誰にも渡さない

「なにこれ」

下駄箱に入っていた真っ白な封筒、表には私の名前が書いてありそれが間違いなどではなく私宛のものであるということは分かる。
まさかラブレターとかいうものだったりするのだろうか、なんて一瞬考えたけれどそんなわけないかとすぐその疑惑は打ち消した。
でもだとしたら一体なんなのだろうかと思い恐る恐る封筒を開けて中に入っていた紙を慎重に取り出した。
取り敢えずカミソリレターなどではないことが分かりホッと一息ついた。
二つ折りにされていた紙を開いて私は驚いて固まってしまう。

まさかその手紙が本当にラブレターだったなんて。

差出人の名前も書いてある、確か隣のクラスの人だ。
以前テスト前にクラスメイトに頼まれて勉強を教えた事があった。
その時そのクラスメイトの友人だという彼が偶然教室に現れ一緒に勉強をし少し助言のようなことをした。
その時のテストで私が教えたところが偶然出て、私のおかげで普段より点数がよかったと後日嬉しそうに報告に来てくれたことがあった。

「...その後もたまに挨拶してくれたっけ?」

「どうかしましたか、名前さん」

「うわっ!!??」

突然背後から肩を叩かれて声をかけられたことに驚いた私はそれこそ漫画のようにオーバーなリアクションをとってしまった。
驚きのあまりうるさく鳴る胸を抑えて後ろを振り向けばそこにいたのは当然彼で。

「何か落ちましたよ」

「あっ、そ、それっ」

彼に驚いて床に落ちた手紙を彼が手に取った。
そしてその文面を見た瞬間彼はぴたりと動きを止めた。

「......お知り合いの方からですか?」

「...まぁ...一応?」

手紙の文面を読んだ彼の顔から表情が消えこちらをちらりと見た。
気まずくてパッと視線を逸らすと顔を掴まれ強制的に目を合わされた。

「て、テツヤ君、その、ご、...ごめん、正直あんまり親しくないというか、ほんと顔見知り程度の人からのもので...」

「...そうですか、僕は知っていますけどね。
というかどうして謝るんですか?」

再び手紙に視線を向けた彼は眉間に皺を寄せながらも大きく一度深呼吸をして私に手渡した。

「彼、貴方を見かける度に目で追って、その度に声を掛けようとていましたよ。だからきっとそうなんだろうなとは思っていました」

「え、あ...そ、うなん、だ...」

彼は不機嫌そうに言って私から顔を背けた。
正直私は本当に時々話すクラスメイトのお友達、くらいの印象しか持っていなかった。
その理由はかなり明確なものだった。

「...ごめん、私テツヤ君以外を男の子として意識したことなくって...気付けなかった...」

「...そんな風に言われたら怒れないじゃないですか...」

彼は私の言葉を聞くと強張っていた表情が少し和らいだ。
というかこれって私が怒られるポイントってどこなのだろうかと内心疑問を抱きつつも多分妬いてくれているだけなのだろうと察しそれを言葉にはしなかった。

「...テツヤ君、この手紙のお返事なんだけれど...テツヤ君とお付き合いしているのでって伝えても大丈夫?」

「どうしてそんな確認をするんですか、なんなら一緒に行きますけど」

「え、いや、さすがにそれは、なんというか...」

告白の返事を聞きにきたら彼氏同伴でお断りされるだなんて下手をすればトラウマになりかねない。
正直なところどうして私を好いてくれているのかなんてあまりよく分かっていないけれど今時手紙を書くという手法を取った人なのだ、多分結構本気で好いてくれているのだと思う。
その気持ちには応えられないけれど過剰に傷付けるようなことはしたくない。

「大丈夫だよ、ちゃんと大好きな恋人がいるのでお付き合い出来ませんって伝えるから...」

安心してねと言って手紙を元々入っていた封筒の中にしまった。
というか断るのは前提としてこの手紙はどうすればいいのだろうかという問題が出てきた。
私が考えている事なんてお見通しなのだろうか、彼は再び眉間に皺を寄せ私の手に持っている手紙を見た。

「...もしよろしければ僕が処分しておきますよ。
名前さんは少し優しすぎますから...」

優しいとは少し違う気がするのだけれど、でも想いに応える気がない手紙を大切にとっておくなんてのも妙な話だしここは彼に任せてしまってもいいかと思いそれの処分、という言い方はなんだか申し訳なくなるのだけれど。
でも彼の言葉に甘えることにして手紙を渡した。

「ありがとう、...じゃあ少し、お話してくるね?」

「...待ってください」

彼は私の手を取って引き止めると素早く引き寄せてキスをした。
触れていたのはほんの一瞬、でもここは学校の下駄箱で。
私は誰かに見られなかっただろうかと慌てて周りを見渡した。

「大丈夫です、誰も見ていません」

「...そ、っか...な、ならいいんだけど...」

多分彼が言うのだから本当なのだと思う。
きっと断るのだとしても本当は手紙をくれた男の子のところになんて言ってほしくないのだと、そう思っていることは容易に想像出来た。
私だって本音を言えば行きたくない。
受けるのではなくお断りをする為に行くだなんて。

「名前さん、今日お持ちではないと思いますのでこちらを着けていってください」

彼はそう言ってシャツのボタンを二つ外し、シャツの中で首に掛けていた指輪のネックレスを外し私の首に掛け直した。

「...貴方には僕がいるという、お守りです...」

どうしよう、なんだか凄く嬉しくて、恥ずかしい。
愛されていると、特別な好意を寄せられていると自覚してこんなに嬉しいと思うのはきっと彼からだけだと思う。

「ありがとう、借りていくね...」

首にかけられた指輪を手で握りしめて、少しでも安心してもらえるよう笑顔でそう言って彼と一旦別れた。













「...名前、さん...っ」

「、ま、って...てつ、やくんっ...!」

その日の放課後、彼の家に呼ばれ彼の部屋に入るなりすぐに抱きしめられて貪るようなキスを受けた。
家に呼ばれた時点できっとこうなるだろうということはなんとなく想像がついていた。
それはどれだけ彼が私のことを好きでいてくれるかということを私自身がしっかりと自覚しているからだ。

「今日は待てません」

腰から制服の中へと手を忍び込ませてそのまま背中を弄ってあっという間に下着のホックが外された。
私がぎゅっと彼に抱き付くと彼は私を抱いたままベッドに腰を掛けて私を向い合わせのまま膝の上に跨らせた。

「...この体勢、恥ずかしいよ...」

「...ならその恥ずかしがっている顔を沢山見せてください」

私の制服を中に着ていたインナーごと取っ払った。
そしてもう意味を成していない下着も取り払われ私の上半身は彼の前で晒されてしまう。
彼は遠慮無しに私の身体を見て触れて、胸を弄りながら再び唇を塞いだ。
私は本当にいつからこうなってしまったのだろうかと思うくらい彼に触られると感じてしまうからキスをしている最中でさえ声が漏れてしまう。
彼もそれを分かっているからこそ積極的に私を刺激する。

「可愛いです...こんな姿、一生僕以外の人に見せないでください...」

首筋にキスをして、今度は胸元に。
ちくりちくりと小さな鈍い痛みが身体に伝わっていく。
きっとシルシを付けられているのだろう。
私は彼の頭を抱きしめてただされるがままになっていた。
普段であればあまりしないでと言ってしまうことだけれど今は寧ろ嬉しくて。

「っ、てつやくん...すき...」

堪らず彼の耳にキスをすれば私を抱きしめる腕に力が込められた。
痛いくらい、苦しいくらいの彼の抱擁が心地よくて身体の中心から熱くなっていく。

「もっと言ってください」

胸の先端を吸われて舌で転がされながら腰をねっとりと撫でられた。
まだ上半身しか触られていないというのに私の体の奥の方がきゅうっと疼いてしかたない。

「テツヤ君好き、大好き...もっと、もっと触って...」

お願いと懇願するように彼の耳朶を吸って舐めて、歯を立てると彼もくぐもった声を漏らした。

「...勿論です」

彼は私の腰を両手で掴んで立つように促した。
私はそれに素直に従い彼の膝から降りた。
彼はすぐにスカートのホックを外しファスナーを下ろした。
スカートはぱさりと床に落ちそのままお尻に手を回されて最後の下着1枚も取り払った。

「綺麗です、何度見ても」

再び彼の膝に座らされて抱きしめられた。
彼はきっちりと制服を着ているというのに私は丸裸にされてしまった。
それが私の羞恥心を増幅させる。

「っ、てつ、あぁっ...!」

恥ずかしいから嫌だと言おうとしたところで唇を塞がれ私の中心に彼の指先が触れた。
その瞬間ソコはくちゅりと水音を立てる。

「こちらも本当にいつも可愛いですね...」

「てっ、んぐっ!?」

私が言葉を発しようとする度に唇を塞がれてしまう。
彼の指に弄ばれてソコはいやらしい音を立てられ続けてますます興奮して潤っていく。
彼の制服を汚してしまうかもしれないと思って身体を離そうとしたけれどもう片方の手で太ももを引き寄せられ更に彼に密着させられてしまった。

「あの手紙を出した彼も貴方とこんな事がしたかったんでしょうね。
でもそんなこと絶対に叶いはしませんが」

「っ、そんなはな、しっ、あっ...やっ、めて...っ!」

彼以外の男の子なんてそんな風に見たことがないのに、彼の腕の中にいるのに他の誰かとなんて、そんなこと考えたくなんてない。
彼がただ嫉妬して拗ねているのだということは分かるけれどそれでもそんな話を聞きたくなくて嫌だと言って彼の顔を両手で包んでキスをした。
多分私はそんなに上手じゃないから彼にとって気持ちいいキスが出来ているとは思えないけれど、それでも彼を好きだという気持ちは沢山込めた。
そうしている間も執拗にソコを擦られ、私の中に彼の指が押し込まれた。
多分もういきなり2本入っている。
でも痛みなんて感じないくらい私のソコは潤っていた。
中の気持ち所を擦られて思わず彼の唇から離れてしまうと今度は彼の方からキスをされた。
私がするよりずっといやらしくて気持ちが良い大人のキスに私のソコがきゅうきゅうと収縮して彼の指を締め付けた。
それを自覚すると更に恥ずかしくなってもう洪水状態になっていた。

「ああ、これは後で洗濯しないといけませんね」

彼の言葉を聞いて下を見ると彼のズボンは私から出たモノが溢れてシミを作っていた。
それを目視で自覚させられたことが恥ずかしくて涙が溢れてしまう。

「大丈夫ですよ、もう一着予備がありますから」

彼はそう言って溢れた私の涙を舌で舐めた。
それでもボロボロと流れる涙を何度も何度も、繰り返し舐めて。

「そんなに泣かないでください。全部僕のせいなんですから大丈夫」

彼は私を膝から下ろしてベッドに寝かせると制服を脱ぎ始めた。
ジャケット、カッターシャツ、インナー、ベルトを緩めてズボンを脱いで、最後に下着を脱ぎ捨て私の上に覆い被さった。

「...意地悪な事をしましたね。すみません、僕全然余裕がないんです。貴方の事になると...」

彼は優しく頬を包み込んでキスをして、私の目を見つめた後額と額をくっつけた。

「本当は断る為とはいえ貴方を他の男のところに行かせたくなんてありませんでしたしあの手紙もその場で破り捨ててしまいたかったです」

再び身体を起こし、立ち上がった彼のモノにゴムを着けて私の太ももを大きく開かせた。

「僕がどれたけ貴方を好きで、どれだけ嫉妬深いか、名前さんはずっと昔からご存知ですよね」

私の中に彼のモノがゆっくりと押し込まれていく。
痛くはないけれどまだこの圧迫感にはまだ慣れる気配がない。

「片思いが終わり貴方とお付き合いすれば少しはマシになると思っていました。
貴方と一つになれたらきっと安心出来るのだと思っていました」

「あっ、そこっ...!だめ...っ!!」

私の気持ちいい所だけを擦られてもう簡単に達してしまいそうになった私は彼の腕を掴んで必死に耐えた。

「でも全然駄目です、多分一生こうなんだと思います」

でも彼はお構い無しでソコを責め立てて、結局私の我慢なんてあっさりと破られてしまいそのまま簡単に達してしまう。

「っ、僕のモノで気持ちよくなる貴方を見ていると嬉しくて仕方ないです。
僕自身が達するよりもずっと気持ちが良くなるような、そんな気がします」

「ああっ...!ま、って...!いまいっ、たばっかだからぁっ、あっ、やだっ...くるしっ、い...っ!」

達したばかりのソコをそのまま何度も打ちつけられてその刺激が強すぎて必死で逃げようとするけれど彼はがっちりと私の腰を掴んでそれを許してくれなくて。

「駄目です、もっと僕で感じて、っください...っ!」

もうそれが気持ちいいのか分からない、それ程強すぎる刺激。
それでも彼は逃げ出すことを許してくれないから私はただそれを甘受するしかなくて。

「てつ、っやくっ...!やだっ、!こわ、い...っ!」

またすぐにイかされて、それでもまだ彼はそれをやめてくれなくて。
何度も何度も、もう何も考えられなくなってしまって。
再びボロボロと流れる涙を彼は指で拭って。

「っ、僕だけですっ!貴方のことこれだけ想って愛しているのは世界中で僕しかいませんっ...!」

力いっぱい抱きしめられて1番奥でどくんどくんと吐き出されたもの。
彼がどれだけ私を必要としてくれているか、そんなのとっくに分かっているし彼に負けないくらい私も彼を、テツヤ君を必要としているのにそれをどうやったら全部伝えられるか分からない。
だってこんなに誰かに愛されたことなんて今まで経験した事が無かったから。
正直なところなぜそこまで私を必要してくれるのかも分からない。

彼にお守りだと言われ首にかけられた私が彼に贈った指輪が彼と私の鎖骨に挟まれて少し痛い。

「...名前、さん...」

抱き合ったまま、甘えるように縋るように耳元で私の名前を囁いた。

「...すみません、でし、た...」

欲をぶちまけた事で、なんて言い方はよくないかもしれないけれどどうやら彼は少し落ち着いたらしい。
それにホッとした私は彼の頭を撫でた。
するとゆっくりと顔を上げ私を見下ろした。

「貴方のこと疑ったりなんてしていない筈なのに、時々不安で仕方なくなって...」

目尻に唇を寄せて、瞼に額、鼻から頬、そして唇へと。

「...大丈夫だよ、不安な時は全部教えて。
テツヤ君が不安に思ったこととか何も知らないままの方が辛いよ」

私が他の人に告白されるなんてもう2度とないかもしれないけれど、そうでなくてもまたこうして彼が不安になった時私はどうしてあげるのが彼の為になるのだろう。

「でもちょっと怖かったから、今度は先にお話しよう、ね...」

「......努力、...します...」

その頃にはもういつもの彼に戻っていた。
彼のほっぺたを摘んでぐにーっと引っ張ると彼は痛いです、と言って眉尻を下げた。
振り払おうとしないのはきっと私に罪悪感があるからなのだろう。

「...テツヤ君、その...そろ、そろ...」

「......駄目、ですか?」

かなり落ち着きはしたものの繋がったまま離れようとしない彼の胸を押そうと手を添えると彼はその手を握りまるで捨てられた子犬のような目で私を見つめた。
まだ離れたくないと彼の目が訴えかけている。

「...一回出さなきゃ駄目だよ...」

それでもその場の空気に流されるのはお互いの為にならないから、と訴えかけると彼はしぶしぶ私から自身を引き抜いた。

「...着け直してもう一度って...」

だめですか、と。
私は何も言わずに彼を見上げた。

「...すみません、我儘を言いました」

出来ることなら彼のお願いを聞いてあげたいとは思うけれどもう私の体力は限界を迎えていた。
だからごめんね、と彼の頬を撫でると謝るのは僕の方です、と言って再度謝罪をしてくれた。

「テツヤ君、私テツヤ君っていう大切な大好きな彼氏がいるからって、言ってお断りしたからね」

「...はい、あの、本当に名前さんの事を疑っているとか、そういうのじゃないんです」

ずしりと重さを感じる腰をなんとか起こしてすみませんと何度も謝る彼を抱きしめた。

「分かってるよ、仕方ないんだよね」

よしよしと彼の頭を撫でると恥ずかしそうに彼は目を閉じた。

「こんなこともう滅多にないとは思うけど、でもどれだけ不安になっても私の事は信じていてね?...約束」

小さな子供がするように彼に小指を差し出すと彼は私と小指を絡めてくれた。
根っこはいつまでも変わらない、素直な可愛い男の子のまま。
まぁ少し愛情表現は激しくなってしまったけれどそれは彼が変わったのではなく彼のそういう一面を知らなかっただけなのだと思うことにした。
今思い返せば付き合う以前からあれだけキスをするのが大好きだったのだから傾向はあったのだと思う。

「今更なんですけど制服って洗濯機で洗っても大丈夫なのでしょうか」

「...まぁ、乾燥機かけなきゃ大丈夫だと思うから部屋で乾かしてね」

一応彼の制服を拾ってタグを見るとソフト洗い可能のマークは付いていた。
それにしてもやっぱりこれだけはちょっと意地悪が過ぎていたと思う。

「制服はテツヤ君のご両親が働いて稼いだお金で買ってくれたものなんだからね。
クリーニングも出すってなったら結構時間もお金もかかるんだから私に恥ずかしいことする為だけにこういうことするのもう無しだからね」

そう言って私が汚してしまった彼のスラックスを押し付けた。
汚したのは私だけれど汚させたのは彼なのでもう任せることにして身なりを整えた。
彼ものそのそと部屋着に着替えていく。

「すみません、でも...物凄く可愛かったんです...」

「...テツヤ君そう言えば私がなんでも許すって思ってない?」

「ち、違います!本気で思っています!」

今日は本当に疲れてしまったのでもう家に帰ってお風呂に入って早く寝ようと思って鞄を持とうとしたその時、私の手は彼に握られた。

「...あと10分、5分だけでもこうしていてくれませんか?」

そう言って再び抱きしめられた。
今度はほんとうに優しく。

「...腰痛いからさすって」

「...本当に申し訳ありませんでした」

私のお願いを聞いて優しく腰を撫でられると先ほど沸いたもやもやももういいかという気分になった。
私は彼に負けず劣らず彼のことが好きなのだと思う。
だってこんなにも暴走してしまう彼の事が愛しくて仕方ないのだから。


end