朝が来るまで

「(...ずるい、ですよ...本当に...)」

彼女が自身の上で震えていたあの感触。
最初にそれに気付いたときにはもう言葉が出ないほど驚き、興奮していた。身体の奥がカッと熱くなった。
でも、彼女が必死に抑えていたのを知っていたから。
彼女が何度もごめんなさいと起きないで、を繰り返し言葉にしていたから。
それだけでどれだけ彼女が我慢してきた、痛いほど伝わっていたから。

だから静かに様子を伺っていた。

けれど彼女が自身の上で達した後、横に寝転んでほっとした顔をした瞬間、その無防備さが愛しくて愛しくて、もう耐えきれなかった。

「...ずるい、です」

そしてそう囁いたとき彼女の肩がびくりと跳ねた。
目を見開いてこちらを見て固まる彼女をじっと見つめて抱き寄せた。
彼女の心臓の鼓動は僕と同じくらい早く鳴っていた。

「寝てると思って、好きにして...。ずっと我慢してたのは僕だって、同じなのに」

本当は今夜触れ合えたら、と思っていた。
でも翌日は久しぶりの休日であるという事と彼女を前にして気が緩んでいたのだと思う。
一気に睡魔に襲われてしまった。
彼女の手を取り自身の胸に触れさせた。気持ちは同じだと、伝える為に。

「ねえ、名前さん、僕がそのまま黙って何もしないと思いましたか?」

自然と低くなる声、呼吸が少し乱れていることを自覚した。
余裕なんてある筈がない。
愛する人のこんな姿を見たのだから。
彼女の髪を指でといて、前髪をはらいその額に唇を落とす。
貴方が愛しくて仕方ないと、想いを込めて。

「今度は...僕の番です。...もう、もう止まりませんよ?」

僕を見つめる彼女の瞳が、少しだけ揺れる。けれど拒む様子はどこにもない。
むしろ待っていたように見えた。

彼女の上に覆い被さった。
ベッドのスプリングが沈む音が妙に大きく響いて、それがまた僕の興奮を煽った。

「さっき、名前さんがしたこと...全部、返してもらいますから」

できるだけ穏やかに、でもその声色は自分でも自覚出来る程明確に甘くて熱を持っていた。

彼女の上で自身のシャツのボタンを外し脱ぎ捨てた。
僕を見上げる彼女は未だ動揺していたけれどそれ以上に熱を帯びていて、何も考えられないといった状態に見える。

「全部返しますから...覚悟してくださいね」

彼女にそう警告して彼女の唇にそっと唇を押し付けた。
最初は優しく、触れるだけのキス。
それですら久しぶりで僕のソコが更に硬くなっていくのが分かる。
それはもう痛いくらいに。
でもそれは彼女も同じなようだった。
舌先で優しく唇に触れると彼女の唇がかすかに震えた。

「っ、テツヤ君...!」

切なそうに僕の名前を呼んで、その度に僕の中で何か熱いものがじわりと溢れていく。
柔らかな二の腕を撫でた。
久しぶりに触れるその身体。

眠っているふりをしていた時何度も何度も触れたいと手を伸ばしかけたその身体が、今は僕の腕の中にある。

彼女のパジャマのボタンを外しはだけさせて、そのまま背とベッドの間に手を忍び込ませてホックを外すと白い綺麗な肌が露わになった。
まだ触れていないというのに桃色の頂はぷっくりと立ち上がっていて、そこを親指で擦ると彼女は甘い、甘過ぎる声を溢した。

「我慢してたのは...僕だって同じなんですよ」

吐息まじりに囁きながら彼女の首筋に唇を落とす。ちゅ、っと軽く吸い上げるように。
すると彼女の肌が少し赤く染まっていく。
それを見て僕の瞳には更に熱が籠っていく。
手のひらで彼女の胸から腰、お腹へとゆっくりと撫でるように這わせれば彼女は身を捩らせる。

彼女の呼吸がどんどん乱れていく。
それにつられるように自分の心拍数もどんどん速くなっていく。

「...ちゃんと...気持ちよくなってほしいんです」

無茶苦茶に抱き潰してしまいたいという気持ちもある、でもやっぱり愛しくて堪らない彼女だから。
どうせなら僕に甘く溺れてほしい。
僕の手が動く度に変わる表情と震える身体。
本当に彼女が僕を欲していたのだと伝わってきて、それが堪らない。
僕を見つめるの瞳には愛しさと欲しさが混じり合っていて、いつになく熱く色を帯びていた。

「...名前さん。まだ、まだ足りてないですよね」

低く甘く、誘うように、甘えるように。
耳元で彼女に囁けばまたびくりと身体を震わせた。
きっともう彼女は僕のこと以外何も考えられなくなっているのだと思う。

「ちゃんと僕で満たします。何度でも、いっぱいになるまで...」

触れれば触れる程心も体も満たされていく。
彼女だけではない、僕自身が彼女に満たされたいる、そんな感覚。
触れていなかった時間を埋めるように、変わらない想いを確かめ合うように。
夜が明けるその瞬間まで、何度も名を呼び何度も互いを求めあって愛しあった。









朝の光がカーテンの隙間からゆっくりと差し込んでいた。
それが眩しくて目を開けるとシーツはくしゃくしゃで身体は少し重たい。
隣には寄り添うように彼女がいて、昨夜とは違い子供のように純粋そうな表情で眠っていた。
結局昨日は限界まで触れ合ってそのまま気絶するくらいの勢いで眠ってしまった。
普段は終わった後しっかりパジャマを着る彼女も今日は何も身に纏っていない。
甘えたい衝動に駆られ、彼女の柔らかな胸に顔を寄せ抱きつけば彼女は身を捩らせゆっくりと瞼を開けた。
暫くぼーっとしていたけれどやがて僕に気付いて今の状況を把握して顔を赤らめた。
でも振り解いたりはせず、遠慮がちに僕の頭を抱きしめて頭を撫でてくれた。
それが嬉しくてすりすりと顔を擦り付ければ彼女の心拍数が上がった。

きっと夜の事を思い出しているのだと思う。
あんなことをしておいてまだそんな反応を見せる彼女が可愛くて仕方ない。

「テツヤ君...その......」

申し訳なさそうな顔で僕を見つめる彼女。
きっと僕のモノを使って勝手に自慰をしたことを気にしているのだろう。
正直こちらからすれば良いものを見せてもらえた、と思っているのだから気にする必要はないのだけれど。
そしてそんな事を考えていたからか僕のモノがまた硬くなってしまった。
昨日あれだけシたというのに。
さすがに続けてするつもりはないけれど余計なことを気にしなくていいと伝える目的で彼女に自身を擦りつければ彼女はまた甘い声を漏らした。

「...名前さん...」

「ご、ごめんなさい...」

服は着てはいなかったものの処理はして寝たというのに彼女のソコは昨日と変わらず潤っていた。
ぬるりとした感触に体がゾクゾクしてしまった。

「...夢の中でも、テツヤ君にその...抱かれて、た...から...」

「...名前さんって僕を煽るのが上手すぎませんか...」

一体夢の中の僕は彼女をどんな風に抱いたんだろう。
僕より彼女を虜にしていたのだとしたら少し悔しいと思いながら彼女のソコを指で撫でればくちゅくちゅといやらしい音が鳴った。

「っ、て、つやっ、くんっ!も、もう大丈夫だからっ...!」

「ダメです、僕が隣にいるというのに夢の中の僕と浮気した罰です」

胸の頂を甘噛みしてあげれば彼女は子犬のような声で鳴いた。
同時に僕の指を締め上げた。
本当に素直だと思う、彼女の身体は。

「うぅ...」

それが恥ずかしいのか彼女は僕の頭に顔をうずめて唸りはじめた。
僕からすればより胸が押し付けられたようなものなのでもっとしてほしいというおねだりに感じる行為でしかないのだけれど。

「...凄く、可愛かったですよ。昨日の名前さん」

「っ...!」

羞恥心で身体を震わせて。

「恥ずかしがらなくていいんです。全部ちゃんと分かってますから」

その一言で彼女の心拍数が更に速くなっていく。

「僕のことが大好きだから、だから我慢出来なかっただけですよね?」

「や、やめて...言わないで...!」

こんなに僕の指をきゅうきゅうと締め付けているというのに、素直になってしまえばいいのに。
でも恥ずかしがる姿も可愛くて仕方ないから言わないけれど。

「僕の事が大好きな名前さんの為にもうひと頑張りしますね」

きっと今日は一歩もベッドから出ないんだろうなって、そんな予感がしていた。



end