ本当に全てがこの頃と同じままなのかは分からないけどトーマスのこの頃の私を抱きたいって願望は叶えられるかなって」
名前は淡々と言葉を紡ぐ。
なぜこんなにも冷静でいられるのだろうか。
そしてなぜこんなにも躊躇がないのだろうか。
「今も幸せだけどね、でも私もね、この頃トーマスと出会って恋を出来たら。
それはきっと楽しかっただろうなって思うよ」
当事者である名前より混乱している俺を落ち着かせる為に名前は抱き締めた。
今は俺の方が年上だし体格もかなり違うから人から見れば俺が抱きつかれているように見えるだろう。
だがやはり幼くなっても名前は俺の好きな名前だった。
「勿論トーマスが実際に今の私を見てそんな気になれそうにないから他の方法を考えるけど····どうする?」
名前が俺の唇に軽いキスを一つ、そしてこの時は本当に何もしたことがなかったからファーストキスになるね、なんて。
まだ成熟していない名前に俺はあっさりと欲情してしまった。
「感覚が同じだったらいいんだけど、まだそういうことに全然興味がなくて何もしてなかった頃なの。
だからトーマスも抱いても楽しくないかもしれないけれど」
名前が続けて口にした言葉に俺のモノは痛みを伴う程硬くなっていて、俺は先ほどまで感じていた罪悪感や躊躇を無かったことのようにして名前を抱き上げそのまま寝室に早足で向かった。
抱き上げた身体の軽さに不安を感じるもそれ以上に興奮してしまっている自分はなんてクズなのだろうか。
だがもう昂った想いは止められそうにない。
「名前···」
ベッドに寝かせてその上に覆い被さり普段と同じようにキスをした。
多少荒くなってしまったかもしれない。
だが名前はそれを拒む気配など更々ない。
「ん···」
甘い声と言える程ではないがほんの少し漏れる吐息にすら俺は興奮してしまう。
でもそれは全て名前のせいだ。
今の俺を作り上げたのは名前だ。
俺をこんなに不埒な男に、こんなにも欲深い男に。
「···胸も身長もね、育つの遅かったの。ごめんね」
じっくりと、なんて悠長に考えることは出来なかった。
俺は待ちきないとばかりに早々に名前のパジャマのボタンを外しにかかり、全て外し終えそこにあったのはぶかぶかの下着を身に付けた名前の胸。
身体を起こしてパジャマを脱がせそのまま既に本来の役割を果たしていないそれを取り払えば露になった少し膨らんだ小ぶりな胸。
寝転ばせればぺったんこになりそうだ。
先端は色も普段よりほんと少し淡いように思う。
「っ、くすぐったい···」
その控えめなサイズの胸の先端に吸い付いた。
少し硬くなっているのは多少は感じているからなのだろうか。
名前の反応を見る限り性的な悦びよりも擽ったさの方が勝っているのだろうと想像がついた。
最低かもしれない、だが俺は本当にこの身体がまだ男を知らないのだと確信がついたことに歓喜してしまった。
「可愛い、名前···」
普段の名前が気持ちいいと思うやり方で舌で先端を刺激した。
名前は俺の頭を抱き抱えて撫でている。
時折喉が震えるもまだあの気が狂いそうになる甘い声は聞こえない。
それが寂しくもある筈なのに俺は最愛の少女を手にかけている背徳感というものに酔いしてれていて下半身の興奮は収まる気配を見せない。
「名前、好きだ···愛しているんだ、誰にも盗られたくない」
再び名前をベッドに押し倒してキスをした。
先程よりも深い深い、舌すら小さく思うのは気のせいなのだろうか。
小ぶりな胸を揉み倒して頬から耳に、首筋を這って鎖骨に、肩を通って再び胸元へ、腋に唇を這わせた時には再び笑い声が零れた。
名前の身体にどんどんしるしが増えていく。
ここまでそれを付けたのは初めてだった。
俺はすぐに調子に乗ってしまう悪い癖がまだ治っていないらしい。
だがこんな奇跡のようなチャンスを目の前にして冷静にいられる男なんていないと、そう思いたい。
まだ筋肉なんて殆どついていない名前の腹に唇を付けた。
するとぴくりと名前が震えた。
表情を伺えばそれは笑うのを我慢しているように見えた、だがそれだけではないようにも思えた。
「もしかして、なんか感じたか?」
先程違和感を感じた場所を吸って舐めて、重点的に刺激していれば声は上がらないものの名前は膝を擦り始めた。
「···なんでだろう、なんか、こう···不思議な感覚?くすぐったいってのが一番なんだけどそれだけじゃない気もするの」
名前は初めての時の事を覚えていないのだろうか。
俺は名前のズボンを抜き取った。
まだこの年の少女が着るには背伸びして見える大人っぽいレースのあしらわれたショーツもそのまも脱がせてしまう。
そこにある普段は見ないものに俺はたまらず唾を飲み込んだ。
「なんか、やっぱりちょっも恥ずかしいね」
本来であればあるソレが、俺と出会ってからの名前は既に処理を終えてしまっていて生えていなかった。
だからこそ逆に新鮮だった。
髪と違い癖はあまりないようでまだ完全に生えそろってはいないのだろうと想像出来る。
その新鮮さにますますムラムラしてしまう俺はヤバいのだろうか。
太ももを開いてそこに唇を這わせながろ露になった名前の中心を見た。
普段はもうとっくにびしょびしょになっているところは大人しいもんだった。
だが指でそーっと広げて見れば蜜が漏れかけていたことが分かり内心安堵のため息をついた。
「ちょっと濡れてんな」
「ん···そんな気はしてた、」
今日よ名前は随分しおらしい。
俺にされるがままだ。
俺を信じてくれて任せてくれているのだ、このまだ男を知らぬ身体を。
俺は自身から出た唾液を舌に乗せて名前のそこにそろりと這わせた。
胸動揺にまだ膨らんでいないそこに、痛みを与えぬよう優しく。
「うひゃあっ」
名前らしからぬ反応。
聞いたこともないような声を上げ名前は反射的に足を閉じてしまう。
「大丈夫か?」
「ご、ごめん。なんか凄いびりびりってきて、驚いちゃった」
名前の顔がほんのりと赤い。
初めての刺激に身体が驚いてしまったらしい。
そういう反応の一つ一つが堪らなく愛しくて、早く手に入れてしまいたいと望んでしまう。
「続きしても大丈夫そうか?」
「うん、ごめんね」
そこで駄目だと言われたところで俺はやめられただろうか?
とてもじゃないがそんなに紳士になれる気がしない。
いや、そもそも良識のある紳士であれば相手が許可したとはいえ幼い女の子に手を出すなど絶対にしないのだろうが。
再び合わせた唇、今度は名前の方から口を開いて舌を誘ってきた。
俺はその誘いに乗って普段と同じキスをした。
名前が好きなやり方で、俺を染めていった名前を今は俺が染めているのだと思うと心臓が締め付けられる程嬉しかった。
小さな胸の先端は最初より明らかに膨らんでいて、その喜びを噛み締めながら胸を愛撫した。
「···トーマス、きもちいい···」
深く行われているキスの合間に少し隙間が出来たところで名前がそう言った。
そう感じてくれたのは唇だろうか、それとも胸だろうか。
どちらでもいい、全身で俺を感じさせてやりたい、そう望んでいるのだ。
馬鹿な男と笑われるかもしれない。
「こっちは?」
「あっ、ふふっ、くすぐったい····でも、うん。なんかざわざわしちゃう」
名前の手を取り指と指の間にぬるりと舌を這わせた。
ここも名前にとっては性感帯の一つだ。
くすぐったがりというのは敏感である証拠、それ故にそこが性感帯となる可能性も高い。
名前も同じだったのではないだろうか。
一回り小さな手に愛撫を続けながら再び秘部に指を這わせた。
挿入せずとも先程より潤っていたそこに口角が上がる。
「だいぶ濡れてきたな」
「くすぐったさの中になんかね、もやもやするものがあるからこれが多分そうなのかも、んっ···」
キスをしながら溢れだした蜜をすくって敏感な突起に擦りつける。
おそらくもうそれに快楽を感じ始めているのだろう、腰が揺れている。
俺の背に回された腕に力が入る。
どうせならいっそ爪でも立ててくれればいいのに、なんて考えた。
「あ、つい···」
名前の額に汗が滲み始めた。
太ももは既に結構な汗をかいていてそれがシーツを染め始めている。
「後で洗ってやるから」
俺は再び名前の足を広げ今度はそこに吸い付いた。
小さく痙攣のようなものを起こして名前は俺の髪を掴んだ。
溢れる液体をごくり喉を鳴らしてと飲み込めばソコがひくついた。
その反応が嬉しくてそのまま中に舌を押し込んでしまった。
名前の身体が少し強張った。
やはりと言うべきかそこはやはり普段よりずっと狭い。
指すら慎重に入れなければきっと苦痛を与えてしまうだろう。
どんなに気を付けた所で何日もかけて繰り返しでもしなければ痛みを与えずに名前と一つになることが出来ないのだから心苦しい。
このチャンスがいつまであるか分からない、一生戻らなかったとしても俺は名前を愛していけるし養える。
だがだからと言ってそれを望むわけではない。
今の名前に不満があったからこんなことを望んだわけではなかった。
「あっ···この、感じ、···んんっ···」
「イけそう?」
俺の与える刺激に集中しているのか名前は目を閉じて俺の髪をぐしゃりと掴んでいる。
「あぁっ···!」
集中的にソコを刺激すれば名前は腰を浮かせてびくんと跳ねた。
ひだを広げてみれば中からとろりと液体が溢れ出た。
無事達する事が出来たらしい。
「···イけたみたいだな」
「···何度も経験している筈なのに、身体がびっくりしちゃってるの、なんか不思議···」
名前はゆっくりと起きあがり俺に抱き付いた。
腕の中にすっぽりと収まる幼い名前を強く抱き締めた。
本当に可愛くてたまらない。
「···トーマスのもする?」
「いや、今日は俺はいいから···」
名前を抱き締めたまま再び名前の秘部に手を伸ばす。
割れ目をなぞってゆっくりと肌に添わせ中に指を入れた。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫。でもなんかちょっと苦しい感じ?がする」
俺は誘われて乗ることばかりだった。
そして当然の事ながらその中に今の名前のように性的な事を経験したことがない女はいなかった。
初めてのことだった。
「あっ···!そ、こっ!」
先程達したばかりの名前のソコを再び中からこつんこつんと刺激する。
この身体はまだ刺激になれていない。
普段であればもっととおねだりする名前の腰が引けている。
俺は腰をがっしりと固定してそれを続ける。
これは名前の為なのだと言い訳しながらあきらかに楽しんでいる。
これはいけそうだと慎重にもう一本指を挿入した。
一瞬名前の眉間に皺が寄るも名前はすぐに一つ深呼吸をして身体の力を抜いた。
「いいよ、···続けて?」
おそらく多少我慢しているのだろうということは想像はついた。
それでも名前がそう望んだから俺はあまり大きく動かさないよう指先だけを動かして中を刺激していく。
上手く身体の力を抜いてくれているおかげで締め付けはせど少しずつ硬さが解れていく。
もう一度イかせた方がいいかと考えていたその時。
「トーマス···もう、いいよ···」
名前は俺のモノを服の上から撫でながらそう言った。
「···多分まだ絶対痛い思いをさせると思うけど」
もうずっと今すぐ挿入してしまいたい、そう考えているくせに俺はなけなしの理性を保って警告を入れた。
「多分ね、全く痛くないようにってのは無理だから···」
名前は俺のシャツのボタンを外していく。
過去の名前は一体どんな初めてを経験したのだろうか。
そんな事、本当に知りたいわけじゃない。
名前が俺意外の人間と身体を合わせて時のことなど。
「本当に無理だったら、···自信はねぇけど、やめるから」
誰にも負けたくない。
「うん、ありがとう」
お互い一糸纏わぬ姿になって向かい合う。
再び名前を寝かせて足を大きく広げさせた。
自分のモノに避妊具を取り付け名前のソコにあてがった。
「···きて?」
「···ああ」
名前の言葉を合図に俺はゆっくりと自分のモノを中へと押し込んだ。
案の定名前の眉間に皺が寄った。
それを見て止まろうとするも名前が俺に力強く抱き付いてきた。
名前のやめるなという意思を感じとって俺は奥までぐぐぐっと全て押し込んでしまった。
俺も痛みを感じるくらいだ。
当分は無理だろうとそのまま名前を抱き締めキスをすればただでさえ窮屈な中が更にきゅうっと絞まったことにクラクラした。
「···トーマスの、中でびくってしたね」
「···かなり我慢してんだぞ···頼むから煽るのやめてくれよ···」
名前が苦しむと分かっているのに俺はもう動きたくて仕方ない。
もしかしたら泣かせてしまうかも、そう思うのにそんな考えに頭を支配されて。
「もう限界なんでしょう?···いいよ、動いて」
無理をしている、わかっているのに。
「···悪、いっ···!」
俺は名前に腰を打ち付ける。
出来る限り激しくならないようなんとか我慢しながら、それでも動く度に苦しそうに声を漏らす名前を見て罪悪感を抱く。
その筈なのにそれ以上に興奮してしまっている俺はもうそれをやめられない。
「名前っ!···名前!!」
「っ、んんっ···!!」
先程とは違う、俺だけが快楽を貪るだけの行為。
耐えながら溢れる声が痛々しい、なのにやっぱり俺はもうやめられない。
「っ、ああっ、!トーマ、ス!!」
俺の背に鈍い痛みが走った。
それは名前の爪が俺の背に食い込んでいるからだ。
「(嬉しい)」
それが嬉しくて堪らない、なんて。
腰を打ち付けながら深い口付けをした。
名前は余裕がないのだろう、俺にされるがままだった。
酷い事をしているのになぜ俺はこれ程幸福なのだろうか。
罪悪感を抱いたまま、数分もしないうちに名前の中で達してしまった。
大きく鳴り続ける心臓、それは名前も同じで。
まだ離れたくなくて抜けずにそのまま名前を抱き締め続ける。
「···トーマス···気持ち、良かった?」
名前は俺の頭を撫でながらそう訊ねた。
汗で額にへばりついた前髪を横に流して露になった額に唇を押し当てた。
「···悪かった、結局自分のことしか考えられなくて酷いことしちまった」
俺はようやく名前の中からソレを引き抜いた。
避妊具を取り外し中に吐き出されたその欲の量に引いた。
「ちゃんと気持ちよかったみたいだね」
「······悪い」
「謝らなくていいよ、私も合意してたんだし。
それにね····」
名前は柔らかく笑う。
その笑顔は俺がよく知っているものだった。
目の前にいる名前は間違いなく俺が愛してやまない名前なのだと改めて実感して泣きそうになった。
名前はまだ何か言おうとしていた。
だがいくら待っても名前はその続きを言葉にしようとしない。
「それに···どうしたんだ?」
「···ううん、秘密」
気になってそれを訊ねてみたが名前はそう言って俺に抱き付いた。
俺は気になりながらも甘えてきてくれた名前が可愛くてとくに責め立てることはせずにただただ名前を抱き締めた。
あり得ない事が起こったことで気を張っていたのだろうか。
俺はいつもより疲労していた。
終わったら二人で風呂に入って綺麗にしてやろうと思っていたのに眠くて仕方ない。
「トーマス眠そうだね。私もね、なんだか凄く眠くって」
そう言って大きなあくびを一つ。
「···取り敢えず拭いてやるから、疲れただろ。
寝て構わない」
そう伝えると名前は一度首を縦に振りそのまま眠ってしまった。
俺も眠くて堪らなかったのだがなんとか名前の身体を簡易的に綺麗にして俺も最低限始末をし、再び名前を抱き締めた。
そしてまるで睡眠薬でも飲んだかのようにすぐに深い深い眠りに落ちてしまった。
これは本当に現実に起こったことなのだろうかと考えてながらも確かに感じる愛しい人の体温に心を満たされながら、深い深い眠りに。
よく眠った。
次に目を開けた時一番に考えたことはそれだった。
腕の中の少女を見た。
だがそこにいたのは少女と呼べる存在ではない、いつもの名前がいた。
「夢、だった、のか?」
一瞬そう考えた。
だがそこでベッドサイドに
置かれたゴミ箱を見た。
金曜日はゴミの日だった。
そして昨日の夜はお互い遅くなってしまった為そういった行為はしていない。
だがそのゴミ箱の中には複数の丸めたティッシュと避妊具の袋が捨てられていた。
間違いなく二人の間でそういったことが行われたのだとそれが証明していた。
そっと少しだけカーテンを開けた。
外はもう完全に日が沈んでいた。
あれから一体何時間経ったのだろうか。
どうやらもう1日が終わってしまうらしい。
「ん·····トーマス····おはよう」
名前は朝と同じようにのそのそと起き上がる。
お互い裸のまま眠ってしまったのだ。
動きに合わせてに今朝は無かった名前のふくよかな胸が揺れた。
名前もそれに気付いたようでそれを確認するように自身の身体をぺちぺちと触っている。
「···もう戻ったみたい」
「···そう、だな···」
名前もちゃんと覚えている。
あれは夢では無かったのだ。
俺は今になって身体が震えはじめた。
「どうしたの?」
「······もし、もしあのまま戻らなければ」
今こうして目の前にいる名前はどうなっていたのだろう、と。
幼い名前の中身は間違いなく普段の名前だった。
でもだからと言ってあんなおかしな事が起こって、名前の身体に何か悪影響を及ぼした可能性だって0ではないのだ。
なのに俺は自分の欲を優先して名前を抱いて。
「大丈夫、ちゃんと戻れたんだもの」
子供をあやすように優しく優しく俺の頭を撫でる名前。
俺は名前の胸に顔を埋め力一杯抱き付いた。
全てを包み込んでくれているような、そんな柔らかな身体をけして離さない、と強く誓って。
「もう一回寝る?」
「···風呂入る、一緒に···」
「そうだね、約束したものね」
だけどもう少しだけ、そうわがままを言った俺の頭を名前はずっと撫でていてくれた。
馬鹿な事を願った。
後悔は無い。
だが俺は俺が思っている以上にずっと幸せだったのだと気付くべきだったのだ。
幼い姿の名前も愛している。
だが一番愛しているのは今ここにいる名前だ。
俺を愛してくれている今の名前。
今更こんなことに気付くなんて俺は信じられない程愚か者なようだ。
ねぇ、私ね、凄く曖昧だったの
私がこんな風になったの、実はきっかけをよく覚えていなくって
私の記憶として残っていた初めては全然気持ちよくなんてなかったのに
それから何度かそういうことをしても全然気持ちよくなんてなくて
なのに何故か身体がそういうことを求めてね、何度も繰り返して仕舞いにはあまりにも良くならないから自分の身体が駄目なのかって思って自分を慰めて。
始めてそうした日の事ははっきり覚えている。
初めてのことなのに、何故か手が勝手に動いてどこをどんな風に触れば気持ちいいか分かったの。
男の人とした時は分からなかったのに。
自分である程度開発が済んでからは男の人とする時も気持ちよくなって気付いた時にはもう、トーマスと出会った頃の私になっていた。
それでも何か満たされなくて、もっともっと身体が求めて。
家族にも友達にも絶対に言えないような、そんな私になっていた。
今日起こったことではっきりとわかった。
私の身体は知っていたのだと。
セックスによる快楽、愛される幸福がどれ程のものなのだと。
記憶が無くとも私は探していたのだ。
まるで絵本に出てくるお姫様のように、私を愛してくれる王子様を。
なんて、自分で言っておきながらあまりにもらしくないとふきだしてしまった。
この事をトーマスに話すのは気が引ける。
トーマスはきっと気にしてしまうから。
だからお互い白髪になるまでは黙っていよう。
そうなるまで一緒にいられたら。
それはとても幸福なことだと思う。