「テツヤ君...まだ怒ってるの?」
「別に怒ってません、拗ねてるだけです」
自分のことながら僕は本当に器が小さいのだと思う。
彼女が何も悪くないことなんて分かっているのに、それでもどうしても数時間前の光景が忘れられなくてモヤモヤした気持ちが晴れない。
「...火神君に変な下心とか絶対ないから大丈夫だよ」
「分かってます。でもそういう問題じゃないんです」
今日は体育祭だった。
運動部は大抵リレーに出ることになった、それは僕も例外ではなく。
部活対抗競技では3位以内に入れなければ明日の基礎練3倍という恐ろしい罰ゲームが待っていたので部員一丸となってなんとか難を逃れる事が出来た。
問題はその後に行われた借り物競争だ。
火神君が選手に選ばれていたのだけれど火神君はお題を見るなり彼女の方に真っ直ぐ向かい僕をチラリと見たあとこれはお題で出たから仕方なくだからなと叫ぶように言った後彼女を立ち上がらせ膝の後ろに片腕を添えそのまま彼女を抱き上げたのだ。
それは所謂お姫様だっこというもので。
僕も彼女も驚いて言葉を失ってしまっている間に火神君はグランドを猛スピードで走り抜けて無事一着でゴールを決めた。
僕が唖然としている中先に帰ってきた彼女と目が合うと彼女は気まずそうに笑った。
「火神君休み時間は殆ど寝るか食べてるかですから、名前さん以外この学校で他に女性の知り合いはカントクしかいませんからね」
「うん、そう思うよ...」
火神君が引いたお題は異性の友達をお姫様だっこで連れてくる、といったものだった。
だから彼女が選ばれたのだけれど。
僕がもやもやしているのは火神君にというよりもお題を作った人に対してだ。
こんなのもし体重差が殆どなかったり逆転していたりしている人が引いていたらどうするつもりだったのだろう。
する方もされる方も二重の意味でダメージを受けることになった筈だ。
配慮に欠けるのではないだろうか、と。
...まぁ、そんなのは詭弁で。
実のところ本心では火神君に少し嫉妬していますよ、はい。
そんなの当たり前じゃないですか。
「2人がサマになっていたから、だから少し悔しかったんです」
彼女の体重を知らないのではっきりとは分からないのだけれど火神君と彼女の体重差は少なくとも30kgはあって、それでいて火神君はあの体格だ。
あまりにも軽々と彼女を抱き上げなんの負荷もかかっていないと言わんばかりに走る火神君は凄く頼もしく見えた。
そして彼女は落ちないように、火神君の負担にならないように首に腕を回し抱き付いていたのだから。
そんなのを見せられて何も感じない筈がない。
「...私はテツヤ君と付き合ってるのにテツヤ君の口から火神君とお似合いだった、みたいなこと言われるのちょっと悲しいんだけど」
「お似合いだなんて言ってません!」
彼女は僕の言葉に同じことだよと返した。
僕は本当に子供だと思う。
だって彼女の言っていることは何も間違っていないのだから。
折角彼女と2人で帰っているというのに僕はこんなことばかり考えてしまう、そんな自分が嫌になる。
「...すみません、ただの八つ当たりです」
「...別にいいけど...火神君以外にお姫様抱っこしてもらったのなんてテツヤ君しかいないわけだし...」
彼女の言う通り僕だって何度か彼女を抱き上げたことはある。
その全てが彼女をベッドに運んだ時なのだけれど。
...なんというか思い返せば思い返す程僕は彼女に対して我儘というかやりたい放題してきたのだなと妙なタイミングで気付かされてしまった。
わざわざそうして運んだのはいつも彼女が嫌がる、というわけではないけれど少し抵抗した時ばかりだからだ。
ベッドに運び深いキスを交わすところまでいけたら彼女が折れるということを分かっているから。
「...僕って最低な男ですね」
「え、なに?どうしたの急に...」
思いもよらぬ所で自分の嫌なところに気付かされて勝手に落ち込む僕に彼女はわけが分からないといった顔を見せた。
これも正しい反応だと思う。
僕は彼女の事が好きだから、だから本当に誰よりも大切にしてきた自覚も自信もある。
でも彼女と身体を重ねるようになってからは少し暴走気味であることも自覚していて、その度に後悔と反省を繰り返している。
でもいつもそんな僕を彼女が許してくれるから。
「...名前さんって僕のどういうところが好きなんですか?」
「...ほんとどうしたの?」
コロコロと話の変わる僕に彼女も困惑気味だ。
無理もない、僕だってなんで今こんなことを彼女に聞いてしまったのだろうかと思っているのだから。
「すみません、なんでもないです」
そんな話をしながら歩いた帰り道、お互いの家の前に着いた所で顔を合わせさよならを言って家に入ろうとした。
でも彼女が僕の手を握りそれを引き止めた。
「...名前さん?」
「...昔から誰よりも優しくて、でも負けず嫌いで頑張り屋で、決めたらとことん諦めずに努力するとことか...私にはちょっと我儘で意地悪なところも、その...全部好き、だよ...」
彼女はそう言って俯いた。
これは多分照れているだけだと思う。
情けない僕の質問に彼女は照れながらもちゃんと考えてくれていたみたいだ。
...なんだか凄く嬉しい。
「じゃ、じゃあ、また明日ね」
気まずさに耐えきれなくなったのだろう、彼女はすぐに隣の自宅へと向かおうとしたけれど僕は彼女の手を掴みそのまま引っ張って抱きしめた。
彼女は振り返って僕の顔を伺った。
「...砂埃が結構...なのでシャワーを浴びてから、後でお邪魔させてもらってもいいですか?」
「...う、うん...いいよ」
すぐ至近距離で恥ずかしそうに頷いた彼女を見て今すぐにでもキスをしたくなったけれどそれをぐっと堪えて、彼女を解放するとじゃあ後で、と言い残し自宅へと入って行った。
その彼女を見送った後僕も自宅に入る。
一刻も早く彼女の元へ行きたいという焦りからそのまま真っ直ぐ浴室に向かい制服を脱ぎ捨てシャワーを浴びた。
熱いお湯を浴びながら彼女の事を考えていると既に身体の一部が熱を持ち始めてしまっていた。
どうせなら一緒に浴びたいと言えばよかったなんて後悔までして、本当に僕はどうしようもないと思う。
目を閉じれば火神君に抱き上げられた彼女の姿を思い出しまた少し複雑な気持ちになったのだけれど。
「...興味はあるんですけど多分僕では長くは保たないんですよね...」
自分でも品がないけれど彼女と愛し合う上で少し興味がある体位が頭の中に浮かんで、でも現実問題僕では厳しいということも分かっているからこそ叶わないと諦めのため息をついた。
「座った状態での...だったら名前さんは許してくれますかね?」
それならなんの問題もなく出来る筈だけれど照れ屋な彼女がさせてくれるかは微妙なところだ。
でもまぁ多分僕がお願いしたら大抵のことは多分聞いてくれると思う、なんて今の今で考えた僕はやっぱり最低な男なんだと思う。
今頃彼女もシャワーを浴びているのだろうと考えていればソレは完全に勃ち上がっていた。
「今日はこのままがいいです」
「...え?」
たっぷりと彼女を愛でた後僕の膝の上で達してぐったりと僕にもたれかかっている彼女にそう伝えると意味を理解できなかった彼女はキョトンとした顔をした。
「...今日はもうシないってこと?」
「いえ、違います。...この体勢で繋がりたいなって、...ことです...」
彼女にそれを伝えると僕の言っていることを理解した彼女は一気に顔を赤らめた。
でも少し狼狽えながらも分かった、と返事をしてくれたので僕は自身のゴムを装着した。
この体勢でということは彼女の方から挿入してもらわなければならないという事でもある。
挿れやすいよう後ろに身体を逸らすと彼女は僕の根本を手で支え中心に当てがいゆっくりと腰を下ろした。
「んっ...はいっ、...た?」
「はい。...いつもより深く入っている気がします」
繋がった状態で彼女を抱きしめるとナカがキュッと締まった。
こういうところが堪らなく可愛いんです。
「名前さん...」
いつもとは違い今は彼女の方が視線が少し高い。
彼女を見つめ名を呼ぶと彼女の方からキスをしてくれたので僕もそれに応え濃厚なキスを返した。
彼女の舌を刺激する度にナカごきゅうきゅうと収縮して僕のモノを締め付けて、ぎこちなく彼女は腰を動かし始めた。
「気持ちいいです、名前さん...」
「っ、あっ...!」
そう伝えると彼女は僕の肩を掴んで先程よりもしっかりと腰を動かし始めた。
嬉しくて外から敏感な突起を刺激してあげると一際大きな喚声をあげた。
「可愛い、です....本当に...!」
「あっ、ひゃあん...っ!!」
堪え性がない僕は彼女の腰を掴んで下から強く突き上げた。
彼女は腰を逸らしガクガクと震えた。
彼女が再び達してしまったのだということをすぐに理解した。
他の女性と経験があるわけではないから勿論確信はないのだけれどやっぱり彼女はかなり感じやすい類の女性なんだと思う。
息を切らしている彼女のソコに再び指先で触れるの悲鳴のような声を上げた。
それにぞくりとして我慢出来ずに彼女を突き上げれば彼女は僕にしがみついた。
「てつ、っや、く、...あっ、だ、だめっ...!気持ち、よすぎてまたぁ..あっっ!やだっ...!」
すぐにまた達した彼女にもう僕も限界を迎える。
「っ僕も、もう、限界です...っ!」
ナカを何度も締め付けられて僕ももう我慢の限界を迎えそのまま激しく突き上げれば間も無く僕も達してしまった。
僕が達する瞬間彼女は目一杯僕に抱き付いて、より深い場所で達することが出来たことが凄く嬉しくて。
「...大好きです...名前さん...」
彼女を抱きしめたまま後ろに倒れ込んだ。
その弾みで繋がっていたソレは抜けてしまったのだけれど、それでも彼女の重みを全身で感じられる事が今はとても幸福に思えた。
「僕ももっと筋トレ頑張ったら火神君くらい余裕で名前さんを抱き上げて走れますかね?」
「...テツヤ君、他の先輩達と比べたら少しは華奢かもしれないけど十分鍛えてると思うよ...?」
彼女はそう言って僕の二の腕を揉んだ。
そして硬い、と一言。
なんだか少しいやらしく聞こえてしまったのは僕がおかしいんですかね。
同じように彼女の二の腕を揉んでみると相変わらずびっくりする程柔らかくて、ずっと揉んでいたくなった。
「...私テツヤ君の体型好みだから...だから無理に鍛えなくても今のままの方が、その...好き、だよ...」
バスケの為なら別だけど、と言って顔を伏せてしまった。
そんな風に言われてしまえばもう僕ももういいかと思ってしまった。
「...僕も名前さんの身体大好きですから...勿論身体だけじゃないですけど。そうですね、無理はしないようにします」
彼女が今の僕が好きだと思ってくれているのなら、彼のように軽々と彼女を抱いて走ることが出来なくてももう別にいい、と。
そう自分を納得させた。
end