息が出来ない程の

「名前さん」

2人並んで隣で本を読んでいた休日の午後、彼はパタンと音を立て文庫本を机に置いた。
今日買ったばかりの新刊だ、まだ1時間と経っていない、読み終えたわけではないだろう。

「好みじゃなかった?」

「いいえ、...ただ集中出来なくて」

彼はそう言って私に抱きついてきたので読みかけのページに栞を挟んで私も本を机に置いた。

「...したくなっちゃいました。..ダメですか?」

ぎゅううっと私のお腹に回された腕。
そう言った時の少し恥ずかしそうな顔。
こちらまで恥ずかしくなってしまう。
最近シていなかったけれど一応恋人同士ということもあってそういう事になる事も想定して朝からシャワーを浴び可愛い下着を着け彼の家に来た。
だからこちらもその気ではいたけれどこんなに可愛く誘われては逆に照れてしまう。

「名前さん...」

ちゅっと可愛らしいバードキスをした彼はこちらを期待に満ちた目で見つめている。
もっとその表情をみていたかったけれどあまり意地悪をするのもよくないか、と思って私も同意した。

「...うん、いいよ。シよっか」

「ありがとうございます...!」

嬉しそうな顔でもう一度キスをされ腕を引かれベッドに導かれた。

「名前さん...好きです」

抱きしめられて髪を撫でられもう一度キス。
大切に大切にお気に入りのお人形の世話をするかのように優しく。

「...脱がせますね」

「...うん」

ブラウスのボタンを一つ一つ外して、それを身体から引き抜いて、下に身につけていたキャミソールを脱がされた。

「可愛い下着ですね」

「...テツヤ君にそう言ってもらいたくて選んだの」

「...そんな可愛い事言われたら歯止めが効かなくなるじゃないですか」

そんな事を言いながらも優しくベッドに押し倒されて彼は首筋に唇を這わせた。

「んっ...跡、付けちゃだめだからね...」

「...こっちも、ダメですか?」

油断をするとすぐにキスマークを付けてしまう彼に一応クギを刺しておいた。
すると彼は今度は胸元に顔を近づけてそこを舌で舐めた。

「...見えないところならいいけど...あんまやり過ぎないでね?」

「はい」

私の了承を得た彼は嬉しそうに胸元に跡を付けていく。
ちくりちくりと少しの痛みが何度も伝わって、時折そこを舐められる。
なんだかまだ幼い猫のように思えた。

「可愛い」

愛しくて彼の頭を撫でれば彼はぴたりと動きを止めこちらを見た。

「可愛いのは貴方です。僕は男なのでそれはやめてください」

彼は照れた顔でこちらを見つめ、そのまま背と布団の間に手を滑り込ませて下着のホックを外した。
それをそのまま引き抜かれて上半身が露わになった私を見下ろした彼はもう男の顔になっていた。

指と指を絡めてしっかりと握られもう一度キス。
先程と違い今度はねっとりとした大人のキス。
彼の舌の感触に背中がぞくっとするような、妙な感覚。
これが何かなんてもう既に知っている。

「...今貴方がどんな顔をしているか知っていますか?」

離れた唇が細い糸を繋いでぷつりと消えた。

「本当に可愛いです」

「んっ...」

胸の先端を指の腹で撫でもう片方は鷲掴みにされ舌を這わされた。
舌先でちろちろと舐めては吸って、ゆるく歯を立てられて。
お腹の下の方がズキズキと痛むようなそんな感覚。
腰から脇腹に向かって撫でられくすぐったくて身をよじろげば今度はお腹に唇を押し当てられて。
そこにも彼は跡を残していく。

「っ、やりすぎないでって、言ったのに...あっ...」

「これでも全然我慢してます」

片足を持ち上げられ今度は唇が内腿に触れた。
そしてまたそこを吸って、小さな赤い花が咲いた。

「...制服だと見えそうだからそこはダメ」

「...そもそもスカートの丈短すぎませんか?」

「それはデザインした人に言ってほしい...」

実際の所2回折って履いていることは黙っておこう。
私としては正直どちらでもいい、けど周りがやっているから、そんな程度の感覚でなんとなくやっている。
これを言ったら彼はどんな反応をするのだろうか。

「じゃあこっちにしときます」

彼はそう言って1番敏感な場所に吸い付いた。
きっとわざとだろう、あからさまにリップ音を立てて。

「あっ、んん...っ...!」

口内や胸を刺激した時と同じようにねっとりと丁寧に、吸っては舐めて、転がして。
彼らしい誠実で丁寧な愛撫にどんどんソコから溢れていく。

「気持ちいいですか?」

彼の指を飲み込んだソコがぬぷりと音を立てた。
中を少し触られて十分すぎる程潤っていることを確認した彼は指をもう一本挿入した。

「感じてくれているようでよかったです。
我慢せずに一度イッていいですからね」

内外両方からイイ所ばかり責められて、どんどん気が昂っていく。

「あっ、だっ、だめ...っ!」

そんな愛撫にあっさりと達してしまい腰をガクガクと震わせる私を見た彼は顔を上げて再び覆い被さり私を力いっぱい抱きしめた。

「可愛いですね...本当に貴方って...」

荒い呼吸を繰り返す私に再び与えられたキスは私を労わるような優しいもので。
お腹にあたる彼のものは不思議なくらい硬くなっていて余裕がないことは伝わった。
それでも私を気遣う彼はどこまでも優しい人だ、そう実感すると先程達したばかりだと言うのに身体の芯が疼いて仕方ない。

「...テツヤ君......きて...?」

私の言葉に彼が息を飲んだ。
もう一度キスをして私の太ももを大きく開いてソコにあてがった。

「...では、挿れますね」

入り口を確認するように先端を擦り付けて、ソコにぐぐぐっと押し入れた。
指とは違う質量のものが私の中を広げる。
全て入ったところで彼は目を閉じた。
一度小さく呼吸を整えて再び目を開けた。
安心させるような優しい笑顔をこちらに向けているがその瞳はギラついていた。
男の顔だ。

「動きます、ね...」

ゆるゆると腰を動かし始めた彼は本当に気持ちよさそうな顔をしていてそんな彼を見ているとこちらも嬉しくなった。

「つ、名前さんっ...やばいです、ほんと、気持ち良すぎて...っ」

私を抱きしめ何度も何度も角度を変えながらキスをして、こんなに愛情を感じるセックスを他に出来る人なんているのだろうかと思う程に、それ程彼は心と身体、全身を使って示してくれる。

「あ...っ、て、つ...や...くんっ...んんっ...!...す、きぃ...っ!」

「っ、僕も、...名前さんのことっ...好きです...っ!」

本当に気持ちがよくて呼吸も整わない。
弱いところばかり執拗に擦られて何度でも達してしまいそうで上手く頭が回らない。
力いっぱい抱きつけば愛しそうに私の名を呼んで、中を突く速度が上がっていく。

「名前さ、ん...っ!気持ちよすぎて、おかしくなりそうです...!」

「あ...っ、てちゅっ...んんんっ!ま、た...いっちゃい、そう...っ!!」

込み上げてくるソレを我慢できそうにない。
素直にそれを伝えれば彼は身体を起こして私の腰を掴んで激しく腰を打ち付けた。

「っ、情けないけどっ...僕ももう限界です...!」

「んっ...な、さけなく、なんって...っ、ない、からぁ...っ!」

一緒にイきたい、そう望んで彼の手を掴んだ。

「っ、...貴方って本当、に...っ!」

何度か打ち付けた後先に達した私に続いて彼は唇を震わせながら私の中で達した。
勿論ゴム越しではあるけれど中で彼のモノがどくんどくんと脈打っているのを感じた。
全て出し切ったところで彼は目を閉じてもう一度息を整えた。

「...ありがとうございます...すごく気持ちよかったです。
...名前さんのこと、満足させられましたか?」

彼は自身を引き抜いてそれを結んでティッシュに包んでゴミ箱へと放った。
そして私のソコも優しく拭いていく。
何度されても下手をすればそれは性行為そのものよりも恥ずかしいことではあるけれどいつも当たり前のようにおこなわれる行為、それは彼の愛情から行われる好意だと分かっているので静かに受け入れる。

「...満足しなかったことなんて一度もないよ」

「そうですか...嬉しいです」

彼自身も綺麗にしたところで私の横に寝転がって再び私を抱きしめた。

「ずっと触れ合っていられたらいいのにって考えます、時々...」

「...私も思うよ。そういうこと...」

私の髪を撫でながら目を細めた彼。
数えきれない程キスをして愛を囁かれて。

「貴方が可愛いことばかり言うのでいつも我慢するのが大変なんです」

「...別に、我慢しなくていいのに」

彼は困ったような顔で笑う。

「そんなことしたら毎日こういうことになっちゃいますよ」

ぎゅうぎゅうと抱きしめられる。
付き合い始めた頃は彼にこんな一面があるだなんて予想だにしなかった。

「...部活があるのに倒れちゃうね、そんなことしたら」

「...僕がもっと体力をつけられたら、きっと大丈夫ですよ」

前髪をかけあげられて額にキスを一つ。
唇ではないのか、と彼を見つめればもう一回付き合っていただけますか?と訊ねられた。
もういっぱいいっぱいではあったけれど私は首を縦に振った。

気絶するくらい全力で彼に愛されたい、この時の私はそう願ってしまったのだ。


end