怖がりの見たがり

「今日はお風呂一緒に入る」

彼女が僕の服の裾を握ってそう言った。
青い顔をして、今にも泣き出しそうな。
その原因を僕は知っている。

「そんなに怖いなら観なきゃよかったんですよ」

彼女の頭を撫でてそう言えば彼女は黙ったまま僕の身体に抱きついた。
そんな彼女が正直めちゃくちゃ可愛いと思う。

「じゃあお風呂ためてきますから」

そう彼女に伝えて浴室に向かう。
彼女は僕の服を掴んだまま着いてきた。
それはまるで雛鳥のように。

振り返って彼女の顔を見れば置いていかないで、そんな言葉が聞こえてきそうな、そんな顔をして僕を見つめていた。
正直可愛すぎて色々ヤバかった。







込み上げてくる感情を理性で抑えて一緒に浴室に入った。
僕から誘うことはあっても彼女からお誘いは初めてのことで内心浮かれている僕に怯える彼女は気付いていない。

「勝手に上がったり、しないでね?」

髪と身体を洗おうとする彼女は必死な顔でそう言った。
目を閉じるのが不安なのだろうか。

「そんなに不安なら僕が洗ってあげましょうか?」

彼女は一瞬考えて首を縦に振った。
以前そうしてあげようとした時は全力で拒否していたというのに。
多少複雑ではあるけれど今回はそれを追及するのはやめておいた。
彼女の髪と頭皮をを出来るかぎり優しく丁寧に洗う。
目を閉じている間不安に思っているのかいつも以上に僕に話しかける彼女、まるで子供のようだった。

「...少し離れてもらわないとちゃんと洗えませんよ」

綺麗に流し終えて今度は身体を、と思ったところで彼女は再び僕に抱きついた。
子供のような、なんて言ったけれど彼女の身体はもう大人と遜色なく、勿論それは僕も。

ましてや裸で、だからそんなことをされてしまっては理性を保つことが難しくなってしまう。

「大丈夫ですから、ね?」

石鹸を泡立てて彼女の背から腰にかけて撫でるように洗えば彼女はびくりと身体を跳ねさせた。

それが面白くて今度は脇腹を撫でれば彼女は小さく声をあげる。

そこで彼女はようやく僕から身体を離した。

「そ、それは自分でやる」

先ほどまで青い顔をしていた筈の彼女は今度は顔を赤くしている。
これはもうただ怯えている、というわけではないだろう。

「いいえ、今日は僕がやりますから大人しくしておいてください」

そう言って彼女の身体に触れる。
わがままを言いすぎたとでも思っているのか今日の彼女は素直にそれに従った。
普段であればもっと強く否定しているのに。

肩から腕へ、鎖骨から胸へ、お腹から脇腹へ。
洗い残しのないように丁寧に彼女を洗う。
時折溢れる彼女の耐えるような息遣い。
正直僕自身もどんどんヤバくなっていく。

「...名前さん」

耳元で名前を呼んでお尻をにゅるりと揉めば彼女は思わず小さな悲鳴をあげてしまう。
ゾクゾクとして今度は彼女の内腿を撫でれば呼吸は更に乱れたものに変化していく。

それに気付かないふりをして彼女の身体を丁寧に洗い続けた。
すると彼女は小さく膝を震わせた。
僕は彼女の足の間に自身の足をねじ込んだ。

彼女は僕のそんな行動に更に顔を赤くする。

「あったかいですね、...ここ」

「っ...!」

太ももで彼女のソコを擦り付ければ彼女はふらつきそうかけて慌てて僕に抱きついた。

「知ってますか?霊が性的なものを嫌うという説を」

彼女の身体についた泡をシャワーで洗い流していく。
その時触れた胸の頂はぷっくりと膨れ上がっていて、親指で擦るように洗えば彼女は小さく喘いだ。

僕のソレはもうとっくに立ち上がっていて、それに気付いた彼女は僕を押し返そうとしたけれど太ももで彼女のソコを擦り付ければ簡単に力が抜けてしまう。
浴室という場所は本当に声がよく響く。
彼女がどれだけ必死で我慢したところで溢れた吐息すら、隠すことを許さない。

「...お風呂...つかるの一旦やめてベッドに連れて行ってもいいですか?」

彼女の耳元でそう言ってそのまま耳に舌を這わせれば彼女は今日1番大きな声をあげてしまう。
彼女は倒れないよう必死で僕にしがみついて、少しの沈黙の後頷いた。

泡を完全に流し終えたところでシャワーを止め、浴室を出て彼女の髪と身体を拭いて、宣言とおり彼女をベッドに連れていく。

熱くなったソコは既にトロトロになっていて。
思う存分抱き合った頃にはもう彼女がなにかに怯えている様子はなくなっていた。
ただただ僕を感じて女の顔をしていた。












「もう2度とホラーは観ない」

「大丈夫ですよ。あれはあくまでも創作ですから」

あの後2人でお風呂につかった。
腕の中にいる彼女はもう怖がる様子は見せなかったけれど今日は先程のこともあってかすんなりと再び僕と一緒に風呂に入った。
少し拗ねたような顔でそんな事を言う彼女を後ろから抱きしめ頭を撫でた。

「テツヤ君はああいうの怖くないの?」

「まったく、というわけでもないですけどそうですね...どちらかと言うとあまり怖いとは思わないほうですかね」

彼女の肩に顔を乗せれば今度は彼女が僕の頭を撫でた。

「...なんか悔しいからテツヤ君が怖がるホラー探そっかな」

「...僕は別に構いませんけどそれ貴方にとって損しかないと思いますけど」

僕の言葉に彼女を言葉を詰まらせる。
何か手はないか、と頭を悩ませているのは先程までのことを考えないようにする照れ隠しなのだろうか。

「もし僕が怖くて仕方なくなったらまた今日みたいにえっちなこと沢山して気を紛らわせてくださいね」

「っ、や、やっぱりホラーなんてもう観ない!」

彼女の下腹部を撫でながらそう言ったら慌てて彼女はそう言った。
分かりやすい人だと思う。

「観たくなったらまたいつでも誘ってください」

そう言って彼女の肩にキスを一つ。

この日ホラーはもう観ないと宣言していた彼女が再びそれを観る日は今日からそう遠くない未来のことだった。


end