俺の声に震えろ

久々の休日、昨晩から名前の家に泊まりにきていた俺が翌朝目を覚まし時既に名前は目を覚ましていた。
隣に寝転んではいたがヘッドホンを付けてなにやら聴いているようだ。

「何聴いてんだ?」

「ん?えっとね、かっこいい声優さんが耳元で口説いてくれるっていうCDかな」

随分と弛みきった顔をしていたのでその詳細を訊ねると名前は片耳だけヘッドホンをずらしてそう答えた。
そしてすぐにまたそれを元に戻してしまう。
それに俺はなんだか苛ついた。
俺よりそんなものを優先するというのだろうか。

「俺が隣にいるのにお前は違う男に口説かれてニヤついてやがるのか」

「CDだってば」

不満を口にすれば名前はそう言って俺を適当にあしらった。
視線すらこちらに向けようとしない名前のぞんざいな態度に益々苛立ちの感情が増していく。
つまらない嫉妬だと笑われるだろうか。
別に誰にどう思われようが関係ない。
俺にはそれに不満を持つ権利があるのだから。

「俺の方がずっと良い声してんだろ」

「ま、まぁ···?」

名前は所謂声フェチというやつだ。
以前俺の一番好きな所はどこかと問えば即答で声だと返ってきた。
少し複雑な感情もあるが声フェチな恋人が俺の声を好きだと言っているということに悪い気はしない。
だからとくに追及はしなかった。

だが今は話が別だ。
その大好きな恋人が話しているにも関わらず名前はヘッドホンを付けて他の男の声に夢中になっているのだから。
はっきり言って面白くない、いや、はっきりと言うのであれば非常に不愉快だと言えるだろう。

「浮気してんな」

「え、浮気、になるの?」

名前は俺に対して若干めんどくさそうな顔をした。
やはり気に入らない。
そもそも人が話しかけているというのにヘッドホンをつけたままというのは世間一般的に考えても失礼なことだろう。
だから俺の苛立ちはごく自然な感情だ。
そう結論が出たので俺は名前の頭から強引にヘッドホンを取り外してやった。

「えっ!ちょっと、返して!」

「知らねぇよ」

俺の手からヘッドホンを取り返そうと腕を伸ばしたが俺はそれをソファーに放り投げて名前をベッドに押し付けた。

「あ、あのヘッドホン高いんだから乱暴に扱わないでよ!」

「うっせーな、お前が悪いんだろ」

基本的に散財しない、慎ましく生活している名前が買ったとは信じられないほどそれが高価な品だという事は知っている。
値段を知った時は驚いた。
特別優れた耳をしている訳ではない俺が聴いてみてもそのヘッドホンの性能の良さが理解出来た程だ。

だが今になって思えば別の男に口説かれる為に財布の紐が硬い名前がそれを買ったのだと考えると苛ついてそのヘッドホンを今すぐ破壊してやりたくなった。
さすがにそこまでするわけにはいかないと思ったからこそ俺の手の届く場所から遠ざけたのだ。

俺はしっかり我慢した上での行動だ。
今それを責められる筋合いはない。

まだ抵抗しようとする名前を腕を抑え付けて唇を塞いだ。
俺は文句なんて聞きたくない。

抵抗を見せて硬く閉じられた唇を無理矢理舌で割って入り逃げ回る舌を掴まえれば名前の身体が小さく跳ねた。
膝を太ももの間に押し入れて股にぐりぐりと押し込んでやれば腰を動かして逃げようとしたがそれを許さなかった。

口内の唾液を音をたてて啜ってあからさまに喉を鳴らして飲み込めば名前の顔が赤く染まっていく。
その反応に先ほど感じた苛立ちが少しは落ち着いた。

唇を離せば乱れた息を整えながら不満を含んだ視線を俺に送った。
俺としては赤くなった顔でそんなことをされても煽られているようにしか思えないのだが。

「そんなに俺よりそのCDとやらの方がいいのか?」

たっぷりと熱を含んだ声で名前の耳元で囁いてやれば名前は小さく声を漏らした。
べろりと舌で舐めあげて名前を呼べば小さな悲鳴のような声をあげた。

「や、やめてよ!」

「何が気に入らねぇんだよ、俺にこうされるの好きだろ?」

耳朶に軽く歯を立てると押さえ付けている名前の手首の脈の間隔が速くなったように思う。
とは言っても俺自身も確実に興奮状態にあるからその感覚がどこまで正しいかは定かではないのだが。

「黙って抱かせろよ、名前」

もう先程ほど抵抗の意思を感じられなくなっていたので腕を拘束することをやめて代わりに腰に腕を回した。

名前は相変わらず不満げな顔をしてはいたが目はすっかり熱を帯びていてもう準備は出来ているようにしか見えない。

「あのCDの男はお前をこんなに欲情させられるのか?」

ただの嗜好品のようやものにすら嫉妬してしまう俺は笑える程名前に惚れているのだろう。

「······ばか···」

憎まれ口を叩くもその声色にもう不満は感じられない。

服の中に手を忍び込ませる。
昨日寝る前たっぷりと愛し合った後すぐに眠ってしまったのでショーツとTシャツしか身に付けていなかった。

すぐに触れた柔らかなそこに硬く主張した突起が俺に触れてほしいと訴えている。

「こうなったのはあのCDのせいか?それとも俺か?」

「っ、知ってる癖に変なこと言わないで!」

怒って胸をどんどんと叩き始めた名前を力いっぱい抱き締めた。
そうすれば途端に名前の身体から力が抜けてしまうのだから可愛くて仕方ない。

「続きするぞ」

胸を揉みながらもう一度耳元でそう囁けばもう名前はなんの不満も口にしなかった。

取り敢えず苛つかされた罰としてフェラくらいはしてもらおうかと考えてほくそ笑んだ。

名前はそんな俺の顔を見てなにか不純な事を考えているのだろうという事を察したのか複雑な表情を見せた。
だがもうこうなってしまった名前が俺を拒む事なんて絶対に無いという事をよく知っているので何の心配も無いだろう。

柔らかい胸を揉みながら折角だから胸も使ってもらおうか、なんて考えながら既に染みが出来ている名前の下着を脱がせた。