「黄瀬君、凄く強くなってたね」
「はい...でも絶対に負けません」
海常が勝利したことにより明日の試合の対戦校が決まった。
テツヤ君はそうなることを信じていたのでまぁ順当と言えば順当だろう。
試合を見学した後誠凛高校は取材を受けた。
日向先輩とリコ先輩は面白いくらいに緊張していたけれどやっぱりテツヤ君はいつも通りだった。
記録に残らない程影が薄かったという彼が中学時代取材に慣れていたとも思えないのに。
まぁその辺は彼らしい。
その日は明日の打ち合わせをし、そのまま解散となった。
当然のように彼は私の部屋に来ていた。
そんなテツヤ君は別にまぁいいのだけれど私の膝に頭を乗せ寝転がってリラックスモードだ。
なんというかハードなスケジュールが組まれている大会の合間とは見えないくつろぎっぷりだ。
切り替えの良さに感心するくらいだ。
「もう帰ってベッドに入った方がいいんじゃない?」
「まだ嫌です。こっちの方が気持ちいいので」
テツヤ君はそう言って私の太ももを撫でた。
行動がストレートすぎてこちらとしては反応に困ってしまう、というか普通に恥ずかしい。
「...セクハラですよ」
「僕に触られるのそんなに嫌ですか?」
テツヤ君はそう訊ねて下から私を見上げて頬を撫でた。
別に嫌というわけではないけれど、やっぱり恋人である彼に触れられることは色々考えてしまって恥ずかしい、なんて言ったらむっつりだと思われるだろうか。
「最近ずっと桃井さんといちゃいちゃしている姿を散々見せつけられましたから...僕も負けていられません」
「そんなのに勝ち負けとかあるの?」
テツヤ君は身体を起こし私を抱きしめた。
そして耳たぶをかぷりと甘噛みした。
「っ!」
思わずぴくりと身体が跳ね声が出そうになったけれどなんとか抑えられた。
「名前さん」
一体どこから出しているのかというような甘ったるい声で名前を呼び何度も耳に唇を這わされ吐息が触れて。
背中がゾクゾクして力が抜けていく。
「っ...てつ、や、くん...!」
だめだよと彼の胸を押せば彼は素直にやめてくれた。
私の顔をじっと見つめて微笑んだ。
「耳、弱いみたいですね。良いことが知れました」
「っ、テツヤ君!あ、ちょっと!!」
そのままゆっくりと床に押し倒されてしまい彼は口の前で人差し指を立てて静かにしろと訴えた。
「今名前さんのお母さんに入ってこられたら名前さんも困ると思いますので、声は抑えてください」
だったら変な事をしないでほしいと言い返えそうとしたところで彼の顔が近付き口を塞がれた。
前されたような食べるみたいなキス。
顔を両手で固定され角度を変えて何度も、何度も。
「...名前さん...少し口、開けてもらえませんか?」
彼が何をしようとしてそんな事を言うのか、分からない筈もない。
驚いて目を開ければ鼻先が触れるくらい至近距離にいた彼と目が合った。
恥ずかしくて逃げ出したくなったけれど何故か彼から視線を逸らす事が出来なくて。
「...っ、あの...んっ...!?」
気まずくって彼を引き離そうとしたその時、うっかり言葉を発してしまった私の唇が塞がれそのまま口内に舌が捩じ込まれてしまった。
ぬるりとした感触が私の舌を絡まり吸い付いた。
緩く歯を立てられてはまた舐められて。
頭がだんだんふわふわとし始めたのを堪える為に彼の腕を掴んで縋ろうとしたけれどその手に力が入らない。
「...て、ちゅや...く...」
「......困りました、ね...」
ぐったりと何も抗えなくなくなってしまったところで彼の唇が離れた。
私を見下ろす彼の息は少し乱れていて熱が籠った目をしていた。
「...貴方ってこんなに...」
彼の指が首筋を撫で、そこに舌が這わされて。
「...貴方を抱く日、僕は冷静でいられる自信がないです...」
彼はそう言って私の上から身体を起こし私の手首を掴んで起き上がらせ未だ呆然としている私を抱きしめた。
「これ以上、僕を夢中にさせないでください、ね...」
自分の心臓の音がうるさくて仕方ない。
彼の腕に抱かれた私は何も言えずにただ彼の肩に顔を埋めたり
きっと彼の比ではないだろう。
その時が来たら、いったい私はどうなってしまうのだろうかと。
想像することすら恐ろしく思えた。
「...やっぱり今日は帰りますね。寂しいですけど。
...また、明日...」
これ以上は理性が保たないから、と言って額にキスをして。
これでは私の方が生殺しだ。
もしかして前の仕返しなのだろうか?
それにしたってあれだけでの事でこんなに感じてしまうなんて、この身体はどこかおかしいのではないかと疑ってしまう。
それとも彼が異様にそういう事が上手いのだろうか?なんて考えると更に身体が熱くなってしまったのでそれを振り払うように頭をぶんぶんと振って考えることを放棄した。
next