同じ高校へと進み彼女もバスケ部に入部してくれたこともあって久しぶりに彼女と一緒に登下校をする日々が帰ってきた。
中学を受験する時は殆どの子が地元の公立中学に進学する中で同じ学校に、なんて誘う勇気がなかった。
終わってみれば寧ろあの頃彼女と同じ学校へ通っていなくて良かったとさえ思う。
僕達同様互いの両親は元々仲が良く互いの両親から家族のような扱いを受けていたので遅い時間になったとしてもお互いどちらかの家にいれば小言を言われるようなこともないという環境は本当に幸運だった。
それでも両親に付き合う事になったという報告はした。
その際父から責任を持って行動しなさいという言葉には貰ったけれど2人の事にそれ以上口出しする様子もない。
きっと僕を信じてくれているのだろう。
彼女も当然僕と同じく両親に伝えた。
その翌日学校に行く時先に外で彼女を待っていると彼女より先に彼女のお母さんが飛び出してきて僕の手を握ってずっと仲良くいてあげてね、と満面の笑みで言った。
元々良い印象を持っていてもらえた事に心の底から感謝した。
家族同然、でもまだそうではない。
だからこそ今少し困っている事がある。
付き合い始めてから3ヶ月、久しぶりに一日中2人で過ごす事のできるオフ。
どこかにデートに、と誘ってみたけれど出かけるよりも2人っきりで過ごしたいというなんとも可愛いお願いを聞いて僕の部屋で過ごすことになった。
そんな彼女を迎入れ、キッチンに飲み物を取りに行くと母と祖母が出掛けることになったから、と2人分の紅茶とお菓子を用意してくれた。
仲良く過ごしてね、と。
つまり僕たちはこの家に本当に2人きりになったのだ。
僕も男だ。
そんな状況で彼女と2人っきり。
なにも期待するなという方が無理な話だ。
母が用意してくれた紅茶とは別に冷蔵庫から冷えたお茶を取り出しグラスに注いで一気に飲み干した。
そこで一度深呼吸して心を落ち着かれた。
気を引き締めお茶を持ち彼女が待つ自室へと向かう。
「お待たせしまし...」
必死で平然を装い自室の扉を開いた。
先程彼女が座っていた場所に彼女の姿はない。
彼女は僕のベッドの上ですやすやと眠りについていた。
「...なん、なんですか」
テーブルにお茶を置いてそっと彼女に近付いた。
ベッド際にしゃがんで彼女の顔を覗き込む。
昨日は眠れなかったのだろうか、彼女の目の下にはうっすらとクマができている事に気がついた。
もしもそれが今日のことで緊張しすぎて、だとしたら、なんて想像をした。
その真偽は彼女に聞いてみないと分からないのだけれど。
「...スカートで何やっているんですか」
今日の彼女は制服とそう変わらない丈のスカートを履いていた。
横向きで寝ていた為かスカートは下着が見えるギリギリの位置まで上がっていてを寝返りでもうてば簡単に捲れてしまいそうだった。
白くて柔らかそうな太ももに生唾を飲んだ。
いくら普段足を出しているとは言えこんな風にしっかりと彼女の足を見た事は無い。
堪えきれなくなってそっと彼女の太ももに触れた。
ゆっくりと手を滑らせてスカートに掛かる部分までいったところで手をとめた。
眠っている彼女に無断でそんなことをしてしまった自分に罪悪感に襲われるも手が彼女の太ももから離れてくれない。
駄目だと分かっているのに僕の意思とは無関係に手が普段は隠れているスカートの中に侵入した。
すぐに指先に彼女の下着が触れる。
一体どんな下着を着けているのだろうか想像を膨らませたところで彼女が身じろいだ。
慌てて彼女に触れていた手を離したところで彼女がごろんと仰向きになった。
先程隠れていた下着が露わになってしまう。
見てはいけないと思いながらもその目を逸らす事が出来なかった。
彼女の下着姿はなんて最後に見たのは当然小学生にも上がる前だ。
まだ一緒に昼寝をしたりお風呂に入ったりしていた年頃。
それからもう既に10年以上、僕も下着はあの頃履いていたようなものではなくなっているのだから当然彼女も同じだった。
人前では読めないような本やDVD、その中で大人の女性が身に着けていたのと同じような下着を履いた彼女。
恋人同士になった以上そういう事を期待していなかったと言ったら嘘になる。
でもしっかりと前準備をしてお互いの意思を合わせてから、と考えていた。
でも僕は今どうしようもない程彼女に不埒な感情を抱いてしまっている。
「(...僕とそういうことになるかもしれない、と名前も少しは考えてこの下着を身に付けてくれているのでしょうか)」
ベッドに膝を掛けるとマットレスが小さく軋んだ。
スプリングが沈んだことで彼女の身体は揺れた筈だけれど彼女が起きる様子は無い。
彼女の身体に触れぬよう覆い被さり彼女を見下ろした。
安心しきった顔で未だ眠る彼女。
「(僕がアレを既に用意していることを知ったら
貴方ははどんな顔をするんでしょうか)」
意思を尊重するという言葉に嘘はない。
でも下心はあった。
まだその時にならなければ出番のない、2人が愛し合う為に必要なそれが入っている引き出しを見て小さくため息をついた。
そんな時
「...テツヤ、くん...?」
彼女が眠そうに目を擦りながら僕の名を呼んだ。
突然彼女が目を覚ました事に僕は変に硬直してしまい動けなくなってしまった。
なんと言い訳すればいいか必死で頭を悩ませていた所で何も考えはまとまらず取り敢えず退かなければと考えた瞬間、それは彼女によって阻止されてしまう。
「テツヤ君...ぎゅー...」
彼女は僕の首に腕を回し思い切り抱き付いた事で彼女の身体の上でバランスを崩してしまった。
辛うじて押し潰すようなことにはならなかったけれど半身は殆ど彼女に触れてしまっている。
昔より大きくなった胸が、唇が触れてしまいそうな位置にある白い首筋が、僕とは違う女の子らしい香りが。
「っ、名前...っ」
身体中の熱がソコに集まっていく。
欲望が全部詰まって硬くなったものが薄い下着一枚で守られたソコに触れたいと訴えている。
「...もう、貴方って人は、...どこまで僕を...」
僕に抱き付いたまま再び眠ってしまった彼女の腕をなんとか理性で解いて横に寝転がった。
眠る彼女にキスをしたくて堪らなくなったが今そんな事をすれば歯止めが効く気がしないことなんて分かっていた。
自分と彼女に布団を被せ布団の中で彼女を抱きしめた。
いっそこのまま僕も寝てしまおうかと考えたけれどこんな状態で眠れる筈もなく僕はひたすら煩悩と戦う時間を過ごす事になった。
それから夕方になってやっと目を覚ました彼女に散々頭を下げられた。
本当に申し訳なさそうにしている彼女を見て怒る気などしなかったけれどそれでもこんな事が続いては僕の身が持たないと彼女に伝えると返ってきた言葉に僕は目眩を起こしそうになった。
「...別にテツヤ君にだったら襲われてもよかったのに」
その言葉を聞いた直後家の玄関が開く音がした。
おそらく母達が帰ってきたのだろう。
それにどうしようもない感情を抱いて僕が頭をベッドに押し付けて必死で悶えているのを見て彼女はごめんなさいと何度も謝った。
彼女が悪いなんて言いたくはないし思ってもいない。
寧ろ許可も得ずに既に勝手に彼女の肌に触れた罪悪感もある。
なんとか冷静さを取り戻す為にとっくの前に冷たくなった紅茶を一気に飲み干した。
彼女の分も、2杯分。
「...温かい紅茶、淹れてきますので、少し待っていてください」
彼女はコクンと頷いた。
部屋を出て玄関の方に向かうと父が靴を脱いでいた。
帰ってきたのは母ではなく父だったらしい。
事前に彼女が来ている事は伝えてあったので何かを言われることはないだろうと思ってとりあえずおかえりなさいと声をかけた。
父はただいまと言った後僕の顔をじっと見た。
「...節度はしっかり守るように。お母さんが名前さんも一緒にご飯を食べようと言っていたからテツヤは先に洗面所に行きなさい。
もうすぐ帰ってくるから」
父は僕にそう言って自室へと向かった。
何のことだと思いながらもキッチンにカップを置いて洗面所の鏡の前に立った。
そこで父の言っていた事の意味を理解した。
くしゃくしゃに乱れた自身の髪を見て。
勘違いだと全てを否定してしまうには今日の僕はあまりに煩悩にまみれていた。
そもそもそんなことをわざわざ父親に言い訳がましく伝えるのもあり得ない。
大きくため息を付いて鏡に写る自分を睨みつけた。
脳裏に残る艶かしい彼女の太もも、まだ感触を覚えている右手。
彼女の甘い誘惑の言葉。
「(次は絶対に抱きます)」
そう強い決意をしながら髪を整え彼女の為に新しい紅茶を淹れた。
end