「トーマスはデュエルを愛しているのね」
「なんだよ、今更」
プロとしてそれで生活している彼は同じくそのデュエルにも愛されているとも言えるだろう。
相思相愛だ、きっと彼らはとても強い絆で結ばれている。
そして同じく彼とデュエルを通じて繋がっている彼の仲間達も同じなのだろう。
「お前もやっとデュエル始める気になったのか?」
トーマスは私にデュエルをさせたがる。
愛するものを共感したい、その想いからだということはわかっている。
「やらないよ」
その想いが強ければ強い程私はそれを拒絶する。
それはなぜか、彼はその答えを知っている。
それでも彼は私がそれを拒否する事を知った上で何度も何度も同じ言葉を口にするのだ。
「お前は俺がいなくちゃ駄目になるんだろうな」
きっとそんなことはないのだと思う。
仮に彼が私に興味を無くし私の目の前から去ったとしてその時はきっと虚無感で何も出来なくなると思う。
食欲が無くなったり逆にやけ食いしたり、眠れなくなって一人で枕を濡らすことになるだろう。
それでもきっと時間が経てば、その時には私は彼がいなくとも一人で立ち上がれてしまうのだ。
「きっとそうだよ」
それでも今それを口にするのが正しいことではない、それを私は知っている。
彼がそれを望んでいないことは知っている。
デュエルに、家族に、仲間に愛されている彼は私すら求めている。
なんて欲張りな人なのだろう。
だがそれは私も同じだ。
気を許せる友人がいる、大切に育ててくれた家族がいる、それでもそれだけでは満たされていないと感じてしまう私は駄目な人間なのだろうか。
「お前は俺だけだもんな」
トーマスはとても嬉しそうな顔をしている。
そんな彼の顔を見ると私もまた嬉しくなる。
自分より不幸な私を見て優越感を覚えているのだろうか。
可哀想な私に小動物を愛でるような感情を抱いているのだろうか。
どちらが正しくとも構わない、その内訳になんの意味もないのだ。
「そう、だから離さないで」
私がそう言葉を紡げば彼は私を抱きしめてくれる。
頭の後ろに手を添えて何度もキスをくれる。
それは私が当たり前のように持っている権利なのだ。
漏れる息が熱い、身体の体温が上昇してきた。
私の体温につられるようにトーマスの身体も熱を帯びていく。
これ程興奮を覚える瞬間が他にあるだろうか。
「トーマス、好き、愛してるの、欲しい」
おねだりを恥ずかしいだなんて思う時期はとっくに過ぎていた。
恥じらいの姿はとても魅力的に見えるかもしれない。
けれど私はそこで初な女を演じられる程の余裕なんて持ち合わせていなかった。
だから私は素直に彼を求めてしまう。
それを彼は拒んだりしないと知っているから。
「名前はこっちの才能はあるが、きっとデュエルには向いてないんだろうな」
「あっ···」
耳元で囁かれた言葉はなんだって愛撫に感じられた。
とても綺麗な、恐ろしい程耽美的な美しい声色、あたる吐息。
「ああ、でも馬鹿みてぇに素直で真っ直ぐな···眩しすぎる奴もいたな」
耳の中を下で探られそして耳朶に歯を立てられた。
そのまま強く噛んでくれたら、あの尖った歯で私の耳に穴を開けてくれたらどれ程幸せだろうか。
「まぁ名前はあんなに真っ直ぐにはなれねぇよな」
人より長い舌が首筋を這う。
ぬるりとした感触背筋がぞくりとした。
汗をかいているかもしれない、なんて事を考える余裕がなかった。
彼がそんなことを気にする人ではないと知っているから。
それを重々承知している事に私は優越感を覚えるのだ。
「もうきっと洪水みたいになってんだろうな」
トーマスは私の首に音を立てて吸い付いた。
その想像は間違っていない。
彼の膝を押し付けられた私のソコは馬鹿みたいに潤っている。
彼を求めてびしょ濡れになったソコを早く見て、触れて、もっと感じさせて、そう願っている。
私はそんな願いを視線に乗せて彼に伝える。
彼の目を見ればそんな私に欲情しているのが分かって私は口角を上げる。
そんな私は色に狂った下品な女だろうか。
「今すぐにでもぶち込んでやりてぇ」
誰にどう思われてとそれは大した問題ではない。
こんな私を彼が愛してくれるのなら他人からの評価なんてなんの価値もないことだ。
「無茶苦茶にして···トーマスにならそうされたい」
「チッ···他人とすることと想定するしたような言いてんじゃねぇよ」
そんなつもりなんてなかった。
けれどトーマスはそう受け取ってしまったようで苛立ちの表情を見せた後私を四つん這いにしてスカートを捲りあげ下着をずり下げた。
「俺は優しいから名前、お前の望みを叶えてやるよ」
カチャカチャと金属の当たる音が響く、ベルトが緩められた音。
そして何かが擦れた音、ファスナーが降ろされた。
熱く疼いたそこに触れたモノ、私を狂わせるもの。
「今日は寝られると思うなよ」
夜は長い。
幸福な時間をそれほど長く与えてくれる彼は私にとって神と呼んでも過言ではない。
甘く淫らなそれをスプーンで掬って口に運ぶ、私はいつか栄養過多で死んでしまうかもしれない。
馬鹿げた事を言っている、と人は笑うだろうか?
けれど私は本気で思っている。
幸福は、時に人を殺すと。
彼との関係に満足してしまっている、そうではない。
ここから落ちていくことが怖いのだ。
いつか年老いて、或いは私に飽きて、もっと魅力的な誰かと出会って、私がいらない存在になるかもしれない未来が怖い。
だからこそ夜が、今日この日の夜が永遠的に続けばいいのに、約束された、他の誰でもなく私を愛してくれるこの夜がずっと。
「余計なこと考えてねぇで集中しろ」
「あぁんっ··!」
腰を掴まれ強く中を抉られた。
自分の事だけ、今この瞬間を忘れるな。
それはただ彼が満足するためだけの意味だったとしても私は嬉しい。
彼が今私を抱くことだけを考えてくれている証拠だから。
「いったい何を考えてここを震わせてんだよ、お前」
トーマスが荒々しくブラウスのボタンを外した。
四つん這いになっているせいで腕が邪魔をしてそれを脱がしきることは出来なかった。
そんなことはお構い無しにボタンを全て外し終えたそれを強引に後ろに引っ張って背中を露にした。
そしてパチンと小さな音を立てて下着のホックを外された。
慣れた動作だ。
「こうされるの好きだよな」
それは獣の交尾のように、私に覆い被さったトーマスは背後から私の肩に噛みついた。
容赦なく、鈍い痛みが走った。
胸と痛い程乱暴に鷲掴みにされて、けれども私はそれが嬉しい。
彼の感触を全身で感じるこの瞬間が幸せで、幸せで。
「名前っ····ほんとにお前、可愛い、な、俺以外にこんな姿見せやがったら、殺してやるから、なっ···!」
「ひあ、っっ!?」
じんじんと痛む肩、トーマスの熱い告白。
それら全てが快楽となって私は達した。
痙攣が心地よい。
それでも私は満足しない。
だって夜はまだ明けていないのだから。
お願い、この夜よ永遠に明けないで
終わらない夢をどうか私に