僕の愛が大きすぎてすみません

「まだ腰が痛い」

「...すみません。その...少しはしゃいでしまいました...」

2泊3日の新婚旅行中、僕は少しはしゃぎすぎてしまった。
こんな僕を受け入れてくれた彼女に楽しい思いをしてほしくて全力でプランを立てたというのに。
出会ってからの期間は長かったけれど結婚までは一瞬だったから、だから彼女とはまだそういう事はしていなかった。
特別な場所で、誰にも邪魔をされないように...と。
二人にとって特別な日になるようにと。

「今日は何もせずにゆっくり休んでください。食事も僕が用意します、して欲しいことがあればなんでも言ってください。全て叶えます」

多少予定は狂ってしまったけれどそれでも8割型は計画通りに行動出来て彼女も楽しんでくれたのだけれど。
家に帰った瞬間気が抜けたのか彼女はソファーに倒れ込んでしまった。

「いいの?じゃあ夜ご飯は鍋がいい。鶏ももと白菜とお豆腐入れて〜」

彼女はソファーに寝転がったままそこに置いてあったクッションを抱きしめて僕を見上げてそう言った。
自然と上目遣いになって、それが凄く可愛くて。
昨日一昨日と散々彼女を抱いたというのに、そのせいで今彼女がこうなっているというのにまた彼女と触れ合いたくなってしまった。
クッションなんかより僕を抱きしめてくれたらいいのに、そう思って彼女を見つめていると僕をじっと見たあと手招きした。
もしかして、と淡い期待を胸にしゃがむと彼女は僕の首に抱き付いてキスをしてくれた。

「今甘えたいって思ったでしょう?」

「...名前さんはどれだけ僕を夢中にさせるんですか!!」

嬉しさのあまり勢いよく彼女に抱きつけば彼女は苦しそうな声を上げた。
正直そういう声もまた好きなのだけれど、でも今は彼女の身体を労わらなければという気持ちの方が大きいのですぐにその腕を緩めた。

「それではお鍋の材料の買い出しに行ってきますね。何かデザートはいりますか?お鍋ですしアイスとか...」

「アイスはテツヤが食べたいんじゃないの?でもいいね、アイス。旅行中は贅沢でカロリー高いもの食べ過ぎちゃったから少し控えなきゃいけないんだけど。...あ、じゃあテツヤと半分こすればいっか!テツヤの好きなアイス買ってきてくれる?」

確かに旅行中は普段より沢山食べたけれど多分その分のカロリーは夜消費したんじゃないかと思う。
彼女もあれだけ感じて声を上げていたし。
...まずい、また思考がそちらに向いてしまった。
考えないように頭をぶんぶんと左右に振った僕を彼女は不思議そうな目で見た。

「わ、わかりました、では少しだけ待っていてくださいね。宅急便や来客の予定はありませんからインターホンが鳴っても応答しなくて大丈夫です!誰も入れずにいい子で待っていてくださいね?」

そう言って彼女の頭を優しく撫でると彼女は苦笑いを浮かべた。

「子供じゃないんだから...でも分かった。テツヤも変な人に着いていっちゃだめだよ?」

今度は彼女がよしよしと言って僕の頭を撫でた。
僕だって子供じゃないから大丈夫だと返した。
でも彼女はこう続けた。

「テツヤの持ってない私の写真あげるからって言われても着いていかない?」

「......」

暫しの沈黙、まさか彼女からそんな言葉が返ってくるとは思わなかった。
僕は必死で考えて考えて答えを出した。

「......変質者が出たと警察を呼んでお巡りさんと一緒にその写真を確認します...」

或いはストーカーとして、いや、まぁ僕も彼女のストーカー染みたことをしていた時期もあったけれど。
まぁ自分ではそんな風に思っていないけれどあまりにも周りが僕をストーカー呼ばわりしていたものだから仕方なく認めているだけだ。
僕は至って真剣に彼女を愛していただけですから。

「まぁテツヤは瞬発力もあるしわりと力もあるからいざとなったら逃げられよね。でも早く帰ってきてね?」

彼女がそう言って僕の頬を撫でたので僕はもう一度彼女に顔を寄せキスをした。

「はい、勿論!最速で帰ってきます、名前さんの元に!!」

そう言ってすぐに立ち上がった。
少し名残り惜しいけれどこれも愛する彼女の為の任務だから。

「帰ってきたらお帰りなさいのキスをしてくださいね!」

「言われなくても一緒に住み始めてからは毎日してるでしょー?」

クスクスと笑う彼女は可愛くて、なんて幸福な日々なのだろうと、思わず涙が溢れそうになった。
こんな日々がこれから毎日続いていくのだからストーカーしていて良かった。
いや、僕は認めているわけではないのだけれど。

「そうでしたね、これからも一生お願いします。してもらえなくなったら僕はもう2度と外に出られなくなってしまいますので」

「相変わらず重いね〜」

そんな事を言いながらもわかったよと言ってくれた。
ああもう本当に、多分僕の彼女への愛に天井なんて存在していないのだと思う。


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