「...というわけで、名前さんと、結婚することになりました」
静かな喫茶店に、僕の穏やかな声が響く。
彼女との結婚が決まり式も上げることになったので気の知れた学生時代の友人達に集まってもらいその報告の場を作らせてもらった。
僕が彼女を愛してやまないことはみんな知っていた。
だから簡潔な説明だけしたのだけれど一瞬場が静まりかえったその直後。
「ハアアアアアアアアア!?」
「け、結婚だと?またいつもの妄言ではないのか?」
「...うそ、だろ......?」
「ちょ、ちょっと待て、それ、どういう意味だ、テツ......!」
一斉に立ち上がる元帝光中バスケ部、キセキの世代の面々。
その反動でテーブルの上に置かれたドリンクが波打って、グラスの中の氷がカランと音を立てた。
「黒子っち......まさかとは思ってたけど、あんなに堂々と名前っちをずっとストーカーして、そんな黒子っちと名前っちの間に愛に芽生えちゃった、ってことっスか!?」
黄瀬君は目を見開いてそう言った。
驚く気持ちも正直わかるところもある。
それにしたって散々な言われようすぎるとは思うけど。
僕は彼女をストレートに好きだっただけなのに。
そして人より行動力があっただけだ。
「はい。僕が彼女への想いが溢れて限界を迎えて彼女を監禁したいと言ったら、結婚しようと言われました。彼女の方からプロポーズしてもらったんです」
僕が何も悪びれずにそう答えると皆がまた一切に話始めた。
「いやいやいや!!逆だろ!?普通は逃げるだろ!?頭の構造どうなってんだあの馬鹿!?」
青峰君が頭を抱えてそう言った。
彼女は君より賢いのだからそんなことを言うのはやめてほしいです。
「ふふ...まさか黒子に 監禁するより結婚して、なんて返す女性がこの世にいるとはね...やっぱり黒子が好きになる女性は只者じゃないね」
赤司君はそう言って、隣で固まっていた紫原君がパフェを食べる為に持っていたスプーンを落としかけていたのに気付くと慌ててキャッチした。
「何が怖いかと言うと...それ聞いて素直に結婚しますと報告しにきたお前が一番怖いのだよ...」
緑間は眼鏡をクイ、と上げて震える手でお茶を飲んだ。
一体何に怯えているんだろうか。
彼の考えていることは昔からよく読めない。
「名前さんは、僕のすべてを受け入れてくれたんです。ストーキングも、少し偏った愛情も、彼女の事になると病んでネガティブになってしまう部分も」
「(((いやいやいやいや!!それ受け入れたんじゃなくて、上回ったんだよ狂気が!!)))」
皆が心の中で叫んだ声が聞こえた気がする。
でもそこはやっぱり付き合いが長い友人達だ。
僕への理解の速度も早かった。
「...でも、まぁ......テツが幸せそうなのは、悪
くねぇな。自分のもんになったらテツも少しは落ち着くだろ」
青峰君がボソッと呟くとその場の空気が少し和らいだ気がする。
「それにあの子、...名前ちゃんってちょっとおかしいくらいポジティブな子だし、黒子っちの闇を無効化してくれる希望の光みたいな存在なのかも...」
確かにその通りかもしれないです。
彼女は僕にとって光と言っても過言ではありません。
勿論青峰君や火神君とは意味合いが違いますが。
「黒子、彼女に飽きられないようにしろよ。...万が一振られたりしたら本当にヤバそうだからな」
「黒ちんも名前ちんも既にヤバいっしょ〜」
「はい。僕は、命を賭けて彼女を愛します」
晴れて結ばれた僕の何がヤバいのかはよく分からないけれど、皆僕達のことを応援してくれているということは分かった。
僕の真っすぐな返事を聞きこの場にいる元チームメイト皆が再びどよめいた。
それは先程とは違う、暖かい空気で。
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