「まだ拗ねてんのか?」
「そりゃあ拗ねもするよ!」
ベッドの上で彼の大きな身体に後ろから抱きしめられて、揶揄うように私に訊ねた彼の声はとても優しくて気が抜けてしまいそう。
でも今はそうしていたくなくて意地を張っているのだ。
自分のことながら馬鹿だと思う。
本当にくだらない、張る必要のない意地だと、そんなの分かっている。
「俺はお前の事妹だなんて思ったことねぇよ」
彼がそんな風に思っていないことなんて分かっている、というか思っててこんなことしてるなら普通に問題がある。
本当についさっきまで私達は熱く肌を重ねていたのだから。
「せめて身長がもう少し高ければそんな風に間違えられたりしなかったのかな」
「さぁな、てか別にいいだろ、他人にどう思われたって」
ぐずる子供を慰めるみたいに彼の大きな手が私の頭をわしゃわしゃと撫でた。
正直凄く嬉しい。
こういう事をされるのが嫌ではない私の精神面にも問題があるのかもしれない。
そう言った部分は見た目にも影響するとも言うし。
彼は年上のお姉さんにやたらとウケが良い。
彼と付き合っている私だからこそその理由は分かるのだけれど、でもそれは別として彼氏がモテることに喜ぶ女の子はそういないと思う。
今日なんて私がいる上でナンパされたのだ。
その人は私に気付くと妹さん?だなんて言って笑ったのだ。
思い出しただけで腹が立つ。
「大我の横に立っても見劣りしない女の子になりたいんだよ」
「なんだそれ、誰が見劣りしてるなんて言ったんだよ」
彼はそう言って私のこめかみにキスをした。
海外暮らしが長かったからなのだろうか、彼は唇以外にも普段から沢山キスをしてくれる。
最初はなかなか慣れなくていつも間抜けな態度をとってしまっていたけど彼はそんな私の反応を見るのが好きらしく更に面白がってするようになったものだから。
だから今ではだいぶ耐性がついた。
「何度でも言ってやる、俺は名前の事妹だなんて思ったこと一度もねぇ。...女だと思ってるよ、俺だけの...」
彼の手が今度は私のお腹を撫でてより近くに抱き寄せられた。
私と違い鍛えあげられた硬い身体が背中に、お尻に触れてぞくりとした。
彼の男らしい身体にだってもう何度も触れているというのに、こちらはまだ当分慣れそうにない。
彼をナンパしてきたお姉さんも彼の男らしい身体に惹かれたのだろうか。
彼の魅力は勿論身体だけではないけれど、でもあのお姉さん達は彼がどんな男の子かなんて、見た目以外知らないのだから。
「大我の素敵なところ1番分かってるの私なんだからね。...氷室さんには負けるかもしれないけど...」
「なんでそこで辰也が出てくんだよ。辰也と名前は全然違うだろ」
彼の言いたいことは分かる、でもどうしたって過ごしてきた時間が違うから。
私は彼の兄のような存在でもある氷室さんにすら嫉妬してしまうのだから、めんどくさい女の子だってことは自分が1番よく分かっている。
「...じゃ他の奴とはしねぇことしてもいいか?」
耳元で低い声で囁かれた言葉に身体が震えた。
こういうこともわざとやっているんだろうかと思うけど多分違う、彼は無意識でやっているのだと思う。
「...さっきもシたのに?」
「あんなんじゃ全然足りねぇんだよ。名前が可愛いせいでな」
彼が囁くだけで私の身体は痺れてしまう。
私の全てが彼に侵略されているようなそんな感覚。
こんな事を彼に言えば笑われてしまうのだろうか。
「触って、沢山...」
私が触れられたいと思うのは彼だけだから。
振り返り彼の顔を見ると嬉しそうに笑っていた。
その笑顔は少し幼い、でもどこか色っぽい、そんな顔。
彼のそんな顔を知っているのが私だけだったらいいのに。
私も彼にしか見せない顔を沢山持っている筈だから。
彼も同じだといいのに、そんな事を願いながら今日も彼の身体に溺れていく。
「私も腹筋とか頑張ろうかな」
「触り心地いいから今のままでいろよ」
「...お肉付いてるってことじゃん」
「柔らかいってことだろ?俺は好きだけどな」
end