ありえない

「なっ、あ、あ···え?」

「安心しろ、俺は人間じゃないから、お前の初めてには換算されねぇよ」

男は頭が真っ白になった私に覆い被さり再び唇を重ねる。
ぬるりと入り込んだ舌は私の舌に絡みついた。
先程までカラカラに喉が渇いていた筈なのに何故か今は口の中にどんどん唾液が溜まっていく。
これは彼のものなのだろうか。
息苦しくも唇を塞がれていてそれを吐き出すことが出来ない私はそれを飲み込んだ。
男は一度私から顔を離したかと思うとごくりと唾を飲み込んで再び私に覆い被さる。
ファーストキスさえ未経験だった私がこんなにも濃厚な口付けを交わしているだなんて、その以上な状況に気は動転しているのに身体は熱を持っていく。

「ああ···そうだ、まだ俺の名前を教えていなかったな」

男は今まさに思い出したかのように顔を上げ頬にリップ音を立ててキスをした。

「俺の名前はトーマス、宜しくな」

「····とー····ま···す?」

頭がボーッとして上手く話せない私にトーマスはにこりと笑って再びキスをした。
そして服の中に手が入る。

「っ、ま、待って···!」

トーマスの手を掴んで嫌だと首を横に振るも彼は大丈夫だから、と耳元で囁いてそのまま耳朶を甘噛みした。
私はちっとも大丈夫なんかじゃないのに何故か身体に力が入らない。

「名前の身体、触れててすげぇ気持ちいいな」

耳元で囁かれる言葉に背中はゾクゾクと震える。
そしてパチリと音がして身体に開放感が、ブラのホックを外されたらしい。

「だ、だめっ···」

私の弱々しい抵抗などなんの意味もなくトーマスの手が胸に触れた。
そんなところを他人に触れられたのは初めての事だったので身体が一瞬で強張ってしまう。

「そんなに緊張しなくていい、名前は楽にしてればいいから」

トーマスはやわやわと私の胸を撫でるように揉んで指先でそこを摘まんだ。
ピリッとした刺激が全身に走った。

「ひっ···あ、え?な、なん、で?」

そこに触れた事は何度もある、自分の身体だ、当たり前の話だろう。
それは勿論イヤらしい目的の為も含めて、だ。
だがこれ程そこに触れて刺激を感じたことは一度もなかった。

「他人に触られると違うだろ?
もっと気持ち良くしてやるから、安心して寝てろ」

触られているから自分がどんな状態にあるかわかる。
どれ程感じているか。
指先が触れる、舌で包みこまれる、舐めて転がされては吸われて歯を立てられて、どうしようもなく興奮してしまう。
まだ胸しか触られていないというのに私のソコはだらしなく液体を溢れさせて、ここまで自分は淫乱だっただろうか、と再び涙が流れた。

「泣くなよ、言っておくがお前が特別おかしいのは事実だ。
そしてこんなにも感じているのもお前が特別なせいなんだよ。
それはお前の責任じゃない」

ぺろぺろと顔を舐めながら彼は言う。
私にはその意味がよく分からない。
けれど慰めようと顔を舐めるトーマスが今は本当の猫のように写って気が変になりそうだった。
それはけして間違いではないのだから。

「猫の発情期ってびっくりするくらい分かりやすいだろ?
お前は今あの状態なんだ」

トーマスはそう説明してくれたけど意味が分からない。
私は猫なんかじゃないのに。

「····まぁその辺はそのうち説明してやるから」

「あっっ····!」

思わず漏れそうになる声を必死で我慢していたのに優しく優しく頭を撫でられたことで私の気は一瞬抜けてしまった。
そこに再び胸に歯を立てられたことで私は声を上げてしまった。

「ああ····これはヤバいな、俺でさえくらくらする」

トーマスの目がギラリと光る。
私は男性経験がないから比較対象はいないのだが興奮した男の人はこんな目をするのだろうか、と考えて背筋に嫌な汗が流れた。

彼は猫であろうが人であろうが“男”なのだ。

「悪い、また萎縮させちまった。
俺はお前を傷付けたいわけじゃない、大丈夫だ、大丈夫だから」

よしよしと何度も頭を撫でられる。
トーマスは私を子供のように扱う。
私は突然表れた信じられないような不思議な男をどうして拒めないのだろう。
彼の言うようにそれは私の身体が発情期とやらを迎えているからなのだろうか。
心は怖い、と彼を拒んでいるのに身体の中心は彼を求めている。
その矛盾した得体の知れない何かが私を狂わせる。

「つらいだろ?大丈夫だ、すぐによくなるから」

トーマスは私の下着ごとパジャマのズボンを脱がしてしまった。
露出したそこを隠したいと思うのに身体は言うことを聞かない。

「ああ····これは····」

トーマスは私の足を広げてソコを見つめた。
ごくりと唾を飲み込み顔をソコに近付ける。
そうなってやっと身体が動いた。
足を閉じようと必死で力を入れるも彼はそれを許してくれない。
手で頭押して彼の顔を遠ざけようとするもその手は彼に掴まれてしまい抵抗虚しく彼の口がぱくりと私のソコを覆った。

「ひぃっ····あっ····なっ····」

ざらついた舌が私のソコをうねるように這っている。
今まで経験したことのない刺激に私は身体を仰け反らせた。

「人間とはちょっと違うからな、この舌は。
どうだ?痛かったりしないか?」

「っ·····」

痛いどころか気持ちが良すぎておかしくなりそうだ、そんなことは口が裂けても言えないことだが彼には恐らくバレているのだろう。
だって彼は舐めるのをやめないのだから。
だらだらと溢れる液体に気付かない筈がない。

「この距離で嗅ぐこの匂い、まるで爆弾みたいな破壊力だな」

舌で入り口をなぞっては突起にとろりとした液体を塗り付けられる。
そしてソコを吸われ舌で遊ばれて、胸にされた以上の刺激が私を襲う。

「あっやっ···ら、や、らぁ····っああっ!!」

その快楽に逆らいたい、それでも耐えきれずに私は達してしまう。
ガクガクと震わせて、間抜けな姿だろう。
そんな状態になっているのにトーマスは舐めるのをやめない。
やめてほしいと思うのにやめてほしくない私自身が恐ろしい。
それをやめなければ自分がどうなってしまうのか、考えることが怖い。

「中がだいぶ柔らかくなってきたな」

先程のキスでも気付いていた。
トーマスは人より舌が長いように思う。
その長い舌が私の中を這っている。
それとまた初めての刺激だった。

「っ、あっ···なん、っで!こんなっ···!」

先程達したばかりだと言うのに私はそこでまた達してしまう。

「も、う、や····らぁっ···!」

そして何度も何度もそれを繰り返す。
私はもうはしたなく声をあげて快楽に身を任せることしか出来ない。
そうなってやっとだらりと四肢を投げ出した私のソコからトーマスが顔を上げて改めて私に覆い被さった。

次に起こる事が分からないなんてもう言えない。

「こんだけ解して柔らかくなってりゃ大丈夫だと思うが···いい具合に力も抜けてるしな」

いやと言う程弄られたソコに今度は硬いものが押し付けられた。
私はそんなに大きなモノをソコに入れたことがない。
それでももう身体が期待してしまっている。
きっとソレは私を気持ち良くしてくれるのだと。


腰を掴まれてぐぐぐっと押し込まれたソレが私の中を抉る。
痛みは殆どない、ただ経験したことのない圧迫感が息苦しくて、それさえも気持ちよかった。

「やっぱり中はまだきついな···こんなんじゃ俺もあまり我慢出来そうにねぇな···」

気持ち良いと感じているのは私だけではないらしい。
トーマスが本心からそう言っているのは顔を見れば分かった。
たまらない、とその目が語っている。
その目は私を刺激する。

「っ···名前···それ、気付いてやってるのか?」

「あっ···んぅっ·····」

トーマスはゆるゆると腰を動かし始めた。
打ち付けるというよりは中を擦りつけるように、どうして、という具合にソコは気持ち良くて散々濡らされたソコは中を擦られる度にぐちゃぐちゃと音を立てる。

「名前····」

頬を撫でながら愛しそうに呼ばれる名前。
今日会ったばかりだというのにそんな風に感じてしまうのは何故だろう。
それがただ私が特殊な体質をしているからという理由だけなのだとしたらなんだか悲しい。

「···そんな顔するなよ、名前」

彼から与えられる優しいキスと甘い声、ダイレクトに与えられる刺激。
全てが私を狂わせる。

「んっ···おねがい····もっと····」

「ああ···分かってる」

ついには自ら懇願してしまう、もっと欲しいと。
トーマスはもう私の気持ちいい所を知っているらしい。
私はそんな風にされることが好きだなんて初めて知ったのに。

「あんっ···んっ···!···き、もち、いい···あっっ、ま、たっ····!」

今日何度目だろうか。
何度も何度も達して、喉が渇いてカラカラになって声は掠れてきた。

「ふっ···ん····っ俺も、もう、限界だ···っ」

トーマスはそう言うと先程より早く腰を打ち付け始めた。
苦しそうな顔をして私の片足を持ち上げて体重をかけられる。

「くっ····っ····いくっ····!」

「あ、あああ····っ」

中でトーマスのものがピクピクと痙攣した。
ぐぐぐっとより奥を抉られるように、じわりと中が温かくなった。
私の中で彼が達したのだと理解した。
当然のように中にぶちまけられたそれに彼は人ではないと言っていたが大丈夫なのだろうか、と不安を抱くも頭は私に考えることを放棄させた。

「···大丈夫だ····今はゆっくり休め···」

トーマスはそう言って私の額にキスをした。
そして私は彼の言葉に魔法をかけられたかのようにそのまま眠りについてしまいそうになる。
今日起きた事は全て夢なのではないだろうか、寧ろそうであればいい、そう願って意識を手放した。