「ねぇ、デュエルしてほしい」
隣に座って静かに本を読んでいた名前が唐突に言った言葉に俺は
「なんだ、飽きたのか?」
「そういうわけじゃないんだけど···その···私が勝ったら、···お願い一つ聞いてくれ、ない?」
名前がなんとも言いづらそうに言った言葉に首を傾げる。
よほど大きなお願い事でもあるのだろう。
それとも日頃から俺が何か理由がないと我が儘を聞いてくれない男だと思われているのだろうか。
別に名前の頼みなら出来ることであればなんでも聞いてやりたいと思っているのだか。
「なんだよ、そんなに変な頼みなのか?」
「···変、ではないと思うけれど···その、·····」
どうにも歯切れが悪い。
何か高価なものでもねだられるのだろうか?
それは普段の名前の事を考えれば想像出来ないがだからこそ何か条件付けているのかもしれない。
「何か欲しいものでもあるのか?
それなら大抵のものは買ってやれると思うが」
「欲しい、は近いかもしれないけど買えるものじゃなくて···でもトーマスにしか出来ないっていうか···私がトーマスにしてほしくって····」
俺にしてほしいこと?
恥ずかしそうに俺から目を逸らし頬を赤らめた名前を見ていかがわしい事を考えた俺を許してくれ。
だが残念ながらそれはないだろう。
何故なら昨晩たっぷりと楽しんだ後だったからだ。
名前の体力的にも無理をさせた自覚があるので名前が今再び、というのは考えられない。
もっとも俺としてはそんなお願いならいくらでも聞きたいのだが。
「言ってみろよ。お前の頼みなら断らねぇから」
「···それが恥ずかしいからデュエルで、って言ったの····」
余計な事を考えてしまったせいでどうにもこうムラッときてしまった。
恥ずかしがる姿を見れば見るほどいじめたくなってしまう。
「またベッドに行きたくなったのか?」
「····うん」
「···へ?」
意地悪のつもりで口にした言葉に名前は肯定した。
俺はそれに驚いてなんとも間の抜けた声を出してしまった。
「身体もう平気なのか?」
「え····あ、ち、違うよ!そ、そういうのじゃなくて!その····あ、甘えたくって···腕枕とか、ぎゅーってして頭、撫でてほしいな、とか····」
「つまりごろごろしながらいちゃいちゃしたいってことか?」
名前は俺の言葉に首を縦に振った。
そんなおねだりをする名前を可愛く思うが内心複雑でもある。
名前を可愛いと思えば思う程俺の身体は火照ってしまうのだから。
「まぁ極力努力するけど絶対って約束は出来ねぇって言っとくからな」
ぶっちゃけもう既に俺のそこは熱を帯び始めている。
こればっかりは寧ろ年相応に健全と言えるだろうから理解してほしい。
名前はそれを察したようで顔を真っ赤に染めて俯いてしまった。
俺としてはそういう反応もクるものがあるので控えてほしいのだが、正直そんな名前を見るのも好きなので口にはしなかった。
「ああ、その代わりまた今度俺にも同じようにしてくれよ」
「?も、勿論!いっぱい甘えてくれていいからね!」
名前はこれまた嬉しそうにそう言った。
名前は本当に理解しているのだろうか。
俺の胸に顔を寄せる、それはすなわち名前胸に顔を埋めるような形になるのだということだということを。
そこでまた照れて赤面して心拍数が上がる名前を想像してしまったもんだから俺の正直なソコは半勃ち状態だ。
「ほら」
「え、あ、そ、そんなことまでしなくてもいいのに!」
これ以上余計な事を考えていては収拾がつかなくなってしまうと思った俺は名前を抱き上げた。
驚いた名前は焦りながらも落ちないように俺にしがみつく。
直接触れている太ももの感触が気持ちいい。
なんて柔な肌をしているのだろうか。
「これもお前専用のサービスだから気にすんな」
「あっ、あ、りがとう」
首に抱き付いて照れた顔を隠そうとする名前はやはり可愛かった。
「こんな感じでいいのか?」
「うん····」
ベッドでお互い向き合う形で横になり腕枕をした状態で抱き寄せるようにして名前の頭を撫でた。
名前も俺の背に腕を回しぎゅーっと抱き付いている。
「名前、こっち向けよ」
額に軽くキスをして声をかける。
「···ん」
少しだけ名残惜しそうに顔を上げた名前。
今度は唇にキスを一回、やはり恥ずかしそうに視線を逸らした。
もう何度も身体を合わせているのいうのに未だにこんなことで照れてしまう名前が愛しくて堪らない。
何度も何度もキスをした。
名前は恥ずかしがるが逃げようとする気配は無かったので俺はそれを続けた。
あわよくばその気になってくれないか、なんて淡い期待を抱きながら。
「···トーマス、もっと撫でて?」
「···ああ、分かってる」
だがどうやらその願望は叶いそうにないらしい。
恥ずかしそうにはしているものの名前の纏っている空気がソレに変わる気配がない。
今日はとことん甘えたモードなようだ。
「(そういうことになってもしっかり甘やかしてやれるんだが···)」
諦めの悪い俺はそんな事を考えていたのが俺に撫でられて心底リラックスした顔を見せる名前を見れば諦めるしかないかという気持ちにさせられた。
「(俺にこんだけおあずけ食らわせる女なんて名前が初めてだよ)」
最もこんな風に相手の気持ちを優先する
のも初めてかもしれない。
そういった意味では俺の初恋は名前なのかもしれない。
「トーマス、ありがとう···大好き」
胸元に顔を擦り寄せそう言った名前。
俺の首筋の匂いをくんくんと嗅ぐ姿はまるで猫のようだ。
「ああ、俺もだ」
今度俺も同じようにしてやろう、それを想像すると収まりかけていたものが再び熱をもってしまった。
やはり男の俺と女の名前では思考回路が違うようだ。
きっとその時俺は我慢なんてきかないから今日は名前が満足するまでたっぷり甘やかしてやろう、そう決めた