『ずっとIVさんの大ファンでした!』
『IVさんのこと大好きなんです!』
テレビの向こうで女の子がそう言ってトーマスに抱き付いた。
トーマスはその言葉に笑顔でお礼を言って受け止めている。
なんとも嫌な気持ちを抱いてため息をつくとテレビが消えた。
隣に並んで私とテレビを見ていたトロンさんが消したのだ。
「君にとっては嫌なものだったろうね、ごめんね」
「····トロンさぁん!」
私は思わずトロンさんに抱き付いた。
私より小さなトロンさんはよしよしと子供にするように背中を撫でてくれた。
「····トーマスが別になんとも思ってないことは分かってるんです。
仕事だからって·····でも·····」
「そりゃあ君は嫉妬するよね?
ふふっ····まぁいいんじゃない?多分トーマスはそれはそれで喜んじゃう子だろうから」
トロンさんは大丈夫大丈夫と言いながら私の頭を撫でた。
私が嫉妬して喜ぶだなんて、トーマスはそれでいいかもしれないけれど私としては嫉妬なんてさせないでくれた方がずっと嬉しい。
「トーマスって私をいじめるの大好きなんです」
「あの子は基本愛情表現が子供だからね。
好きな子に意地悪したいっていうか。
それでいて独り占めしたいって気持ちも大きいし」
独占欲か強いというのは私も分かっている。
凌牙君と話をしていただけでトーマスは凄く不機嫌になって意地悪ばかりしてくる。
ミハエルやクリス相手でさえ最近は怪しいところだ。
別に私はトーマスに嫉妬させたいわけでも意地悪されたいわけでもないので基本的にトーマスが嫌がる事はしないようにしているので異性との接触は可能な限り自粛するようになった。
「まぁ弟にすら嫉妬するのはどうかと思うけれど、名前からすればミハエルやクリスはトーマスと同じく結婚可能な異性の一人だからね」
「····私はそんな風に思っていないのに···」
嫉妬深い子供でごめんね、と言ってトロンさんは私の額に子供をあやすようにキスをした。
その直後、後ろで何かがバサバサっと音を立てて落ちた音がした。
「やぁ、トーマスおかえり。
さっき君の昼間のイベントの様子がテレビで流れてたんだ。
名前と一緒に見てたんだよ」
ね?と私に話を振ってぎゅっと私を抱きしめた。
トーマスは顔をひきつらせて妙な笑顔を浮かべている。
「お、おかえりなさい···」
「·····」
私がおかえりと言えばトーマスはじろりと私を睨み付けた。
トーマスの強い眼孔が怖くてトロンさんに助けを求めればトロンさんはよしよしと頭を撫でてくれた。
「君はもう少し大人になった方がいい。
こんなに怯えてるじゃない、可哀想に」
「····父さん、わざとやってるだろ!」
トーマスの声が苛立ちを含んでいる。
トーマスはトロンさんに対してだけは他の異性に対するような反応を見せなかったのでこんな風に怒るトーマスを見るのは初めてだった。
「落ち着きなよ。名前は僕にとっては娘同然なんだよ、これくらい普通でしょう?
それともトーマスは僕に名前を一人の異性として意識してほしいのかな?」
「なっ!?そ、そんなわけないだろっ!!!」
トロンさんさんは私に優しい。
でもそんな風に思っていてもらえただなんて今初めて知ったのでなんだかとても嬉しい気持ちになった。
そしてやはりトーマスはトロンさんには勝てないようだ。
「ちゃぁんと君の大好きな名前は返してあげるよ。
でもあんまり意地悪ばかりしてちゃ捨てられちゃうよ、君。
優しくしてあげるんだよ?」
「···わ、かってる」
トーマスは苦虫を噛んだような表情で私達の側までまで近づいて私の腕を掴んだ。
目が早くこちらに来いと訴えていたので私は促されるまま立ち上がってトーマスの自室へと連れて行かれた。
トロンさんの目が頑張って、と言っていたように見えた。
トーマスは私を部屋に入れると後ろ手で部屋に鍵をかけた。
嫌な予感しかしなかったので思わず後退りをするもここにはその扉以外に逃げ道なんてなかった。
「チッ···なんで逃げてんだよ」
トーマスは苛立ちを隠さず私に近付いて再び腕を掴んだ。
そしてそのまま私の口を塞いだ。
「っ····ゃ····」
その時私にとっては凄く嫌な、様々な化粧品や香水に匂いがトーマスから香ってきたことに不快感を覚えトーマスの胸を押して彼を拒絶した。
トーマスはそれが気に入らなかったようで再び大きく舌打ちをした。
「っ、ト、トーマス、···その、女の子の匂い、いっぱいついてて···だからヤだ···」
「···へぇ、嫉妬してんのかよ」
トーマスはからかうようにそう言って意地の悪い笑顔をしていた。
私はそれが悔しかったけれどその通りだったので素直に頷いた。
「ならシャワー浴びてくる、···逃げるなよ?」
トーマスは楽しそうな笑顔のまま部屋を出ていった。
私はそれに安堵してベッドに腰をおろしそのまま後ろに倒れこんでしまった。
「(怒ってる、けど怒ってない、よね?)」
いつもだったら問答無用に抱かれていたと思う。
やはりトーマスはトロンさんは対象外なようだ。
「(本当はミハエル達とも前みたいに仲良くしたいのだけれど)」
ミハエルにもクリスにもよくしてもらっている。
トーマスとは違う意味で彼らのことが大好きだ。
それでもトーマスは私にとって特別な存在だから彼が嫌がる事は出来るだけしたくはないという気持ちもあるので心情は複雑だ。
「(トーマスの匂い···)」
私はすぐ側にあったトーマスの枕を手にとった。
抱きしめるとそこからいつも嗅いでいる彼の匂いがしてそれが心地よくて顔を埋めた。
そんな時部屋の扉が勢いよく開かれた。
「トッ、トーマス!な、なんで服、着てないの?」
下着一枚で戻ってきたトーマスに驚いてベッドから飛び起きるもトーマスは大股で私に近付いてきてそのまま私を再びベッドに押し返してしまった。
「どうせすぐ脱ぐんだからいいだろ」
そう言ってトーマスは私の首筋に吸い付いた。
顔に彼の髪から水滴が滴り落ちた。
「ま、待って!髪乾かさないと、風邪ひいちゃうから!」
頭をぐいぐいと押し返せばトーマスは顔をあげた。
「ったく、いちいちうるせぇな。
ならお前がやれよ」
トーマスはそう言って案外すんなりと私の上から退いたので私も起き上がってトーマスからタオルとドライヤーを受け取った。
「取り敢えず拭くね?」
「ああ」
出来るだけ優しくトーマスの髪を拭き始めればトーマスは静かに目を閉じた。
私よりも長い睫毛ときめ細かな綺麗な肌に高い鼻、本当に整った顔立ちをしていると改めて思った。
「(でも目を閉じていると可愛く見えるんだよね)」
そんな風に考えているとトーマスが目を開けた。
そして視線がぶつかる。
「っ」
今更なぜかと思わせそうだがそんなことで私の胸がドクンと大きく鳴った。
それを察したのかトーマスは私を見てニヤリと笑った。
「つ、次!ドライヤーかけるね!」
私はそれを誤魔化すようにそう言ってトーマスの後ろに回ろうとした。
だがトーマスがこのままが良いと言ってそれを制止したので私は向かいあったまま立ち膝で彼の髪にドライヤーをかけた。
トーマスは再び気持ち良さそうに目を閉じている。
手櫛を入れながらドライヤーをあてていれば次第にふわりといつものように髪が浮いていく。
根本から丁寧に乾かしやがていつもの見慣れたトーマスに戻った。
「お、おつかれ、さま?」
ドライヤーのスイッチをオフにすればトーマスは私の腰を引き寄せて胸元に顔を埋めた。
そしてそこで大きく息を吸った。
「あ、え?あ、ト、トーマス?」
「なんだよ」
トーマスは混乱する私を気にすることもなく私の匂いを嗅ぎはじめた。
熱い息が胸に当たってくすぐったい。
「な、なんで、その···嗅ぐの?」
「なんだよ、お前だってさっきやってただろ」
トーマスは顔を胸から上げて顎で枕を指した。
それがバレていたことが恥ずかしくて顔から火を吹きそうな程恥ずかしくなった。
「お前のお望み通りちゃんと匂い落としてきてやったんだからお前もサービスしろよ」
再び胸元に顔を埋められたことで私の心臓は羞恥心から大きく早く鳴り始めた。
勿論そんなことはトーマスにはバレているので動揺する私を楽しんで笑っている。
「名前ってなんやかんやエロいんだよな」
「そ、そんなこと、っ、」
トーマスは私の首筋をべろりと舐め上げた。
そしてそのまま先程と同じようにちゅうっと音を立てと吸い付いた。
「····トロンの匂いがちと混ざってるのが気にいらねぇ····けどまぁギリギリ我慢出来るレベルだから今日は許してやるよ」
「っいっ···」
トーマスが私の肩に歯を立てた。
甘噛みとはいえない、かなり強く噛まれたらしく電気が走るような痛みを感じた。
トーマスはそのまま私の服の中に手を入れた。
「ま、待って!その、す、するなら、私もシャワー浴びた、っっ!」
制止しようとするとトーマスは再び私の身体に歯を立てる。
明確な拒否の反応だ。
「お前はいい、黙ってこのまま抱かせろ」
頭を支えられてそのままベッドに寝転ばされた。
そのままトーマスは私に覆い被さった。
「お前の匂い嗅ぐと今すぐ抱きたくて仕方なくなるんだよなぁ、知ってたか?名前」
「あっ···」
耳元でねっとりと吐息を含まれて口にされた言葉に背筋がぞくぞくとした。
耳の中を舌で荒らされながら下着を上にずりあげられて胸をわし掴みにされる。
「すっかり立ち上がって、可愛い奴だよなぁ?」
本当に意地が悪い。
トーマスが可愛いだなんて言うのはこんな時ばかりだ。
胸の先端を口に含んで優しく舐めては吸って、時折弛く歯を立てられる。
「お前ここをこうされてる時耐えるみたいに俺の髪を掴んでるの気付いてるか?」
ちゅっと吸ったあとトーマスは顔をあげ私と視線を合わせてキスをする。
私は何も言い返せぬまま目を閉じて彼との口付けに酔いしれてしまう。
「それでキスされるともう何も考えられないって具合に気が抜けちまうんだよな····ほんと可愛い奴だよ、お前は」
べろりと頬を舐められた頃には本当に身体に力が入らなくなってしまっていた。
こうなってしまえばもう私は快楽に逆らえなくなってしまう。
私はトーマスの手を握って懇願する。
「···お願い····もっと、触って?」
「ほんとすぐ落ちるよなぁ?
····まぁ俺が仕込んだんだけどな」
トーマスは私の中途半端に乱れた服をすべて剥ぎ取ってしまった。
トーマス自身も唯一身に付けていた下着を脱ぎ捨てた。
興奮して勃ちあがったソレを見てこれからの事を想像して下腹部がきゅうっと締まってしまう。
「ああ····今お前興奮してるだろ?」
私の手を取ってトーマスは自身のそれを撫でさせた。
硬くて熱いソレに触れたことで私は思わず太ももを擦り合わせてしまう。
「焦らなくてもすぐにやるよ。もうちょっと我慢してろ」
もう一度唇にキスをして私の太ももを持って足を大きく広げた。
「すっかり濡れててらてらしてんじゃねぇか」
トーマスはべろっと犬が皿を舐めるように大きくソコを舐めあげた。
舌先が敏感な場所に当たったことで私の腰が揺れる。
「この分じゃすぐ入れてやれそうだな」
「ひゃあっ!?あっや、やめっ···!」
ちゅうちゅうと音を立てて吸われる事で中が収縮を繰り返す。
ダイレクトな刺激に身体がおかしくなりそうだった。
「んっ···中もすげぇひくついてやがる、一度イキたいか?」
トーマスは舌で刺激しながらも指を入れ中からもソコを刺激していく。
今すぐイッてしまいたい、そんな気持ちがないとは言えなかった。
「っ、あっ、と、···トーマス、ので、い、イキたい····」
それでも早く繋がりたいという気持ちが勝った私はトーマスにそうおねだりをした。
トーマスは身体を起こしてギラギラとした目を私に向けている。
私はその目に更に興奮を覚え中からどんどん溢れさせてしまう。
「入れてもらえるってなった時お前が期待してまた濡らすのすげぇえろいんだよな、もう自覚してんだろ?名前」
「····おねが、ぃ···は、やく」
トーマスが言っている事に反応出来ない程に気持ちが、身体が高まってしまっている。
トーマスのソコを撫でて早く入れてほしいと伝えればトーマスは再び太ももを掴んでぬるぬるになった入り口に自身をあてがった。
「堪え性がない奴だな」
ぐぐぐっと奥へと挿入されるそれに中が押し広げられる。
すっかりと彼のモノに慣れてしまったソコは最初の頃よりスムーズに彼を受け入れる。
私はそれにいたく興奮を覚える。
「おら、お望みのものは全部入ったぜ」
トーマスのモノが入って少し膨らんだ下腹を撫でられると私のソコは再び収縮した。
私の身体は彼の一挙一動に身体が反応するようになってしまった。
「っ、そのうち入れただけでイけるようになりそうだな、名前」
「あっ、···そっ、気持ちいいっ···!」
ゆるゆると敏感なソコを擦りつけられた事で先程すぐにでも達してしまいそうになっていた場所はどくんどくんと脈打ち始めた。
「っ、たく、··お前がこんなんだからっ、最近自分でしてもなかなかイけねぇんだよ」
「あっあぁっ···そこ、もっと···!」
トーマスが言っている事がよく聞こえない。
こうなると私はもう何も考えられなくなってしまうのだ。
「っお前がこんなにえろいこと知ってっから俺はお前が他の男とべたべたしてんの許せねぇんだよ!!分かってんのか!?」
身体をくの時に折り曲げられて激しく腰を打ちつけられる。
その荒々しい行為に痛みすら感じているのに私はもうそれすらも快楽に変換してしまう。
「あっっああんっ···ひぁっ···い、っちゃうっ····!」
「俺もぶちまけてやるからイけよ!」
トーマスはピンポイントで私の気持ちいい所をガツンガツンと突いた。
そんかことをされてしまえばもうひとたまりもなかった。
「あっあっ···!ひ、ああっっ···!?」
強く大きく痙攣を起こして達してしまう。
ガクガクと震えるソレに同調するようにトーマス自身もぶるりと身体を震わせ達してしまった。
より中に注ぎ込みたいと言わんばかりに腰をしっかりと掴んでぐぐっと中に押し込んで行われたその行為にとてと興奮してしまった。
少ししてトーマスのソレが完全に柔らかくなった頃中からソレを抜き取られた。
そして少しして溢れ出るトーマスのソレと混ざった自身の愛液に胸がざわついてしまう私はトーマスの言うようにイヤらしい女なのかもしれない。
「···悪かったな」
「···え?···何?」
私の身体を綺麗に拭き取った後トーマスは私をぎゅっと抱き締めて謝罪の言葉を口にした。
それが何に対しての言葉なのか分からなかった私は聞き返す。
「あれだよ···嫌だったんだろ?その···ファンの女と」
「あっ····その·····、トーマスが仕事としてやってるってこと、ちゃんと分かってるの。
仕方ないって思ってるし、····でも、トーマスに匂いがついてるの、その、ちょっと嫌だなって····ごめんなさい····」
あくまでもビジネス、ショーの一貫だということは分かっている。
トーマス程見た目が良ければ事務所がそういう売り方をするのも無理もないと思う。
私の割りきりが足りないだけなのだ。
「俺はお前が他の男と抱き合ってたら今すぐ相手を殺したくなるしお前のことは監禁してやりたくなる」
「えっ····あ·····そ、そうなの?」
突然物騒な事を言い始めたトーマスに私はどう返事をするべきか困惑してしまう。
だがそれが大袈裟に言っているわけではないということは分かっているため下手な事は言えないと思って口を閉じてしまった。
「俺こうしてる時の名前の匂いが一番好きなんだよ」
トーマスは先程と同じように私の胸元に顔を埋めくんくんと匂いを嗅いだ。
私も同じようにトーマスの匂いを嗅げば彼の言いたいことを何となく理解して顔が熱くなった。
「今名前の匂いと俺の匂いが混じりあって····これも一種のマーキングってやつか?
お前が俺のもんなんだって実感出来る」
「あ····うん、···私トーマスのもの、だよ?」
所有物のような扱いを受けて怒るべきなのかもしれない。
それでも私はトーマスにそう思ってもらえることが嬉しくて堪らない。
「だから別の男の匂いなんて付けてくんな」
「ご、ごめんなさい···」
トロンさんの事を根に持っているのだろうか。
トーマスの方がよっぽど女の子の匂いを充満させていたというのに、そう思いはしたが取り敢えずトーマスの思いを知れたことだしそれは嬉しいものだったのでその不満はもう閉まっておくことにした。
「でもそんなに嫌だったならやっぱり私もシャワー浴びてからのほうが良かったんじゃ?」
「俺はそうじゃない方が興奮すんだよ。
匂いが移ってない場所もあるしな?」
この言い様、やはりお互いの為にも少し軌道修正した方がいいのでは、と思った私は決して間違っていないと思う。
(あれ、兄様今日はまだ帰っていらっしゃらないのですか?)
(ああ、いるけど今名前といるから用があるなら後にした方がいいと思うよ)
(···トーマスはまた···)
(最近あまり名前とお話出来ていなくて寂しいです)
(ふふっ···あの子ってば本当に僕の駄目な所ばかり似ちゃって····母さんを思い出すよ)
(え?僕たちのですか?)
(どうだろうねぇ?)
(···ミハエル、やめておきなさい)