その日は今年一番の暑さだったと思う。
外はカンカン照りで風も殆んどなかった。
外に出れば蜃気楼も見えて視界は歪んだ。
「あっつ····」
たまらず名前が口にした。
元々デュエルの約束をしていたからこそ部屋に来たのだがあまりの暑さにお互い戦意喪失してしまっていた。
服など脱ぎ去ってしまいたい気持ちになるがさすがに名前の前でそんなことをするわけにもいかずTシャツとハーパンにとどまっている。
名前も制服のジャケットだけを脱いだ状態だ。
デュエルアカデミアの女子の制服はなんとも際どい。
スカート丈もそうだが全体的に身体のラインを主張している。
ぴたっとしたその黒のインナーが汗ばんでぐったりした名前の身体にはりついている姿は実にイヤらしかった。
邪な考えを打ち消そうと名前を団扇で扇いでやればその短いスカートがひらひらと揺れて下着が見えそうになり余計に俺を刺激したことで完全に下半身が元気になってしまった。
「あっつい、ねぇ、いっそ海岸に行こうよ、もうこれはちょっと無理だよ」
名前はそう提案した。
確かにいっそ海に入ってしまうのもありだろう。
だけど今の俺にはそれは無理な相談だった。
「出来ないくらいへばってる?」
いつもと違う俺を心配して名前がそう聞いてきた。
言ってもいいのだろうか?
いいや言ってしまおうと思って口にすれば名前の表情がスッと消えていくのがわかった。
帰ろうとする名前の手をとり引き留めると呆れたようにため息をついて俺の前にしゃがんだ。
「別にひいたりしてるわけじゃないけどさ、今一緒にいるのってお互いの為に良くないと思わない?」
それはどういう意味なのだろうか?
暑さにおかしくなっているのか自分に都合の良い想像をしてしまう。
だったらいっそ言ってしまおうか。
「俺名前の事好きだよ」
本心だった。
名前が俺の事好きなのもなんとなくわかってた。
それを必死で伝えようと頑張ってる名前が可愛いと思ってた。
だから最近そういうのが減って俺から気持ちが離れていってるのかなってちょっと焦りもあった。
「ごめん、なんか今言われてもあんまり嬉しくない」
名前の言った言葉になんとなく裏の意味が含まれていることに気付いた。
「名前は好きなやついんの?」
その問いに肯定の言葉だけを返す名前に苛ついた。
なんだよ、俺の事大好きな癖になんでそれを言ってくんねぇの?
自然に名前を掴む手に力が入る。
名前の口から言わせたい。
俺の事が好きで好きで仕方ないって事を。
「そいつの事俺より好きなのか?」
言えよ、俺が好きなんだって。
「名前は俺の事好きだろ?」
掴んだ名前の腕の骨がぎしぎしと軋んでいるのに気付いていた。
それでも名前は俺の手を振り払おうとしない。
それは本心では俺から逃げたくないと言っているってことだろう?
「····十代の事は好きだけど、十代のそういう所本当にずるいよ」
知ってる。
ごめんな名前、俺全部分かっててやってる。
なんていうか今名前を逃がしたらもう無理矢理にでも襲わないと駄目な気がするんだよ。
「名前は俺が他の奴と寝ても平気?」
だからこれは俺なりの気遣いのつもりだよ。
名前さえ今素直になってくれたら俺の心も身体も全部やるからお願いだから言ってくれよ。
そんな言葉に名前は傷付いて涙を流した。
俺のせいで泣かせてしまった事に対する罪悪感を感じると同時に俺が他の女のものになることが嫌すぎて泣いてしまう程俺に愛されたいと願っている名前が愛しくてもっと泣かせてやりたいと思う自分もいる。
「嘘だよ、俺名前だからこそそういう気持ちになってるから、だから」
名前を傷付けたい気持ちもあるがそれ以前に今此方を一生振り向かない程に嫌われる訳にはいかない。
「ごめんな、なんか感情が突っ走って言葉が逆になっちまったけど、俺名前の事好きだから」
自分で口にしておいて言うのもなんだがなんて薄っぺらい言葉だろうか。
その言葉に嘘はない。
でも俺の中での名前への思いはもっと複雑だった。
だがそれを言葉に上手く出来なかったししない方が良い言葉もあるということくらいは理解している。
腕の中にいる名前が愛しい。
こんなに密着しているというのに先程まで感じていた暑さは消えていた。
初めて抱き締めた事で名前への気持ちが弾けそうになった。
「私は十代が思っている以上に十代の事、好きなのよ」
俺だって名前が思っている以上に名前の事が好きなのに。
どうすれば伝わるのか、それがわからない。
「そんなの分かってる、だってずっと俺の事見てただろ?」
名前の気持ちを分かった上で俺もこう言っている。
それを伝えれば名前は諦めたように笑った。
「ねぇ十代、好きよ、大好き」
名前が自ら首に腕を回し俺にキスをした。
完全に落ちたのだ。
ニヤけそうになるのをグッと我慢して名前のキスに答えた。
頬を舐めれば涙と汗でしょっぱかった。
服を脱がせばその汗ばんだ身体が本当にイヤらしく見え興奮した。
汗だくになったの身体を舐めまわしてやった。
やはりしょっぱさは感じたが何故かどこもかしこも甘く感じた。
もし風呂に入ってからと止められていたら無理矢理襲っていたかもしれない。
そう思う程イヤらしさを帯びた名前の身体を余す所なく食べ尽くしたかった。
けして優しく出来ている自信はなかった。
それでも名前の身体が全身で俺を受け入れようとしていることは伝わった。
それはきっと
「有が俺の事大好きだって事すげー伝わってくるぜ」
これに尽きると思う。
俺が名前を求めるのと同じように名前も俺を求めているんだと思う。
だって俺が名前の名前を呼ぶ度に名前のソコが俺のモノを締め付けてくんだもん。
背中にガリガリと名前が爪を立てているのがわかる。
その理由が所謂マーキングのようなものなのだろうという事も気付いている。
可愛い可愛い名前。
こんなに可愛い名前が見られるならもっと早く抱いていればよかった。
最初は名前に対する感情がよく分からなかったんだ。
間違いなく好きだったのに名前が俺以外の奴と話して笑っているだけでそいつも名前も殺したいほど憎かったんだ。
好きな筈なのになんでそんな風に思うんだろうな?って。
でも分かったんだよ。
多分これが俺の愛なんだよな。
「俺はお前が俺以外の奴と寝たらお前を殺すよ」
名前は俺が他の女と寝るの嫌で仕方ないんだもんな。
だから安心していいぜ、俺はお前以外どうでもいいから。
だから安心して俺の事好きでいろよ。
卒業したら一生俺しか見られなくしてやるから楽しみに待ってろよ